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七話 冒険者の準備

俺達は朝起きてから宿のロビーで話し合った。


「マリー、これからの事だがマリーは冒険者登録をしているか?」

「いいえ、してないわ。」

「なら、とりあえず冒険者登録からだな。それと……仕方ないか。その後は、お前の武器を用意する。」

「え?私、お金持ってないよ?」

「それを稼ぐにも魔物を倒す必要がある。そして、武器が無ければ魔物を倒せない。それともマリーは武器がなくても魔物と戦えるほどの実力者なのか?」

「そういう事ね。」

「金は俺がだす。」


俺達はとりあえずの予定を決めてから宿をでて、冒険者ギルドに向かった。

今更なのだが、冒険者ギルドの受付嬢は獣人(?)が多い。

ミーシャさんもウサ耳っぽいのが生えているし、他の人にも獣耳が生えている人が多い。

俺達は受付の列に並び、順番を待つ。

10分ほどして、ようやく俺達の番になった。


「ソラさん。おはようございます。そちらの方は?」

「こちらはマリーです。」

「私はマリー・ラネイアです。今日はギルドに登録させてもらいにきました。」

「分かりました。ではステータスプレートを提示してください。」

「あ」

「どうしたマリー?」


マリーは俺に顔を近づけて小声で話してくる。


「そう言えばステータスプレート家に置いてきちゃった。」

「……。」

「あの、どうかされました?」


ミーシャさんが聞いてくる。


「あの〜、ステータスプレートの再発行ってできますか?」

「はい、できますよ。冒険者さんは失くされる方が多いですからね。」

「そうなんですか?」

「はい、冒険者の皆さんは少し雑な人が多くて……。」


ハハハと苦笑いしながらミーシャさんが言ってくる。

この様子だと俺が思っているよりも多くいるのだろう。


「では再発行するという事でよろしいですか?」

「はい、お願いします。」


ミーシャさんは準備があるのか奥に入っていった。

しばらく待っているとミーシャさんは奥から出てきて、


「準備ができました。この紙に血を一滴垂らしてください。」


マリーは俺のナイフで指から血を出すとステータスプレートに垂らす。

すると、ステータスプレートから文字が浮きあがってきた。




名前 : マリー・ラネール


レベル : 3


MP : 40

力 : 10

敏捷 : 15

知力 : 25

魔法力 : 20

幸運 : 25


スキル

なし


固有スキル

なし


魔法

白魔法LV3

水魔法LV1


固有魔法

なし




初めて見た他人のステータスだったが、どうやら俺は一般人よりはマシなステージだったようだ。

そんな事に安堵するのと同時にギルドで再発行すると他の人間にも見られてしまう事に危険を感じたので、失くさないようにしようと密かに誓った。


「すごいですね。その歳でもう白魔法LV3が使えるんですか。あれ?名前がーー」


マリーは全力でミーシャさんの口を押さえていた。

周りの人はその光景を不思議そうに見ていたが、少しすると興味を失ったのか各々の行動を再開する。

ミーシャさんも驚いた様子だったが、何かを察したのか大人しくなった。


「で、どういう事なんですか?」


ミーシャさんが小声で聞いてくる。


「秘密にして欲しいんですけど良いですか?」

「はい。了解しました。」

「私王族の人間なんです。」


さすがにミーシャさんも驚いたのか声を出すまいとしていたが、ウサ耳はピンッ!と立っていた。


「あ、でも、もう王族では無いので普通に接してください。」


ミーシャさんはその辺の事情をなんとなく察したのか聞き返してくることはなかった。

そして、事情を説明し終え、ギルドの登録を済ませ、俺はミーシャに尋ねる。


「ミーシャさん、ジョナサンは何処ですか?」

「多分二階にいると思いますよ。それにしてもソラさん、ジョナサンさんを呼び捨てにして大丈夫なんですか?」

「ええ、大丈夫ですよ。アレには気に入られてしまったようですから。」

「アレって……。」

「ありがとうございました。ミーシャさん。今日は夕方にも来ると思うのでよろしくお願いしますね。」

「あ、はい!いってらっしゃいませ!」


そう言って満面の笑みで送ってくれる。

これがミーシャさんの人気の理由なのだろう。

俺はマリーを連れて二階に向かう。

ギルドの二階は主にCランク以上の冒険者が使っているらしく、あまりFランクの俺達が入っていい場所ではないので手短に終わらせる事にした。

俺はジョナサンを見つけると近くまで行く。

その間にジロジロと見られたが俺の行く先を見て、何かに気づいたように目をそらす者が多かった。

どうやらCランク以上の中でもジョナサンは恐れられているらしい。


「おい。」

「ん?なんじゃあ?」


なんとも気の抜けた声で聞いて来るジョナサンだったが俺に気づいて態度が変わった。


「ん?ソラか!どうした?お前からワシに関わって来ようとするとは。」

「お前の知っている武器屋を紹介して欲しい。」

「何故じゃ?」

「この子に武器が必要になった。お前なら腕利きの武器屋を知っていてもおかしくないだろう?」

「そういう事ならいいわい。しかし、お前さんは良いのか?この間の戦いのナイフは随分と安物のようだったが?」

「金が無いんだよ。それに、俺はナイフが無くても殺せる。」

「そうか、そうじゃったな。なら、早速行くか。」


俺達はジョナサンの案内で武器屋に向かう。

ジョナサンが勧める店なので人気店なのかと思ったが、商店街の端の方にある寂れた店だった。


「ワシはいつもここで剣を打ってもらっておる。おい!おるか!」

「うるせえな!いるよ!」


中から小さなおっさんが出てくる。


「おっさん、小さいな。」


つい口にしてしまう。


「うるせえな!俺はドワーフなんだよ!仕方ねえだろ。」

「久しぶりじゃなドーリ。」

「なんだ、お前かよ。それで?この失礼な小僧と嬢ちゃんは誰だ?」

「こやつはワシを打ち負かした男でその子はこやつの知り合いだ。今日はこの子に剣を打って欲しい。」

「おいおい、冗談だろ?こんなガキがお前を打ち負かすとかーー」


信じてもらえないようなので、濃密な殺気を放つ事にした。


「……冗談じゃないようだな。おい、坊主殺気をしまえ。」


俺は殺気を消す。


「わかったよ。剣を打ってやる。この嬢ちゃんに合わせて打てば良いんだな?」

「ああそうじゃ。しかし、今日使う剣がないのでのう。剣を貸してはくれぬか?」

「ああ、その辺のを持っててくれ。おい、そっちの坊主は打たなくて良いのか?」

「金が無い。」

「それならツケで良いぜ。ジョナサンの紹介っていうのもあるが、お前は面白そうだ。」

「……ならそれで頼む。」


俺は一瞬悩んだが了承する事にした。


「それじゃ、店の剣で好きなのを選んでくれ。その重さに合わせて作るから。」


マリーは少し短めのショートソードを、俺は重さの軽いナイフを選んだ。


「なんだ?ナイフで良いのか?」

「俺にはこれが丁度良い。」


俺達は鍛治の依頼をしてからその場を去った。

その際にマリーの代理剣を借りて、そのまま町の外に出る。

俺は断ったのだが、ジョナサンが勝手についてきた。

もし、何か怪しい行動したなら即刻殺す事も視野にいれながら、先日行った迷宮近くの森林に着く。


「ここでゴブリン狩りをする。」

「ちゃんとできるかな?」

「危なくなったら俺が援護する。だから、気にせず経験を積め。」

「わかった!」


そう言ってマリーはゴブリンに向かって行く。

初めの一匹目は俺もじっくり見ておく事にする。

まあ、ジョナサンがいるため万が一という事もないだろうが。

やはり、マリーの剣は素人でただ呆然と振るだけだったが、段々とコツを掴んできたのか大分ゴブリンと打ち合えるようになっていた。

そして、一匹のゴブリンと戦いが30分ほど続いた後やっと一匹目のゴブリンを倒した。


「やった!」


さすがに遅すぎたので俺は他のゴブリン達を狩っていた。


「マリー、次が来るぞ!」


俺は敢えて二匹のゴブリンをマリーに向かわせる。

一応ゴブリンの武器は落としておく。

それでも初心者に二匹は厳しいはずだが、マリーは筋が良いためどうにかなるのではないかと思っていた。

俺はマリーの方を気にしつつ、ゴブリン狩りを続ける。

俺の討伐数が200を超える所で、マリーは二体を倒し終わったようだ。

大分時間も経っていたので、休憩を取る事にした。


「お昼はどうするの、ソラ?」

「お昼って?」

「なんだソラ。飯を持ってきてないのか?」

「何言ってんだ?昼って飯食うのか?」

「「は?」」


どうやらこの世界では昼食を取るようだ。

()()()()()()()()()()()()()()のでもしかしたらあちらの世界でも普通の事なのかもしれない。


「昼はお前達二人で食ってくれ、俺はもう少し狩ってくる。」


空気が妙な感じになり始めたので脱出する。


「待って!」


しかし、そんな声に引き止められた。


「ソラ。私にご飯を作らせてくれない?」


そういうマリーに任せる事にした。

ゴブリンの持っていた鍋の様なものを鍋代わりにしてマリーが料理をしていく。

調味料はないので途中で狩った猪の様な獣の肉を焼くだけだったが、マリーは料理が上手いらしく実にいい焼き加減にだった。

俺は人生で初めて食べる昼食に満足し、昼から狩を再開した。

そして、夕暮れ時まで狩を続け、街に帰った。

そして、ギルドに行き、今日取った素材を換金する。


「またこんなに狩ってきたんですか⁉︎全部で400以上あるじゃないですか⁉︎」


またミーシャさんに驚かれた。

ミーシャさんが素材を確認するために奥に入っていくのを見届けていると、ジョナサンが話しかけてくる。


「ソラはアイテムポーチを持っていないのか?」

「アイテムポーチ?」

「なんじゃ、知らんのか?」


どうやらこの世界には重量さえも無視できるとんでも袋があるらしい。

この世界に来て最も驚くアイテムに出会った瞬間だった。

今回からは冒険者としての視点が多くなります。

基本的にはソラ視点で進めていくつもりです。

次回は土曜から日曜の予定です。

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