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6月短編集  作者: 天雲 律
9/13

9月1日


フェリーが出発する音と、別れを惜しむ人々の声を聞き、遊び場に向かう。


夏を刻んだ蝉の声も勢いが弱まっているが、暑さは弱まる気配がない。


夏休みが終わり、世の中の学生達は、皆学校に向かっているのだろう、俺もこの夏に未来と美樹に会わなければ、下を向いて学校に向かっていただろう。


「あら、きよぽんじゃない、もう夏休みは終わりよ、優等生が二学期初日に休んでいいの?」


「美樹か、二学期初日だから休むんだろ、くだらない教師の説教を聞くだけじゃねぇか、そっちこそ休んでいいのかよ、生徒会長だろ」


「あら、学生最後の年に、一回くらい好きに行動しても怒られないわよ」


二人で自然と歩幅を合わせ、夏休み中ずっと遊んでいた遊び場に向かう。


丸い石をお供えすると運を占ってくれる地蔵さん。

毎日ラジオ体操した神社の境内。

カッパが現れたと噂になり必死に探した川。

昨日の祭りで沢山の出店で賑わっていた道。

幻の魚を釣ろうと必死になった釣り堀。

オオクワガタを捕まえた山。

三人だけの秘密の蛍丘。


この夏三人で遊んだ場所を二人で歩く。

不思議と懐かしい気持ちに支配された。


「そういや絵日記どうした?」


「確か未来の蔵に置きっぱなしね」


そして遊び場……未来の蔵につき、入り口の前に座る。


「なんか……未来が後ろから出てきそうだな」


「そうね……未来なら……脅かしてきそうね」


二人で未来との思い出話をする。


「美樹は絵日記には何書いてたんだ?」


「……まぁ……二人の仲良しの絵よ」


チリンと何かが落ちた音がして振り返る、そこには未来が首から下げていた、鍵が落ちていた。

美樹が拾い上げる。


「どうする?開けちゃいましょうか?」


「いや……いいよ、来年にでも開けようぜ」


美樹と来年も遊ぶ約束をし、鍵は未来と同じように、俺が首から下げる事になった。

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