一日一善
一日一善を始めて3年くらいが経っただろう、はじめた理由はたいしたことは無い、暇だったから、余裕があったから、これに尽きる。
「和泉さんおはようございます」
「おはよう今日は暑くなるから、気をつけてやろう」
一日に一度良いことをする、祖父や祖母の肩叩き、父の弁当を作る、母の代わりに買い物に行く、兄とバスケを手伝う、姉にアイスを買ってくる、弟の恋愛相続に乗る、妹に勉強を教える、家事をやる。
いろいろやってはいるが、どうしてもやる事がない日があったので、ボランティアに参加する事にした、やっているうちに知り会いも出来た。
今日の内容は産業祭で、チラシについている、交換チケットとドリンクを交換する、簡単な内容だが、
10月になったというのに、衰える事を知らない暑さにより若者の体力が、必要とされ俺はここに配属された。
「こんにちは、どれがいいですか」
祭り独特のお腹の空く香りと雑踏の中、やけに立派な着物を着た小さな男の子が現れ、炭酸飲料を指差したので持っていたチケットと交換する。
飲み物は氷水に入っているので、取り出すこの瞬間だけは暑さを忘れられた。
「……あ……りがと」
大人達は獲物を確保するため、早足になっていて、小さな男の子の声は、聞き取れないかと思ったがしっかり耳に届いた。
「和泉さん何してるんすか?」
「子供にあげてたんだが」
「誰も居ないッスヨ……、先輩の赤飯は抜きに……」
昼飯が抜きになる所なので必死に弁明する。
俺と錦さんの間では、祭りを楽しんだ神様だったのだろうと結論づけ、再び業務に取り組む。
何故かさっきより、訪れる人達が笑顔になっていった。




