表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6月短編集  作者: 天雲 律
12/13

初恋

太陽が眩しい程輝き、遠くから一日の終わりを知らせるいつもの鐘の音と、カラスのカァカァという声を

聞き、先を歩く瀬奈はいつも通りにふりむく。


「今日も楽しかった、また明日」


一言告げ瀬奈は家の門をくぐろうとする。


じっとりと汗が額から流れる、たった一言伝えるだけで言いけれど一日遊び疲れた足のように、心が痛みだし中々口が動かず、いつもどうりうつむいてしまう。


するとカラスの鳴き声の世界に、小さい頃からの

安心する心地の良い甘い声が聞こえた。


「明日はもっと遊ぼう、今日より長く

 足の痛みで動けなくなるくらいに……ね?」


瀬奈の安心する声を聞くと自然と顔をあげてしまい

自然と笑顔になり、足の痛みも気にならなくなる。

だから──


「うん!また遊ぼう」


じっと瀬奈を見つめていると瀬奈は、一日外で遊んだ汗の香りと柔軟剤の混じった、安心する香りで僕を包み、赤子をあやすかのように優しく頭を撫でてくれた。


胸が温かく全身に温もりが伝わるようだった。


人生初の夏休みが始まり、親が暑くて嫌がっていたが瀬奈から伝わる温もりは嫌ではなく、甘い声と同じで

とても安心する温かさだった、不意にぬるい風を感じた。


「じゃあね」と一言残し今度こそ瀬奈は家の門をくぐった。


僕は瀬奈が家に入っても、足を動かせずにいた、足はもう痛くなく、自分の家は反対側を向けばある距離なのに、ドキドキが収まらない胸に手を当てていた。


そんな僕は太陽がお月様に見守りの交代を終え、変わりにお月様になったのを、空を見て確認し、セミの声から鈴虫の声に変わったのにも気づかず、小さい足で15歩程歩き、門をくぐり──


「ただいま!」と教わったばかりの挨拶を声にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ