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【完結】最弱から始まる廃課金ゲーマーのダンジョン攻略~最弱キャラに転生したけど、知識と経験があるので最強です~  作者: 吉良千尋
第4章

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84話 鬼哭啾啾

クラッドとアルベルトは雑魚にまだ少しかかりそうだな。

酒呑童子の強さはパイアンを凌ぐ。

だが別格という程ではないはずだ。パイアンのように騎士団や他の騎士を召喚するようなことはしないが、その分酒呑童子単体の戦闘力は高い。


さっきの黒天も手を抜いたつもりは無いが、傷はそこまで深くはない。

まともに相手をすればそれなりに時間はかかるだろう。


それこそあと5分以内というのは、相応のリスクを背負わなければ不可能に近い。


今この酒呑童子を相手取るにあたって最も必要なのは、不退転の意志。


ゼロコンマ1秒すら無駄にできない。回避はいらない。


――俺の全てをもってコイツを倒す。


【スキル 疾風迅雷Lv7を使用します】


【ステータスがアップしました】


酒呑童子は呑気に腰に下げている瓢箪(ひょうたん)のようなものから酒を飲み、顔を赤らめて金棒を構える。


俺は威神力で真上から押し潰し、影化を使い背後から雷撃を放ち黒天を振り下ろす。


「――ッ! どこまでもふざけた野郎だ」


レベル1の威神力では、酒呑童子を完全に押し潰すことが出来ず体勢が少し傾いただけだった。

巨大な金棒を振り回し、背後への横薙ぎ。


雷撃も最早気にも止めていないようで、直撃したが動きを止めることすら出来ない。


雷桜で金棒を弾こうと試みるが、圧倒的な質量の金棒の起動を僅かにそらすだけに終わった。


黒天の刃は左肩に突き刺さるが、それと同時に金棒は俺の腹部へとめり込む。


「――グッ!」


吹っ飛ばされながらも影化を使い、酒呑童子の影に身を潜める。


――明らかに火力が足りねぇ。王の一撃を撃つのはさすがにまだ早すぎる。燃費はクソ悪くなりそうだが、別の方法を試すしか無さそうだな。


俺は酒呑童子の真下、黒天を突き上げるように影から出た。

迎撃のしづらい真下からの攻撃を酒呑童子は黒天の刃を掴む事で阻止した。


掌から流れる血液が黒天を伝い床に零れる。

完全な膠着状態。


「――なめんじゃねぇよッ!」


俺は威神力を自分の右腕に使い、強制的に出力を上げた。

肘から先がちぎれそうな程の痛みが襲うが、今はそんな事を気にしている場合じゃない。


黒天の刃は酒呑童子の手を斬り裂き、胸部へと深く突き刺さる。


しかし、相手は動じることなく金棒を振り下ろす。


――化け物がッ!


雷桜でそれを防ぐが、その威力を全て殺す事は出来ずに足が床へとめり込んだ。

上から来る圧倒的な力により、その場を離れることが出来ない。

一瞬でも力を抜けば一気に押しつぶされるからだ。恐らく、影化を使ったとしても中に入り込む前に潰されるのがおちだろう。


力を込め続ける酒呑童子がニヤリと笑い、


「お前さん、人間にしてはやたらと強いじゃねぇか。こんな強敵は久しぶりだ」


酒呑童子はガラガラの低い声で嬉しそうにそういった。


「化け物が悠長に人語話してんじゃねぇよ。こっちは時間がねえんだ。てめぇのお遊びに付き合ってる暇はない」


――そうは言ったが、どうするか。コイツは完全に脳筋型。小細工はしないだろうが、単純な力が強すぎる。原罪を使って同等くらいか。


徐々に足が深くめり込んでいく。

なんとか脱出しないと面倒なことになりそうだ。


【スキル 疾風迅雷Lv7を使用します】


【ステータスがアップしました】


疾風迅雷に加えて、酒呑童子の金棒に威神力を下から押し上げるように使い、なんとか金棒を押し返す事が出来た。


バックステップで距離をとると同時に、雷撃を2回放つ。

ダメージとしてはかなり低いだろうが、何もしないよりはマシだろう。


【残り時間 3分】


――クソッ! いよいよ本格的にやばいな。コイツを倒さずに核を破壊するのは俺1人じゃ不可能に近い。


「ウルッ! MPを使い切ってもいい! 最大火力で雑魚を殲滅してくれッ! 他の奴らはこの飲んだくれの殺す事だけを考えろ」


ウルが機能しなくなるのはリスクはあるが、ポーションが少しあるはずだ。最悪それで自衛してもらう他ない。


「ワシに任せるのじゃっ!」


杖に前方に向け巨大な魔法陣を展開し、同時にクラッドとアルベルトが周囲の敵を蹴散らしこちらに向かってくる。


「お前さん、本気で俺に勝つつもりでいるのか? あー……そうだなあ。それならめんどくせえが俺も本気で相手してやるのが筋だよなあ……」


そう言うと酒呑童子は瓢箪を垂直にして、喉を鳴らしながら酒をどんどん胃に流していく。

飲んでいないのに、こちらまで酔ってしまいそうな程の強烈な酒の匂いが漂ってくる。


後方では爆音が轟き、城その物が揺れているような感覚。

背中が熱い。炎系の魔法をぶっぱなしたのだろうか。


「クロードさん、お待たせっす!」

「くっせぇ! なんだアイツ! 酒飲んでんのかよ」


クラッドとアルベルトも到着し、3対1になり数での優位性は確保した。

最も、コイツらの攻撃がどこまで通用するかはわからないが。


「残り時間はあと3分しかない。スキルもケチらずに全開で戦え」


「うぃ……あー、3対1かあ? まあ暇つぶしには丁度いいか……ひっく」


この状態になった酒呑童子の情報はゼロに等しい。

何をするかわからないが、本来ならばそれが普通だ。


俺達は酒呑童子を囲むように3点に散らばり各々が武器を構える。

対する酒呑童子は明らかに俺に照準を定めている。


「暇つぶしだと? いつまでそんなことほざいていられるか見ものだな」


俺は影化を使い即座に背後をとると、威神力で貫通力を強化させ更に雷を纏わせた雷桜を振りかざす。


それに合わせてクラッドは風を纏わせた刺突を、アルベルトは炎の拳を叩き込む。


そのどれもが不気味な程無抵抗な酒呑童子を襲う。


そして血液が飛散し、酒呑童子の肉を断つ。


――手応えはある。傷は浅くはない。だが何故コイツは避ける素振りさえないんだ?


3方向からの攻撃とはいえ、対応できないような奴じゃない。

それに、わざと全ての攻撃をくらったようにも見えた。


「あぁ……いてぇなおい。死に急ぐんじゃねぇよ……うぃ」


肩に腹、そして顔面に攻撃をくらっても動じる素振りもなく、酒呑童子は流れる血を見て呟いた。


金棒を1振りしたかと思うと、足元の血溜まりと身体を伝う鮮血がゆっくりと宙に舞う。


「な、何が起きてるっすか!?」


「なるほど。本気でやるってのは口だけじゃないらしいな」






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