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〈31〉ダブル小僧・1

TOUFU love boys 〈1〉

「私の預かり知らぬところで、色々とやっているようだね」

キュウリ畑の手入れをしていた僕に、深緑しんりょくがそう絡んできた。

「新しい知り合いが出来たよ

 オサキ狐、憑き物なんだって

 大豆作りを頼まれたけど、知り合いの枝豆農家の人が特別に契約して作ってくれることになったから、僕は何にもしてないんだ

 大丈夫、こっちの畑はちゃんと手伝いに来るからさ」

そう言う僕の顔を見る深緑の目が、少し安心したように見えたのは気のせいだろうか。

「豆腐を卸してもらえるから、ヨネのメニューが増えたんだよ

 豆腐って味気ないと思ってたけど、よねさんの作る雷汁って凄く美味しくてお赤飯のおにぎりと相性バッチリ!

 擦ってほうれん草の白和しらあえにしても良いし

 僕、豆腐のイメージ変わっちゃった」

ヨネのメニューを思い出し、思わず唾を飲む僕に

「あんまり豆腐を誉めると、奴らが来るぞ」

深緑は煩わしそうに手を振った。


「深緑も食べてみればいいのに」

「あんなフヤフヤした物では食べた気がしないよ

 やはりキュウリのシャキッとパリッと食感、瑞々しくあふれ出す爽やかな香り、美しい緑色

 キュウリを食べずに何を食べろと言うのかね」

「キュウリがなければ、豆腐を食べれば良いじゃん」

「木綿、絹ごし、寄せ豆腐、ざる豆腐、湯豆腐、何という至福のバリエーション

 キュウリはキュウリだけだろ」

いつの間にかセリフが増えている。

キュウリの葉についている虫を駆除する手を止めて顔を上げたら、深緑の隣にイケメンが2人並んでいた。


スキンヘッドなのに黒いアイパッチを付けている、ちょっとパンクっぽい格好のイケメン青年。

パーカーとジーンズというラフな服装なのに、キラキラオーラが出ているイケメン青年。

『この人達も、化けている妖怪だ』

人にしてはあまりの美形ぶりに、僕は確信する。

「キューリのおかげでヨネで美味い豆腐が食えるようになって、俺達感謝してんだぜ」

「ありがとな、キューリ」

急に名前を呼ばれ、僕はビックリしてしまう。

「キューリは妖怪の間では有名なんだよ

 こいつらは一つ目小僧と豆腐小僧だ」

深緑の紹介に

「2人とも、小僧じゃないじゃん」

僕は突っ込まずにはいられなかった。


「哀れなことに、頭の中が小僧なのだ」

深緑はため息を吐いた。

「いつまでも少年の心を忘れないとか言えよウンコ河童」

「ウンコ」

確かに2人のののしりの言葉は小学生(低学年)レベルなのであった。

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