第39話 三篠森・N、療養が終わる。
長かった……。半年だ……。
ようやく療養が終わり、職場復帰が許可された。長かったとしか言えない。冬に休みはじめ、春が終わり、夏が来てしまった。
<休み中にやっていたこと>
何よりも物書き、自転車、モンハンだろう。
『アブソリュート・トラッシュ』の7部終盤から8部現在まで書き続け、自転車には半年の休みで77回乗ったとアプリに記録されている。モンハンに関してはどこからどこまでかはわからないが、『離散日誌』の初期の頃を読み直すと療養に入る前は片手剣、双剣、弓しか使っていなかったようだが、現在は太刀、操虫棍、ランス、ガンランスも主力になり、作っていじるだけならハンマー、大剣、スラッシュアックス、チャージアックス、ライトボウガン、ヘビィボウガンもやってみたので完全ノータッチは狩猟笛だけだ。「どの武器で戦っても勝てるよ」って相手には太刀を選ぶくらいになっている。傀異克服シャガル、傀異克服バルファルク、傀異克服テオ・テスカトル、烈禍襲来個体の原初メル・ゼナなどを倒したのは療養に入ってからだ。
ゲームは『ザ・感想』でも書いたとおりに『ポケモン』を『赤緑』から『SV』まで全作プレイの全作レビュー、『星のカービィ 夢の泉の物語』『スプラトゥーン レイダース』、引き続き『ポケットモンスター USUM』などゲームをやっていた時間の割に新しいチャレンジはしていない。
・自転車実績
総走行距離:km1789.64km
記録回数:77回
1回あたりの平均距離:23.24km
1回での最長距離:99.59km
これをやっていたせいで俺は一時主治医に躁状態を疑われ、療養が伸びた。家族からも常軌を逸していると言われている。だがここ数年やっていなかっただけで20代の頃は電動アシストなしでもっと乗っていた。
・物書き実績
全作品併せて122話投稿していた。特に『アブソリュート・トラッシュ』は昨年投稿した本数の約1.5倍の回数をこの半年で投稿した。
<何か得たか?>
社会的には何も得てはいない。
職場は優しいので病気を理由に俺をクビにはしなかったが、評価は確実に下がった。収入も減った。半年も休んで隣の家の家族は俺を無職だと思っているだろう。二軒隣に住んでいる兄ちゃんも多分無職なので、小さい子供のいる隣の家族は「ニートのおっさんに挟まれるなんてどえらいところに引っ越してしまった」と思っているだろう。
というかここ一、二か月はそれが一番キツかった。半年も休んだことで近所への世間体が気になった。小さい子供たちは怪しい大人を見かけたら大きな声で
「こんにちは!」
と先制アイサツを決めて牽制するらしいが、これを隣の子にやられる悲しさよ……。
家族も俺の社会復帰を諦めている節があった。俺の前任ニートの弟は全く働く兆しがなく、社会とのかかわりが完全に断絶されていたからな。
そういうことで社会的に得たものはない。
書き連ねた文字数、上がったハンターランク、無駄に鍛えられた足腰くらいだ、得たものは。
いや……。こんなネガティブな作品に名前は出せないが、物書きの勉強会仲間のI氏には療養期間中本当にお世話になった。聴くだけだが配信にお邪魔したり、映画合同誌の製作やそれに収録する対談、委託販売の同人誌の編集作業などは療養期間でないと絶対に間に合わないスケジュールであった。
残念ながら本番の文フリの頃には、俺は電車に乗れなくなるという異常事態にあったため援護には行けなかったが、I氏が外の人間では一番助けてくれた。他にも友人には恵まれた療養期間であった。
<さっと振り返る俺の療養>
①発症 (1月~)
昨年春からはじめた父の介護の途中で俺は突然ブッ壊れた。
何も出来ない時期。一人でいると辛すぎて近所迷惑にならないように「グワァーッ」など奇声を発する。気を紛らわすためにモンハンと自転車。発症の原因となった父とは連絡手段をほぼ全て断った。たった一つ残っているのは自宅の固定電話だけだが、父からかかってきたことはない。
②療養がはじまって……? (2~3月)
記憶がほぼない。モンハン、自転車、プロレス鑑賞しかない。ただ自転車のような外出は可能でも映画館にはなかなか足が向かなかった気がした。それでも振り返ると観ていたようだ。確かポケモン前作チャレンジをはじめたのはこの辺り。
③別の痛み(4~5月)
足と腰、背中に激痛が走り、眠っていても目覚める痛さ。あまりの痛さに大学病院に行くと姿勢が悪すぎると言われる。あぐらと足組をやめ、血涙で刷った金でちょっといい椅子を買ってゲームも物書きも読書も全部その上で行うと完治した。
電車に乗れなくなった。
16歳の愛猫の具合が悪くなり、死を覚悟する。覚悟したが耐えきれず、療養開始よりもひどい状態に。「辛くなったら声をかけてね」と言ってくれた友人に声をかけ、救われる。その後猫も復調。
④躁?(6月)
とにかく自転車、物書きが加速しまくる。本当は富山にサイクリング旅行に行く予定だったがなかなか上手くいかず。
⑤世間体(7月)
近所の目が気になる。とにかく仕事に戻りたい。暑い……。復帰が決まる。
こんな感じだな。繰り返すが社会的に得たものは何もない。一人間としては、もっと前にやらねばならなかった父からの独立を果たし、趣味人間としては申し訳ないが充実してしまった。贅肉は減った。
こんな感じだ。
……。申し訳ない、本当に申し訳ないが、一番大きかったのは物書きの楽しさだったな。
ただしもう一度療養はやりたくない。それでも猫を含めて家族はいずれ死ぬ。その時に耐えられる自分でなければならない。




