はじめまして
目を覚ましたら白い天井が目に入った。
そして私はベッドに仰向けに寝ている。
「あぁ…私死ねなかったんだ…」
もはや涙さえこみあげてこない。
その代わり恐怖が私を襲う。
これからも…いや、これまで以上に私はいじめられると思う。
私はそういう行為をしたのだ。
迷惑をかけるなと父親が暴力を振るうだろう。
クラスメイトは更におもしろおかしく私に嫌がらせをするだろう。
だめだ…考えただけで耐えられそうにない。
今度はもっと高くから…頭から飛び降りよう…
ここは何階だろうとベッドから起き上がった。
「あれ…?窓がない…」
周りを見渡したけど窓らしきものは見当たらない。
奇妙な部屋だった。
壁も天井も床も目が痛くなるほどに白い。汚れなど全くない。
窓もなければ小物らしきものも一切ない。唯一あるのは横びらきのドアに三つのベッドだけ。
私がいるベッド以外は今は無人みたいだ…けどシーツのしわからしてさっきまで人がいたように感じる。
「とりあえず…外に出てみよう…」
そこでやっと自分の身体の異変に気づく。
「……私、怪我してない…」
5階から飛び降りてコンクリートに叩きつけられたにも関わらず、かすり傷ひとつなかった。
訳がわからなかった。
私は飛び降りてなかったのかな……。
そう思えてしまうほど私の白い肌は綺麗だった。
混乱しつつも現状では何もわからないと悟り、ドアの取っ手に手を当てた。
開かなかったら…と頭をよぎったけどドアには鍵もついていないみたいですんなり開いた。
ドアの向こうは廊下などなく、病院のロビーみたいな場所が広がっていた。
緑色のソファが規則正しく並べられている。
何人かの人が座っていて私は少し安心した。
でもみんな私服だ…患者とかじゃないのかな…
私も自分が私服であることに気づく。
このロビーにも窓は受付らしきところにしかなく外の様子はわからなかった。
真っ白な壁だったため気づかなかったが壁は無数のドアで埋まっていた。
一体いくつの個室があり、どれくらいの人がここにいるんだろう…
受付の窓はカーテンが閉めてありその向こうの様子もわからない。
窓のとなりには他のドアとは違い、真っ黒なドアがあった。
取っ手がなくこちらからは開けれないようになってるみたい。
「あー、やっと起きたかー。」
訳がわからず自分が起きた部屋の前で立ち尽くしていたら女の子が話しかけてきた。
私より少し幼く見える女の子…中学生かな?
「はじめまして。私はかんな。
あんたと同じ部屋だよ。よろしくね。」
同じ部屋の人……やっぱりここは病院か何かなのかな…。
「……私は野々山 奈々です。」
人と話すのが苦手な私は小さい声で短く自己紹介した。
「ななはさっきここに来たんだろ?かなり混乱してるみたいだし。」
いきなり名前で呼ぶなんて図々しい人だなと思ったけど、久しぶりに名前を呼ばれて嫌な気はしなかった。
「ここは病院?」
「ここは違うよ。
まぁ何だし部屋に入ってから話そうか。」
そう言ってその中学生は私の手を引いて部屋に入った。




