向かう先
「それでお兄さん。色々準備は終わりましたけど、これからどこに向かうんですか?」
着替えや日用品、飲料水などを車に詰め込み終わった俺達は、これからの行き先を決めるための話し合いをしていた。
「んー、俺と結愛には親族どころか義理の家族すらいないからな………………順当に行けば香苗ちゃんの祖父母の家か織葉の祖母の家だろうな」
「あ、えっと、私も祖父母は私が生まれる前に亡くなっていて………………ですので、織葉さんのお祖母様の家に向かうのがよろしいかと!」
「了解。織葉、倉葉さんに伝えといて貰えるか?」
「いいけど………………ほんとに行くの?多分あの人、あんたに斬りかかってくるわよ?」
「大丈夫……………多分…………きっと。うん。大丈夫だ。それに柚葉ちゃんも心配だしな。出来るだけ知り合いとは近くにいたほうが良いだろ?」
「そうね……………分かったわ。じゃあ今から電話するわね」
「ありがとう。そういえば香苗ちゃんは持っていきたいものとか家にないの?あるなら後で香苗ちゃんの家に寄るよ?しばらく帰って来れないだろうからね」
「えっと、大丈夫です。元々今日は結愛ちゃんとお泊まり会をする予定だったので、着替えとかも持ってます!」
「そっか………………織葉。どうだった?」
「大丈夫だってさ…………後、あんたが来るなら用意しとくってさ」
「何をだよ……………まぁいいか、うん。それじゃあ出発しようぜ」
「はい!分かりました!」
「えぇ………………行きましょうか」
「はい。お兄様」
こうして俺達は、今住んでいる東京から織葉の祖母が住む大阪へと走り出した。
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出発して約4時間。多少の渋滞に巻き込まれながらも残り3分の1程度まで進んだ俺達は、休憩をするためにパーキングエリアに訪れていた。
「ごめんなさいお兄さん………………私のせいで着く時間が遅くなってしまって」
「大丈夫大丈夫!久々の長時間運転で丁度俺も疲れてきたし、着くまでに1度は休憩する予定だったからね。それに夕食は何処かで食べなきゃいけなかったから、ここで食べれたのは良かったよ。何なら十分寝れたから今から進めば空いてるだろうからな」
休憩を終え、現在の時刻は21:48分。ここから倉葉さんの家に辿り着くまでに後2時間程だろう。一応倉葉さんには、織葉に0時頃には着くと連絡を入れてもらっている。
「そうよ。香苗ちゃんのせいじゃないわ。私だってちょっと疲れてたとこだしね」
「えぇ。私も丁度小腹が空いていたので。休憩出来てよかったです」
「ま、そんな訳だし全然気にしなくていいよ」
「は、はい!ありがとうございます!」
「よーし!じゃあそろそろ向かうか!それじゃあ出発するよ」
「「「はーい!」」」
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パーキングエリアから1時間ほど進んだ俺達は、暇を潰すため色々話していた。
「そういえばお兄さんって、免許はいつ取ったんですか?高校3年生になってからまだ2ヶ月とかでしたよね?」
「あ~、そっか。確かに免許を取ったことがないと分からないかもね。免許って教習所に通い始めるのは17歳からでも大丈夫なんだよね。それで、俺の誕生日が4月3日だからそれから試験を受ければ問題無いんだよ」
「そうなんですね……………知りませんでした。織葉さんは免許って持ってるんですか?」
「いいえ……………私は誕生日、12月24日なのよ。だから受験が終わるまでは勉強に集中しようかと思っていたのよ。それに、空亜が車乗れるんだからしばらくはいらないじゃない」
「織葉さんの場合、お兄様の隣に座りたいだけじゃないの?いっつも助手席に座りますよね?」
「ばっ?!馬鹿なこと言わないで!誰が空亜の事なんか……………」
「じゃあ、次から私がお兄様の隣に座りますね」
「だ、駄目よ!空亜が寝ないように見張るのは私の仕事何だから!」
「おい。流石に俺は運転しながら寝るような度胸ないんだが?」
「うるさい!あんたは黙って運転しときなさい!」
「理不尽!」
何で今日はこいつら当たり強いんだ……………………っっ?!
「お前ら!スピード上げるぞ!舌噛むなよ!」
「えっ、何で……………きゃっ?!」
「わぁっ?!」
「へぁっ?!」
俺がスピードを上げた瞬間、前方から黒い頭のようなものが地面から現れ、それを捉えたタイヤからはグチャっと言う柔らかいものを潰したような感覚が感じられた。
『モンスターの初討伐を確認しました。称号・先駆者を獲得しました』
「は?」
俺は突如脳内に響いた音に間抜けな声を出したが、次に見えた光景で我に帰り、咄嗟にアクセルを踏み込んだ。
「っ、お兄様!いったいどういうことですか?!何故さっきから車が揺れて……………きゃっ?!」
「っと!俺にもよく分からんが、どうやら化物が現れ始めたみたいだ!24時間後って言ってただろまじで?!」
「ほんと!どうなってるのかしらね!ねぇ、あんたもっとスピード落とせないの?」
「無理だなっ!スピードを落としたら化物に道を塞がれる!このまま突っ切るしかないからみんな我慢してくれ!」
「ふぇぇぇぇっ!!」
まじで!規定の時間まであと12時間以上あるはずだろ?!
そんなことを考えていると、再びあのときの声が頭に響いた。
『緊急事態です!ダンジョンの現出、並びモンスターの出現が早まりました!緊急処置としてスキルの活性化を行います!申し訳有りません!私に出来るのはここまでです!皆さんに御武運を!』
そう言ってから聞こえなくなった声の内容的に、世界さんからすれば完全に予想外……………つまり意図外ということだろう。それはこれまでの仮説が正しかったことの証明ではあるが、今はそんなことどうでもいい!
「織葉!倉葉さんに連絡しとけ!あと10分くらいで着くはずだ!他のみんなはしっかり車に掴まっとけ!」
「分かりました!お兄様!」
「は、はいっ!」
「っ、空亜!電話繋がんないっ!電波がないって言って通信自体が無くなってる!」
「はぁっ?!まじかよ………………こりゃ早めに行かないと不味いな。幸い高速降りてすぐだから速度は出せるだろうが、柚葉ちゃんが心配だな」
「大丈夫よきっと……………倉葉お祖母様は強いから」
「そうだな…………もうすぐ抜けるぞ!バーを突っ切るから衝撃に備えろ」
「はい!」「えぇ!」「分かりました!」
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無事に高速を抜けた俺達は、街中の様子を見て唖然としていた。
車は所々で火を吹き、あちこちから悲鳴が上がっている。しかし応戦している者もいるのか、所々でモンスターの断末魔が響いていた。
そして俺達はそんな中を突っ切り、倉葉さんの家の前に車を止めた。
外から家の様子を伺うも、まるで人が居ないかのような静けさの中、俺達は家の中へと駆け込んでいく。
すると明かりが漏れる部屋があり、そのドアを俺は勢いよく開けた。
そこには、血のついた薙刀を持った倉葉さんと、モンスターの亡骸がそこら中に転がっていた。
どうも!急にポイントが増えててびっくりしてるくらです!ほんとに、寝て起きたらどーんってポイントが増えてて嬉しいなって気持ちとふぇぇぇぇっって感じで驚きでした!あと感想ありがとうございます!そういうの見ると頑張らないとなってなるし元気も出るのでとても有り難いです!自分が楽しい世界を人に楽しんでもらえるのは凄く嬉しいです!
今回は移動回だったからほんとにどうしようか迷いました!後、自分は免許持ってないのでそのへんはちょっとよく分かりませんでした!
あと、何気に今回初めて主人公の名前が出るって言うね……………いやほんと、出すタイミングがなくてずっとどうしようかなってなってました!
次は木曜日か金曜日くらいには更新したいと思ってるのでよろしくです!