アストラ商会をぶっ潰して
私は無性に腹が立っていた。
アストラ子爵が経営するアストラ商会の前に私は立っている。短絡的な行動だとは思うがつじつまはあとで合わせる。
気に食わないから潰しておこうかな。そもそも、詐欺まがいなことをするからぶっ潰す。
「いらっしゃいませー」
なかに入るとやる気のない挨拶が聞こえた。
私は、トイレはどこですかと聞いて、トイレを教えてもらう。
「そう。あんがと」
「い、いえ」
「ああ、それと……」
私は、ナイフを取り出した。
「社長室はどこ? アストラ子爵に話があるんだけど」
その受付の首元にナイフを突きつけた。
その瞬間、きゃあああ!と誰かが悲鳴を上げる。うるさいな。
「な、なんで私が話さなきゃ……」
「近くにいたからだよ。で、どこ? 案内してほしいんだけど?」
「い、嫌だと言ったら?」
「そう」
私は、ナイフで首を掻っ切った。
嫌ならこうするのみだけれどね。殺さなかったらナイフを突きつけた意味がないだろう。首から血を噴き出し、その受付は倒れる。
「この女みたいに……。うわぁ、臨戦態勢か」
他の職員はすでに剣を構えている。
多勢に無勢。こちらが不利な状況だ。けど、そんなのは気にしない。私はあるものを取り出した。この状況を打破してくれるものだ。
ニトログリセリンをたっぷり詰め込んだ丸型のもの。そう、爆弾だ。地雷を作っていたときに少しあそびでつくった。威力は知らない。けど、十分な威力が見込めるだろう。
衝撃を与えたら爆発するので投げるだけで充分だ。
「しょうがない。自力で探すよ」
私は、受付たちの中心部にそれを投げ込んだ。
その瞬間、デカい爆発が起きる。私は風の障壁で自分をブロックした。やべえ! 威力検証してなかった。これは予想外だ。
危うく自分の攻撃で死ぬとこだったぜ……。
「それにしても建物丈夫だな。普通壊れると思うけど」
建物には傷がついていただけだった。
まあいい。アストラ子爵を探そう。アストラ子爵をぶっ潰しに私は来た。有象無象に構っている暇はない。
私は死体の山を飛び越え、階段を駆け上がる。先ほどの爆発でお客も受付もみんな死んだ。黒焦げとなっていた。グロい。R指定がつくな。
「二階建てだから探すのは楽だな」
一階はすでにほとんど吹き飛んだし、窓口しかなかった。社長室があるとしたら二階。
二階は会議室などが並んでいたけれど、探しているうちに発見する。社長室……ではなく、執務室とか書かれたもの。多分ここだろう。
私は、扉を開けると、そこには剣を構えた男がいた。
「アストラ子爵かな?」
「いかにも。ブラフ・アストラだ」
狸親父がそこにいた。




