ゾンビと生きる。
頑張れゾンビの人と愉快な仲間たち。
では、そういう事で。
Brain。
「この人、どこに行こうとしてるんですかね?」
相棒がオレに話しかけて来る。
「そんなの、オレが判る訳がないだろうが」
「ですよね」
つい一時間余り前、オレたちは廃棄物処置施設の一角で搬出作業に勤しんでいたのだが、いきなり現れたコイツ、ゾンビもどきな男らしき物体に誘われて、というか半ば威される感じで行ったことも無い施設を順々に巡らされている。
「:dvbん0いd¥^」
オレたちがウダウダ話していると、突然歩くのを止めたゾンビもどきは何かをしゃべり、何かを書きつけた紙を相棒に押し付けた。
「ゾンビさんはなんだって?」
「ちょっと待って頂戴ね」
こちらをじっと見つめるゾンビさんに恐怖しながら、相棒が髪を読み終えるのを待つ。
「へえ、ここからは自分も行ったことないエリアだから、二人とも気を付けろって書いてますね」
「ふーん。って、ええっ⁈ つーことは何か、この人はこれまでもアチコチ回って来たっていうのか?」
「うーん、どっちかと云うと、壊しながら観察して回っていたらしいですよ。人喰ったりして」
「はい?」
「二枚目に、そう書いてますからね」
「あ、そう」
なんだかなー。このゾンビの人はいったい何の目的があって、そんな面倒な活躍をしていたのだろうか。しかも人を喰って来たとか本当だろうか?
「そんなことわかる訳ないでしょう。あっ、ゾンビさん先に進むみたいですよ」
ちょっと、気を付けてって言われても、何をどう気を付ければいいのかオレはわからないぞ。それに、その話がもし本当だったら、ここにいるオレたちもヤバくないか?
そう考えると全速力で逃げ出したくなるが、その場合、まず間違いなくオレたちは、割と簡単にゾンビの人に組み敷かれ、マジで喰われるんじゃないだろうか。
いやあ、金玉が縮みこんじまう話じゃないか。
だが、そんなオレの気持ちなど知った事でもないと云わんばかりに奴さんは、ガシガシ、カキン!と、まるで噛みつくような勢いで電子錠が掛った見るからに厚そうな扉を、甲高い音を煌かせてこじ開けたのだった。
「簡単に開けやがった…」
「すごいっすね」
ゴーン…。ゴーン…。
開け放たれた部屋はオレの予想を超えてデッカイらしく、天井も異様に高ければ奥行き何てまるで分らない。しかも腹に響く重低音の金属音が鳴り響いているのだから、何かの工場なんだろうかなってくらいしか予想できない。
てか、なにかの工場って何さ。
「、。・hjsjcた」
ゾンビの人はこちらを振り返り、見ため腐った腕を上から下に大きく振り下ろした。それを三回繰り返した。
「屈むのか?」
「どうやら、そうらしいですね」
下手に逆らうと何されるか分かったもんじゃないので、指図された通りオレたち二人は謎の部屋の入口手前の固い廊下に屈んだ。
「あヴゅp」
ゾンビの人は再度振り向き、オレたちが言うことを聞いたのを確認したらしく、手の平を向けて抑えるような仕草をした後、歯並びがガタガタどころか骨格自体が無茶苦茶な口に指を置いて、シュー―――ッっと、物凄く生臭い上に空気が抜けた様な音を静かに発した。
「アレもしかして、静かにしろってことかな?」
「もしかしなくてもそうじゃないですかね」
「あ、そう」
あんな血と腐肉だらけの歯でガブリと頭なり腕なり噛まれでもしたら、例えそれがかすり傷だろうと何かしらの感染症で死んでしまいそうだ。
ゾンビの人は息を殺して扉を僅かに出たところで立っている。ていうかこれ、もしかしなくても息とかしてないんじゃないだろうか。
ドガガガガガ!! ドパン!ドパン!バンバンバン!!
「……」
「ぐっ……!!」
「…わ…ああっ!」
突如前方から耳をつんざく音響と、色とりどりの短いロープみたいな光がゾンビの人とオレたちを包み込んだのだ。
Brain。 ゾンビと生かされる。
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