シンジとハルカ
シンジとハルカ
エルフ族の仙獣族への派遣軍は妖獣族の三度に及ぶ奇襲によって壊滅しかけていた。五個中隊三千五百人は今では千二百人ほどしかいなくなっていた。その生き残りの中にシンジとハルカが含まれていた。
ハルカは傷ついたシンジの右足に『エイレネ』という治癒魔法を掛けて治療に当たっていた。
「すまないな、ハルカ……痛みが大分治まったよ」
シンジは彼女の顔を見つめた。
「他に痛いところはない?」
ハルカは彼を見返した。
「ああ、他は何ともない。情けないよな…マモルだったらこんな事にならないだろうに…」
シンジは悔しそうに言った。
「……あの人は、何かが違うのよ…言葉では上手く言えないけど、根本的に何かが…」
ハルカは人族の所に行った時に見たマモルの戦い方を思い起こした。
「そうかもな……噂では人族の派遣軍も襲撃されたって噂だけどな。マモルも来てるのかな?」
シンジは人族の白仙城のある方角を見つめた。
「きっと来てる筈よ。そう思ってたからエルフィナ様は私たちに密命を託したんだから」
ハルカは真剣な顔で言った。
「そうだな。あいつに助けて貰わないとならないからな」
「ええ、マモルでも勝てるかどうか分からないけど、あの人に勝てなければ誰も勝てない。だから私たちも彼を助けるために、かつての力を取り戻すための特訓を積んだんでしょ?」
「ああ、そうだな。なあ、ハルカ…いつか返事を聞かせてくれよな?」
シンジは彼女を真剣な目で見つめた。
「……はい、治療は終わり!」
ハルカは呆れたように彼の傷を軽くポンと叩いた。
「イッテぇえええ!!! 何すんだよ、まだ完全に痛み治まってないのに…つぅ…」
シンジは傷口を撫でながら言った。
「言ったでしょ! 私は今度マモルに会ったら彼に付いていくんだって! そして離れないわ! ずっとそばにいる! そう決めたんだって! エルフィナ様もそれを許してくれたわ」
ハルカは決意の表情で言った。




