忍びの一 風間蘭丸 参上!
幕府が続く現代日本。
目立ちたくない忍びの少年・風間蘭丸の学園生活が始まります。
どうぞ気軽にお楽しみください。にんにん!
「ねえ、知ってる? 今度来る転校生の話」
「えっ? もしかしてあれ? 編入テスト、全部満点ってやつ?」
「そうそう! やばくない!?」
「先生達も噂してたよね」
「どこのクラスに入るかな? うちに来ないかなー」
「なに? もう狙ってんの?」
「そんなんじゃないけどさあ」
二人は顔を見合わせて笑った。
時は少しだけ遡る。
大成七年、五月。風間家にて。
「蘭丸や、お前ももう十六となるのう」
風間家第十六代当主、風間甚一は、向かい合って座る孫の蘭丸に語りかけた。
「はい!」
「大きくなったのう……」
甚一は涙がこぼれぬよう、天を仰ぐ。
「爺さんや、そんなんじゃ話が進みませんよ」
隣に座る妻の切子が、呆れたように言った。
「昨日まであんなに小さくて可愛い孫が、今やこんなに大きく可愛くなって……」
「それなら良いじゃありませんか」
「ははっ……」
蘭丸は頬を掻いた。
「ぐすっ……蘭丸よ。今日お前を呼んだのには、理由があるのじゃ」
「はい」
蘭丸は背筋を伸ばす。
「婆さん、アレを」
「はいよ」
切子は着物の袖から巻物を取り出し、広げた。
「ここに描かれておるのは、今の将軍、織田家 秀康様の隠し子じゃ」
「隠し子?」
「大人の世界には色々あるのじゃ。その辺の事情は、まだお前は理解せんでも良い。いや、なんなら今後も理解する必要など無いのじゃ。お前がいつしか結婚して……いや、その前におじいちゃんにちゃんと会わせなさい。もちろん、お前が選ぶような人なら、おじいちゃんは頭ごなしに反対などせん。しかし、もしも……」
「蘭丸や。爺さんはほっといて、続けるよ」
「は……はい」
「この子は、紫原 小町」
「蘭丸や。お主の護衛対象じゃ」
甚一が口を挟む。
「護衛対象?」
「うむ」
切子は巻物に視線を落とした。
「一部の反幕府勢力が、この子を狙っておるらしいのじゃ。あくまで噂じゃがな」
「しかし、織田家様は心配なされておる。それで、わしら風間家に護衛の依頼が入ったわけじゃ」
「なるほど。それで、僕はどうすれば?」
切子は眼鏡を軽く直す。
「彼女の通う霧隠高校に編入して、彼女を見守っていてほしいのじゃ」
「き……霧隠高校って。おばあちゃん、僕、中学校だって任務ばっかでまともに行ってないんだよ? こんな頭の良い高校なんて入れないよ……」
「心配せんでも良い。お前さんは、わしが出しとる勉強を毎日欠かさずやっておったろ?」
「う……うん」
「真面目なお前の頑張りは裏切らんよ。自信を持ちなさい」
「おばあちゃん……」
「そうじゃぞ! 蘭丸!」
「あっ、おじいちゃん」
「お前ならこんな高校、楽勝じゃよ!」
「うん!」
蘭丸は顔を上げた。
「あれ? ところで、霧隠高校って何処にあったっけ?」
「そうじゃのう。蘭丸が走って一時間ぐらいかのう」
「ここは山のてっぺんですからねえ。ちょっとかかるねえ」
「でも、思ってたより近かったよ。そんな近くだなんて知らなかった」
「「「はっはっはっはっはっ」」」
次回、編入!にんにん




