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神様、やめました。  作者: 雪平
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エレメーヌからの旅立ち

『これもすべて貴様のせいだッ!』

「知らねえよ・・・」


ダイオールと雑談をしていたアステールは、突然街に響いた声の詳細を確認するため東門に来ていた。

そこには自分の二代前の知識神であり、度々嫌がらせをしてきていたキーロがいた。

そしてアステールの姿をキーロが見つけると、大声でこの地上に降りてから自分がいかに大変だったかを語りだした。

そしてその語りが終わるなりすべてのことをアステールのせいにされたのだ。

そして、そのキーロの語りの間、最初に街全体に響かせる魔術を使ったままだったためアステールはひたすら呆れた目を向けていたのだが、キーロはまったく気付かずに喋り続けた。


「103代様に貴様を連れて帰るように言われた。さっさと帰るぞ。」

「無理。」

「まあ、そういうだろうとは思っておったは。だから実力行使で行かせてもらう。」


ようやく使っていた魔術が時間切れになりキーロはアステールだけに届くように再度魔術を行使する。

そしてここに来た用向きを比較的穏やかに告げるがアステールは一言で断る。

アステールとキーロは犬猿の仲であるため先ほどの発言自体事態がおかしく、本来は問答無用でこうなってもおかしくはないのだが、キーロは宣言をしてから天使達に指示をだす。

すると、アステールが騎士団の訓練場でゴーレムを作ったような、しかしそれの何倍も大きな揺れが起こる。


「・・・!?」


そして揺れがおさまった後に見えた光景に周りにいた騎士やダイオールとセーヤは息を飲む。

さきほどの揺れからアステールと戦った騎士達にはゴーレムが出てくるであろうことは予測できていた。

が、その規模は予想外であった。その数は10000体のゴーレムが陣形を組むようにして出現していた。


「これほどの数・・・私やアステール君が居てもこの街の戦力だけでなんとかなるか・・・。」


その光景にダイオールはエレメーヌのことを守りきれるか一抹の不安がよぎる。

アステールの実力が自分より遙かに強いのはわかるがこの数のゴーレムを相手にすればただでは済まないだろうと思っている。しかし、


「心配すんな、俺は魔術の方が得意だといっただろうが。」


アステールはダイオールにそういうと一歩前にでていきなり両手で柏手をうった。

パァァンという音が響くと突然すべて(・・・)のゴーレムが崩れ落ちた。


「な、なにをした!」


その光景にキーロは動揺を隠せない。

しかしアステールはその様子に笑みを浮かべ、さらにいつの間にか手に持った漆黒の剣を振り上げると、


鳥精霊の羽根ヴァルファーレ・プルーマ


とつぶやき剣を振りおろし、不可視の『羽根』を飛ばす。

するとあたりにいた天使達はな貫かれた傷を大量に受け一部の天使は首をとばされ一気に数を減らした。


「・・・!?」


その様子にキーロは動揺するが、天使達はまだそのような感情は持っていないため敵対行動をした

アステールに残りの全員で詰め寄る。

天使達は全方位から囲みアステールを捕獲するために動き、その攻撃にセーヤは顔を青くする。

しかし、アステールはどの天使とも打ち合うことなく一体に一太刀ずつ浴びせて確実に倒していく。


「く、くるなぁ・・!」


まだ作られて間もないとはいえ天使をこの一瞬で全滅させてしまったのだ。

天使は作られた初期の段階でダイオールの半分程度力を持っているのだ。それを全方位を取り囲まれた状態で一つの傷もなく文字通り切り抜けたアステール。

キーロは静かに歩いてくるアステールに恐怖を覚えた。

そしてその恐怖はいまだ全能神の力をもてあましているキーロを手加減なしの大規模魔術の使用に走らせた。


「皆伏せろッ!」


ダイオールがせめてもと叫ぶが、一瞬アステールは大丈夫とでもいう風にダイオールを見やる。

そして漆黒の剣をすこしためて、一薙ぎ。

それだけですさまじい風が起こり、あたれば街の半分が更地になっていたであろう大規模の魔術を消し去る。それだけでなくその剣圧はその後ろにあった大地までをも捲りあがらせすさまじい衝撃をあたえた。

その光景にただただ茫然とするしかないのはこの場にいるアステール以外の全員だった。

ダイオールはあの天使は一体が自分と同じほど強く、さらに全方位からの攻撃をなんの気負いもせずにすべてを切り伏せてしまったことに、

キーロは自分のほぼすべて魔力をつかった魔術がただの剣圧にやられたことに、

セーヤやほかの騎士はただただ想像の埒外の今の戦闘に、

そしてそのすべての視線を負うアステールはゆっくりとキーロに近づく。


「さてキーロ、おまえが俺を探しにきたのはわかった。で、まだ続けるか?」


そして尻餅をついているキーロにアステールが顔を近づけると脅すように言う。

ただ、なにを思ったのかキーロはそのアステールに尻餅をついたまま震えた声で答える。


「も、もちろんだ貴様を連れて帰るのが私の役目なのだ。そもそも能力では私と貴様は同じなのだ、そして私は神になるほど優秀なのだ私がまけるはずはないのだ。」


その言葉がでたのは見栄か、恐怖か、はたまたとち狂ったのかはわからないが何かが後押しになったのだろう。

しかし、後半の言葉は自己暗示でありその言葉を重ねる最中も顔は下を向いており、目も血走ったようすだった。


「そうか、じゃあ立ちな。」


アステールはキーロの返答を聞くと立ち上がりキーロから離れていく。

そして、その背中はキーロの方に向いているのだ、キーロは口を邪悪に歪めるとアステールの背中に手を向け、魔術をはな・・・てなかった。


「ア?・・・アアアアァァア!?」


アステールの背中に向けた腕はいつの間にかなくなっていた。

そして自分の腕がないことに狂乱するキーロをアステールは冷めた目で見る。


「アステール!貴様ァァァ!」


なんとか回復魔術で止血したのだろう。だが、魔術にも慣れていないキーロは止血が限界だったようだ。

顔を憎悪に染め、キーロは腕のないままアステールに全力で突進していく。

その速度はダイオールでさえも一瞬見えないほどであった。が、


「ああ足がぁぁ・・足がぁぁ!」


その一瞬の交差の瞬間にアステールはキーロの足さえも切り落とす。

そして、アステールは後ろに転がっているキーロに振り返る。


「で、まだやるか?」


先ほどと同じ台詞。しかし、アステールの殺気は先ほどとは比べものにならないほどだった。

キーロはその殺気にあてられ、すっかり泡を吹いて気絶していた。

それを確認したアステールは周りの死体やゴーレムの残骸には目もくれず街の方に歩き出していた。


------------------------------------------------------------------


「で、先ほどの者は何者なのだ?」

「あーそれはな・・・・」

「それは我も聞きたいの。」

「あなたどこから・・・。」


キーロの襲撃はアステールが全て片づけるというあっけない幕引きだった。

しかし、住民たちはそんなことは知らないため急に聞こえてきた緊急事態ようの鐘に皆家に引っ込んでおり、いつもなら賑やかな通りも今は静かだった。

そのなかをアステールとダイオール、セーヤにいつまにかいたグリムが歩いている。

グリムはこの二週間の間ずっとエレメーヌをさまよっていた。たまにセーヤと観光しているアステールと出会うときもあったが、その姿はあまり見つけられずセーヤは存在を忘れるほどだった。

そんな三人(内二人はおっさん)に詰め寄られアステールは説明を始める。


「最初にあいつの声が聞こえたときに『神』っていってたろ?」

「ああ、そんなことを言っていたな。」

「この世界には神がいて、人間からその後継者が選ばれるってのもいいな?」

「ええ。」


そう、地上に降りた神が広めたのかは定かではないが、人間の中から神が選ばれるというのは周知の事実であり、神になることを最終目標に宗教活動をしている宗教もあるほどだ。


「でも、それって眉唾ものでしょう?」


しかし、セーヤが言ったようにこの世界にそのような事実は確認されておらず、信じているものはそれこそ狂人か熱心な宗教家程度である。


「それが本当で、俺もあいつも『神』ってわけ。」

「たしかにあの実力は人間ではないと思うが、信じられぬな。」


アステールはそういうと「厳密には俺は違うけどね。」と付けたしこの話を終わらそうとする。

しかし、それが信じられるわけがなくグリムをはじめ、他の二人も疑問を呈してくる。


「そんな簡単にあんな力を持った神様が来れるならもっと話に聞いてもいいんじゃない?」

「ああ、神自体はたくさん地上にいるんだ。ただこんな力を持っているのは俺だけなんだよ。」

「ちょっとまって、それってあの人が来たのって・・・。」

「どうやら最初に言ってた通りアステール君を連れ帰りにきたらしいな。」


ダイオールとセーヤはその話を聞いてうんざりしたような顔になる。


「それって原因はあなたで今回の周りの人はとばっちりじゃない!」

「そうだな、まさかこんな早く見つかるとは思わなかった。」


セーヤの怒鳴り声にもアステールはいつも通りに返す。

ダイオールがなにも言わないのは、今回は誰も死傷者がいなかったためで、これで出ていたらさすがに

厳しい処分を下さなければならないだろう。


「それでアステール、これからおぬしはどうするんじゃ。」

「うーん、さすがにこれ以上迷惑をかけるわけにはいかないからいまから『竜神』に会いに行くか。」


グリムの問いかけにアステールはこれからの予定を話す。その会話に一瞬でてきた単語にダイオールはギョッとするがすぐに元の顔に戻ると、


「こんなことになった以上次の追ってとやらがこないとも限らない。すぐに出て行ってもらえるなら、

こちらもなにか援助したい。」


と少し苦味が混ざった顔でアステールに告げる。しかし、アステールはそんな騎士団長としてのダイオールの言葉にひらひらと手を振るとこう付け足す。


「なにいってんだ、あんたには今まで世話になったからな、その恩返しといえる状況じゃないがそんなことまでしてもらっちゃこっちの立場がなくなる。」


というと、荷物を取りに騎士団本部に歩いて行ってしまう。


-------------------------------------------------------------------


「見送りなんていらないのになあ・・・。」


そういったアステールの目の前にはダイオールにセーヤ、それと数名の騎士達がいた。

そして今アステールがいるのは騒ぎが起こった東門の反対側にある西門にいた。

その理由はグリムが、


「『竜神』に会いにいくならこっちじゃ!」


といったためであり、そのグリムはその隣でアステールの変装魔術をかけられたままの状態でにやけながら立っていた。

騎士達はアステールに、「この二週間教えられたことは忘れません!」といい一人一人握手をしており

随分慕われていたらしいことがうかがえる。

そして、グリムがにやけている元となっているセーヤは、


「はい、これ、旅のお守りよ。私が大切にしてたやつだから大切にしなさいよ!」


とアステールに少し古ぼけたお守りを若干顔を赤らめながら渡していた。

アステールが荷物を取りに行っている間、セーヤも自分の部屋に向かうといってこれをとってきていたのだ。


「さて、そんなセーヤ君に朗報だ。これは国王からの勅命なのだがね、アステール君と一緒に旅をしてもらう。」

「え、ええッ!?」


しかし、アステールに背をむけているセーヤに笑いをかみ殺したようなダイオールの声が届く。

その内容にセーヤは叫んでしまうが、詳細を聞くと実は数日前から決まっていたことのようで、セーヤの分の旅の用意がすっかり整った状態で出て来たのだ。

そして、準備の様子を愉快そうに見ていたグリムが準備の終わったセーヤを確認すると、


「では、行こうかの。」


と二人に声をかける。


「返しなさいッ!」


そしてセーヤはアステールを赤い顔で睨みつけると、アステールが持っていたお守りをひったくる。

そしてグリムの後に続いて門を出る。

その様子を苦笑しながらアステールは見送ると最後にダイオールのもう一度挨拶をすると、二人に追いつくように小走りに駆けて行ったのだった。









大変短くしかも打ち切りENDですが、もともとお試しのような感覚で投稿していたため、このような形になりました。

自分で読み返して、駆け足というより全速力な展開ですごくわかりにくかったと思います。

それでも短い間でしたが読んでくださって人がいて大変励みになりました。

こんな駄作を書いておいてなんですが、懲りずにまた何か書く予定です。

それでは お読みいただきありがとうございました。

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