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いつも側にいてくれたね  作者: 摘美花-ツグミカ-
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遥生の嘘 **遥生**

直生と腹を割って夏芽について話し合った。


直生だって夏芽のことを好きなはずなのに、どうして俺を応援するって言うんだよ。


あれ以上話しても平行線を辿るだけだったから話を終わりにしたけど、俺は納得していないんだ。


直生との件もあるけど、今日はもっと悩ましいことがある。


今日は夏芽がデートをする日だって。


昨夜直生からそう聞いた。


どうして直生は夏芽のデートを黙認してんだよ。


何とかして阻止しろよ。


俺が直生にそう言っても直生は夏芽に言わないし。


俺はイライラしていた。


その夏芽の相手を見たらあることないこと言ってしまいそうだから、日曜日は朝から出掛けていた。


とは言っても行く当てなんてないし、近所のコンビニで漫画を立ち読みして時間を潰していたんだ。



「あれ? 湯川くんだよね」


隣から知らない男に声を掛けられた。


誰だコイツ。


俺は漫画本を見開いたままその男の方をチラっと見た。


「やっぱり湯川くんだ。あ、そうか。高田さんとは幼馴染だったよね。高田さんちの近所にいてもおかしくないか」


高田? それって夏芽のことか?


もしかして夏芽がデートする相手がコイツなのか。


俺のことを直生と勘違いしてるのか。


コイツが俺のことを直生だと思っているのなら丁度いい。


俺は直生のふりをしてコイツに話し掛けてみた。


「こんなとこでなにやってんの?」


コイツは少し驚いたようだったけど、会話に返してきた。


「う、うん。今日は高田さんと会う予定なんだ。このコンビニで待ち合わせしてる」


は? ちょっと待てよ。


ここで待ち合わせてるって。


夏芽が来たら俺が直生のふりをしてるって一発でバレるじゃないかよ。


俺は少し考えて、コイツに嘘をついた。


「なぁ、お前さ、俺と夏芽が仲いいのは知ってるよな?」


「それは高田さんから聞いてるよ。湯川くんとは幼馴染なんだろ?」


「ああ。でも幼馴染以上なんだよ。夏芽はお前に遠慮してそう言ったかも知れないけど、俺は夏芽が好きだし、夏芽だって俺たち・・・じゃなくて、俺のことが好きなんだよ、きっと」


「そ、それは本当なの?」


「お前さ、見ていて分からなかったか? 鈍感な奴だな」


目の前にいるコイツは言葉を失くしたようにしゃべるのを辞めてしまった。


少しの沈黙の後、


「なんかいつもの湯川くんじゃないみたいだね。いつもの穏やかな感じと違う」


やっべ。直生じゃないのがバレたか。


確かにそうだ。


直生はいつも穏やかで優しい。


俺みたいな言葉遣いはしないよな。


「とっ、とにかくもう夏芽の周りをうろちょろすんな・・・じゃなくて、うろちょろしないでもらえるかな。夏芽は優しいからお前に断れないの理解してやれよ・・・じゃなくて理解してあげて」


くっそ、これ以上直生の真似はできないぞ。


「夏芽のことが好きだったらせめてお前から離れていけ。いや離れて行って下さい」


「・・・そっか。湯川くんに勝てないのは最初から分かってたよ。でもただの幼馴染って聞いて少し期待してしまったんだ。僕から高田さんに断りを入れるよ」


コイツはそう言って夏芽にメールを入れたようだった。


そしてコンビニを出る時、俺に言ったんだ。


「湯川くん、高田さんにちゃんと好きだって言いなよ。言葉にしなきゃ伝わらないものだよ。湯川くんの気持ちは誰にも言わないからさ。じゃね」


はぁー。


俺は頭を抱えてコンビニの中でしゃがみ込んだ。


あの男に直生のふりをして嘘をついてしまった。


夏芽と直生は両想いだと。


そして『言葉にしなきゃ伝わらない』と言われて何も言い返せなかった。


相手が夏芽なんだぞ。


そんなの嫌ってほどわかってんだよ。

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