『二つの話』
ロラン・ベルニエからの手紙がヴァロワ家へ届いたのは、少し前のことだった。
内容そのものは簡潔だった。今後の両家について、フランソワ・ヴァロワと直接話をしたい。加えて都合が許すならば、息子であるレオンにも挨拶をしておきたい。
急を要する案件ではない。だが、ベルニエ家当主から正式に届いた申し出を理由もなく先延ばしにする必要もなかった。互いの予定を照らし合わせ、いくつかの日を調整し、そうして今日を迎えた。
ヴァロワ家の応接室。
以前にも何度か足を運んだ場所で、ロランは正面に座る親子を眺めていた。
「レオン・ヴァロワです。本日はお越しいただき、ありがとうございます」
少年はそう言って、少し硬い動作で頭を下げた。
十歳ほど。
まだ子どもだ。
当然、商家の当主として評価する年齢ではない。しかし、子どもだから何も見えないというわけでもなかった。
ロランは少年の姿勢を見る。挨拶は教わった通りに行っているのだろう。声にはわずかな緊張があり、こちらを見る目も完全には落ち着いていない。それでも途中で言葉を詰まらせることはなく、隣に座る父親へ助けを求めることもなかった。
「お初にお目にかかります、レオン殿。ロラン・ベルニエです。こちらこそ、お時間をいただきありがとうございます」
「はい」
目の前の少年は、ただの子どもではない。ヴァロワ家の次期当主候補だ。ならば、相応の礼を払う理由は十分にある。
ロランの丁寧な応答にレオンはもう一度頭を下げ、隣に座るフランソワは口を挟まない。ただ息子を見守っていた。
(なるほど)
ロランは内心で一つ評価を置いた。
姉とは違う。
ルミエ・ヴァロワには、最初に会った時から年齢を意識させないものがあった。十五歳という情報を頭では理解していても、対面して話をしていると、それを基準に扱う方が不自然に思えるほどだった。
一方、レオンには、きちんと子どもらしさがある。
だからといって、それを低く見る理由にはならない。
むしろ十歳ほどでこれなら、将来には期待できるだろう。派手な才気を見せようともせず、相手へ自分を大きく見せようともしない。緊張しているなら緊張しているなりに、与えられた役目をきちんと果たそうとしている。
真面目で、実直。
少なくとも第一印象としては、それで十分だった。
「父から、ベルニエ家については教わっています」
レオンが続ける。
「魔石の加工や、魔石用品を作ることについて、とても大切なお仕事をされていると」
「そうでしたか」
「はい。ヴァロワ家が扱う魔石も、ベルニエ家の方々が加工したものが多いと聞きました」
ロランは少しだけ目を細めた。
教えられたことをそのまま暗唱しているだけではないらしい。少なくとも、自分の家が何を扱い、それがどこから来るのか程度には結びつけて理解しているようだ。内心の評価を僅かに上げておく。
「ええ。その通りです。いずれレオン殿とも直接お仕事のお話をすることがあるかもしれませんね」
少年の肩が僅かに強張った。
「はい。その時までに、きちんと勉強しておきます」
横でフランソワが小さく笑った。
「まだ先の話だよ、レオン。私もまだまだ現役のつもりだ」
「わ、分かっています」
「ならいいさ」
柔らかなやり取りだった。
甘やかしてはいない。
急かしてもいない。
ロランは親子を見ながら、以前抱いていた見立てを少し修正した。
少なくとも後継について、ヴァロワ家が何も考えていないわけではない。フランソワは時間をかけて息子を育てるつもりなのだろう。そしてレオンも、それを嫌がっている様子はない。
(悪くない)
今は、それで十分だった。流通を担うヴァロワ家の次代がどう育つかは、ベルニエ家にとっても無関係ではない。
「レオン」
フランソワが息子を見る。
「今日は挨拶だけでいい。ありがとう」
「はい」
少年は立ち上がり、今度は先ほどより少しだけ自然な動作でロランへ頭を下げた。
「ロラン様、本日はありがとうございました」
「こちらこそ」
ロランも軽く頭を下げる。
「次にお会いする時を楽しみにしています」
その一言に、レオンは少しだけ驚いたようだった。それから真面目な顔で「はい」と答え、部屋を出ていった。
扉が閉じ、応接室に残ったのは、二人の当主だけになった。
使用人が茶を置き、必要な確認を済ませて下がっていく。完全に二人きりになってから、フランソワはカップへ手を伸ばした。
「それで、ロラン殿」
穏やかな声だった。
「手紙では随分と広い話でしたね。今後の両家について、でしたか」
「ええ」
ロランも茶へ一度口をつける。
以前ヴァロワ家を訪れた時にも、似た茶を出されたことを思い出す。
無駄に前置きを重ねる理由はない。
相手が誰であれ、必要ならば言葉を選ぶ。曖昧にした方が利益になるならば、そうすることもある。
だがフランソワ・ヴァロワを相手に、わざと話を遠回りさせる必要をロランは感じていない。
理解する頭がある。
そして、理解したうえで自分とは違う判断をする男だ。
であれば話は早い方がいい。
「本日は、大きく二点についてお話ししたいと考えています」
ロランはカップを置いた。
「一つは、ベルニエ家とヴァロワ家の今後の関係について」
フランソワは静かに続きを待つ。
「そしてもう一つは、ルミエ殿についてです」
ほんのわずか。
フランソワの目が変わった。
驚いたわけではない。
むしろ、予想していたのだろう。
「やはり、そのお話もありましたか」
「では、両家についての話は予想されていたと」
「ええ」
フランソワはため息をつくでもなく、ただ茶を一口飲んだ。
「では、順番に伺いましょう」
「ありがとうございます」
ロランは軽く頷いた。
「まず、私はベルニエ家とヴァロワ家は、現在よりもさらに協調するべきだと考えています」
最初から結論を置く。
フランソワは眉一つ動かさなかった。
「理由を伺っても?」
「もちろんです」
ロランは素直に応じた。
「当家は魔石の加工を担い、ヴァロワ家は流通を担っている。現在でもこうして最低限の交流はありますが、互いに一定の距離を維持しているのも事実です。ですが、加工側が需要を早く把握できれば不要な生産を減らせますし、流通側が技術の更新を早く把握できれば、新しい製品を必要な場所へ送る判断も早くなるでしょう」
「つまり、双方の情報を今よりも深く共有するべきだと」
「ええ。それによる利益は、両家だけに留まらないと考えています」
「国全体の魔石流通にも益がある」
「その通りです」
フランソワはカップを置いた。
「随分とベルニエ家らしいお考えですね」
「褒め言葉として受け取っておきます」
「そのつもりですよ」
僅かに笑い合う。
しかしフランソワは、そのまま頷きはしなかった。
「もっとも、我々が現在の距離を保っている理由についても、ロラン殿ならご存じでしょう」
「承知しています。加工と流通。その双方に大きな影響力を持つ二家が密接になりすぎれば、独占を懸念される」
「懸念だけで済めばよいのですが」
フランソワは穏やかな声音のまま続ける。
「私たちにその意図がなくとも、市場というものは、一度力が偏れば当人たちの善意だけではどうにもならなくなることがあります」
「その点については理解しています」
ロランは否定しなかった。
「ただ、だからこそ、その危険を抑える方法を考えるべきだとも思っています」
「と言うと?」
「両家の役割を明確にする。共有する情報の範囲を定める。必要であれば第三者による監督を入れることも考えられるでしょう。危険が存在することと、協調そのものを避け続けることは別の問題です」
フランソワが僅かに笑った。
「そうおっしゃると思いました」
「ヴァロワ殿も、理屈そのものはご理解いただけるかと」
「ええ。理屈としては」
フランソワは認めた。
その返答に、ロランはそれ以上食い下がらなかった。
今日ここで両家の距離を決めるつもりはなく、考えを伝え、相手の反応を見るだけで十分だった。
「では、もう一つのお話を」
「……ルミエのことですね?」
「ええ」
今度は、ほんの少しだけ空気が変わった。
ロランは言葉を選ぶ。
曖昧にするためではない。
誤解なく伝えるために。
「ルミエ殿が行っている『調整』について、私は以前から個人に依存したままにしておくべきではないと考えています」
フランソワは黙って聞き先を促す。
「現在、王立ヴァルテール学園で相談室を任されていることは伺っています。リシャール家とクラリス家が関わっていることも」
「よくご存じですね」
「特別に調べさせたわけではありません。ルミエ殿については、自然に耳へ入った情報があれば回すように伝えている程度です」
「……なるほど」
別段に隠すようなことでもない。そしてその言葉を聞き、一瞬だけ、父親の顔が出たようにロランには見えた。それでもフランソワは頷くだけだ。
「彼らの判断そのものは、正しいと思っています」
その言葉には、フランソワも少し意外そうに目を上げた。
「意外でしたか?」
「失礼ながら、もう少し厳しく評価されるかと思っていました」
「学園に通う生徒たちは多感な時期です。そうした者たちを相手にするのであれば、ルミエ殿は適任でしょう。合理的な判断だと思います。私が先に思いつかなかったという理由だけで否定するつもりはありません」
ロランは淡々と言った。
「年齢や出自より、必要な役割を果たせるかを優先し、ルミエ殿を王立学園へ招いた。その判断自体は評価しています。現状を見る限り、成果も出ているのでしょう」
「そのようですね」
それはヴァロワ家当主としてではなく父親の言葉。
自慢げというほどではないが、嬉しくないはずもないのだろう。
ロランにはそれも理解できる。
「ただし」
言葉を切る。ここからが本題だった。
「私は、本質的な部分については以前と変わっていないとも考えています」
フランソワの表情から、僅かな柔らかさが消えた。
「ふむ」
「以前は、何か問題があればヴァロワ家へ依頼し、ルミエ殿が『調整役』として動いていた。現在は王立学園に相談室という場所を設け、その中で同様の役割を担っている。範囲を限定し、役割に名前を与えた。それ自体には意味があります。ですが、その仕組みがルミエ殿個人の存在を前提としていることには変わりありません」
「……まあ、そうでしょうね」
「彼女が学園を離れれば、相談室に同じ機能は残らないでしょう。体調を崩しても、別の役割を担うことになっても同じです」
「それは……当然ではありませんか?」
「ええ。ですから、その当然を変えられないかと考えています」
フランソワが少しだけ目を細めた。
「人間を、技術と同じようにお考えですか」
「同じだとは考えていません」
ロランはすぐに答えたが取り繕う気はない。
「ただ、共通する部分はあると思っています」
「……共通」
「ええ。優れた職人に、その者にしかできない技術があるとします。もちろん、その才能には敬意を払うべきでしょう。ですが、そこで終わらせる必要はありません。工程を記録し、分解し、他者が再現できる部分を探す。完全な再現ができないとしても、一部を他者へ移せるのであれば、それだけで意味があります」
「それを、ルミエにも?」
「ルミエ殿が行っていることについても、同様に検討できるのではないかと考えています」
あくまで整然と答えるロランを、フランソワはしばらく見ていた。
「具体的には?」
「現時点では、まだ構想の段階です」
「構想ですか。貴方であればもう少し具体的な案が出るかと思っていましたが」
「私はルミエ殿が何を、どのように行っているのか、完全に理解しているわけではありませんので」
ロラン自身も、己の能力を過信しているつもりはない。
分からないものは、分からない。むしろそのように正しく認識することが肝要だ。
「人を見ることに長けている。話を聞き、必要な時には踏み込み、必要でなければ待つ。異なる立場の人間を前にしても、不必要な対立を生まずに話を進める。さらに、彼女と関わった者の意欲や判断に良い変化が生じることもある」
実際にベルニエで何度も見聞きした現象だ。しかし、その原理は今もはっきりとは分からない。
「ですが、その全てが彼女にしかできないとは限りません。彼女が関わった事例を記録し、何を聞き、どう応じ、その結果として何が変化したのかを比較する。共通する部分が見つかれば、他の人間にも再現できる可能性があります」
「そして、他の者にも『調整役』を担わせる」
「あくまでも再現可能な部分については、ということになります」
ロランはそこを明確に訂正した。完全な再現を前提にすれば、そこで判断を誤る。できることと、できないことは分けて考える必要がある。
「十あるうち二しか再現できないのであれば、二を使えばいい。五なら五です。八ならなおいい。最初からルミエ殿と同じものを求める必要はありません」
フランソワは黙っている。
ロランはその沈黙を拒絶とは取らなかった。
考えている。
それだけだ。
「将来的には、調整を担える人間を育成することも考えられるでしょう。通常の案件は他の者が処理し、ルミエ殿にしか扱えないものだけを本人へ任せる。そこから得られたものもまた記録する」
「そして、最終的には」
フランソワが初めて先を取った。
「ルミエがいなくても回るものを作る?」
「それが理想だと考えています」
フランソワはカップの縁に指を添えたまま、しばらく考え込んだ。それから一口茶を飲み、息を吐くように頷く。
「……ロラン殿のおっしゃることには、理解できる部分があります。娘一人へ負担が集中することを避けたい。それ自体は、私も同じです。ただし」
予想した答えだったが続きがある。
ロランは何も言わずに待った。
「少し、気になることもあります」
「何でしょう」
「ロラン殿がルミエを語る時です」
フランソワは穏やかだった。
責める声ではない。
だからこそ、ロランも即座に反論せず聞いた。
「ルミエには価値がある。その働きの再現可能な部分を残すべきだ。社会へ役立てるべきだ。その考えそのものを、私は全て否定するつもりはありません」
フランソワはそこで僅かに笑った。
「何より、あの子自身、人の役に立つことを嫌がるような娘でもありませんから」
ロランも知っている。
あれはそういう女だ。
「ですが、時々分からなくなるのですよ」
「何がでしょう」
「ロラン殿が、一人の人間としてのルミエを見ているのか。それとも優れた何かとしてのルミエを見ているのか」
ロランは僅かに眉を寄せた。質問の意図を測りかねたからだ。
「その二つは、両立するのではありませんか。人であることと、優れた能力を持つことは矛盾しません」
「ええ、だからこそ、難しいのでしょうね」
ロランには、その言葉の意味がすぐには分からなかった。
フランソワは窓の方へ一度だけ視線を向け、それからロランへ戻す。
「ロラン殿は、ルミエの負担を減らしたいとお考えなのですね」
「その意味もあります」
「同時に、その力をより広く活用したいとも考えている」
「ええ」
その迷いのない返答にフランソワが小さく笑った。
「否定なさらないのですね」
「否定する理由がありません。価値があるものを活かすことと、それを使い潰すことは別です。だからこそ、個人に集中しているものを分散させる必要があると考えています」
「……なるほど」
フランソワはしばらくロランを見ていた。
「ロラン殿は本当に、ベルニエ家の当主ですね」
「そうでなければ困ります」
場の空気が僅かに緩むが、話は終わっていない。
「それでこの話と、先ほどの両家の協調は、どこまで繋がっているのでしょう」
当然の問いにロランは率直に答える。
「切り離して考えてはいません。ベルニエ家には、技術を記録し、分類し、一般化してきた経験があります。ヴァロワ家には、各地から人と情報が集まる。両家が協力するのであれば、ルミエ殿の行っていることを検討するうえでも大きな利点があるでしょう」
「なるほど」
フランソワの言葉に拒絶も賛同もない。
その反応を見てロランは、もう一歩だけ進める。
「それに、私は両家が今より深く協調すること自体が、長期的には国の利益になると考えています」
「そのお考えは、先ほど伺いました」
「その形はいくつも考えられます。共同事業でもいい。継続的な協議の場を設ける方法もあるでしょう。互いに人員を出し合うこともできます」
婚姻についてまで口にするのであれば、さすがに言葉は選ぶ必要がある。フランソワはヴァロワ家当主であると同時に、ルミエの父親でもある。その程度の配慮を欠くほど、ロランも無作法ではなかった。
「将来的な婚姻も、方法の一つにはなるでしょう」
室内が、ほんの僅かに静かになった。
フランソワがゆっくり瞬きをする。
「……それは」
初めて、本当に少し驚いたようだった。
「ロラン殿と、ルミエの?」
「可能性の一つとして、です」
ロランは落ち着いて答える。
「もちろん、現時点で具体的に申し入れるつもりはありません。両家の長期的な関係を考えた場合、婚姻も古くから用いられてきた手段ですから、最初から除外する理由もないと考えているだけです」
「……そうですか」
フランソワは再び茶へ手を伸ばした。
その動作はいつもと変わらない。
だが、今度の沈黙は先ほどまでより少し長かった。
ロランは待つ。
急かす必要はない。
「一つだけ、伺っても?」
「もちろんです」
「ロラン殿は、ルミエを好いているのでしょうか」
予想していなかった質問にロランは一度だけ瞬きをした。
だが、答えに困るほどでもない。
「好ましい方だとは思っています」
「ほう、好ましい」
「ええ。能力は高く評価していますし、話も通じます。ベルニエへ滞在されていた際にも、良好な関係を築けたと考えています」
「なるほど」
フランソワは、なぜか僅かに笑った。
「何か?」
「いえ。失礼しました」
フランソワはそれ以上、その話を追わず、ただ、カップを置いてから、改めてロランを見る。
「ロラン殿のお考えは分かりました」
「ありがとうございます」
「もっとも、今日ここで答えを出すつもりはありません」
「承知しています」
そこまで求めてはいない。最初から全てが決まるはずもないし決める気もない。
「私はこれまでの距離が間違っているとは思いません。ですが、この先も永久に同じでなければならないとも考えていません。私の代かもしれない。レオンの代か、そのさらに先かもしれない。いずれ、今とは違う関係になることはあるでしょう」
「ええ」
「ルミエについても、娘一人に負担を集めないという意味では、ロラン殿のお考えには興味があります」
ロランは黙って続きを待った。
「ただし」
今度は、ヴァロワ家当主ではなく父親の目だった。
「娘を仕組みの一部にするだけの話であれば、私は賛成できません」
ロランはその言葉を聞き、僅かに眉を寄せた。
「私も、そのつもりはありません」
「そうですか?」
「ええ。むしろ反対です。個人への依存を減らし、彼女にしかできない仕事を減らす。それによって、ルミエ殿自身を一つの役割へ縛りつけずに済むと考えています」
それが、ロランの考える最も合理的な方法だった。
フランソワはしばらく考え、それから穏やかに笑った。
「でしたら、そこから先はもう少し話ができそうですね」
「ええ。また改めて」
当主同士として、静かに言葉を交わす。
その日、何かが決まったわけではなかった。
ベルニエとヴァロワの距離も。
ルミエの将来も。
婚姻も。
何一つ。
ただ、これまでロラン・ベルニエの中にしかなかった考えが、初めてフランソワ・ヴァロワの前へ置かれた。
優れた個人へ依存せず、その働きを記録し、分け、残し、他者へ渡していく。
ロランには、それが正しい未来に思えた。
そしてフランソワにも、その全てを最初から退ける理由はなかった。




