表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生令嬢は暗殺者となり、異世界勇者を護衛する ~動物すら殺せない公爵令嬢ですが、こんな私でも魔王は倒せますか?  作者: 八ッ坂千鶴
第4章 ベルンライト領にて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/41

第35話 龍神の滝

 龍神の滝前で私たちはアダムを待った。数分後、彼は戻ってくる。地上に降りると、彼は、申し訳なさそうな顔をしていた。


「今回の件……我は参戦しかねる……」


「それはどうして……」


 私は聞いた。アダムはさらに続ける。


「占拠している者が、神殺しの魔具を持っていた。我もメウスと同じ神。神殺しの剣に触れれば、どうなるかもわからん……」


「そうですか……」


「しかし、たしかにここは迷路だ。滝の周辺までは我が案内するとしよう。敵地に入ったら即座に退避する。いいな?」


「ありがとうございます」


 アダムは低空飛行を始めた。私たちは梅林の奥の奥へと移動する。梅の花がちょうど咲いていた。


 シリルによれば、一年のほとんどを薄紅色の花で満たされているらしい。ゆっくり慎重に入っていく。


「ミカエラさんは、梅の花は?」


「前に見たことあります。この世界の梅ではないですけど」


「そうなんですね……」


 エレンにどう説明すればいいかわからなかったけど、前世でも梅林には来ていた。だけど、ここの花は形状が少し違う。


 きっと、この世界の固有種なのだろう。桜よりも多めの切り込みがあり、一輪一輪が大きい。品種を知りたくなってしまう。


「ミカエラさん。もし……」


「何?」


「もし、メウスがミカエラさんを選んだとしたら、どう思いますか?」


「え?」


 私はエレンの質問の意味が理解出来なかった。メウスが私を選ぶとは、どういうことなのだろうか。


「えっと、さっきのは忘れてください。僕もミカエラさんのことが好きですし。メウスも同様だし。いつも、取り合いにはなるけど」


「う、うん……。きっと、彼も早く三人で寝たいんだと思う。私と……エレンを入れて。だけど、それをまたするには、私にかかった魔族の魔力を全て消さないといけない」


「そうですね……。まずは、原因となっているものを解消する。ですよね」


「だね、エレン」


 初めて会った時よりも、エレンが強くなった気がする。自分に自信がなくて、弱気だった彼。だけど、今は私を心配してくれる。


「アダムさん。龍神の滝まではあとどれくらいでしょうか?」 


 後ろを歩くシリルが、アダムに問いかける。アダムは高度を上げて、全体確認をしたのち。


「まだまだ先だ。ここは木々が深い。我でも迷子になりそうだ……」


「あ、あはは……。メウスい――」


「ん? ミカエラなにか言いかけてたな?」


「い、いえ、なんでもないです。アダムさん……」


 だんだんピリピリした空気になってきた。今までの妄想と空想をかき消そうと、私は頭を強く振る。


 アダムとメウスを比べてはいけない。わかっているけど、比較する人物を間違えている。


 メウスは私たちの世界を全部知っている。対して、アダムは正反対。こちらの世界にものすごく疎いとのこと。


「もうすぐ着く。この道を真っ直ぐ進めば、龍神の滝だ」


「ありがとうございます。では、ここでアダムさんとは」


 私たちはアダムと別れて、残りの一本道を歩く。だんだん滝の音が大きくなってきた。そして、魔力が非常に濃く感じる。


「ッ!?」


 途端。私の視界がホワイトアウトした。目の前に広がる滝周辺の観覧エリア。そこに、角を生やした人が数百人以上いる風景。


 これは、私の魔眼が見せてくれたものなのだろうか。情報量の多さに、混乱してしまうくらい頭が痛くなる。


「ミカエラさん!」


 エレンの声が私を引き戻す。見える世界が元に戻り仲間の顔がはっきりした。

 

「大丈夫」


 私は一言そう言って、状況を説明。先にシリルが様子を見に行くと言ったので、休憩を兼ねて近くの梅の木の下に座った。


「ミカエラさん。何があったんですか?」


「さっき、沢山の角を持つ人が見えて……。エレンわかる?」


「そうですね……。角があるのは、ユニコーン系の亜人種とかですけど。その角はどういう形でしたか?」


「こ、こう……湾曲してて……」


「湾曲!?」


 エレンの身体が震え出す。少しして戻ってきたシリルも、妙な汗をかいていた。


「シリルさん。どうでしたか?」


 私は質問を投げる。


「そうですね……。あそこを占拠しているのは、魔族です。それも、全魔族の総まとめ役。大魔王リザークの手下かと」


「リザーク?」


「はい……。彼はボクのお母さんとは犬猿の仲。お母さんは交渉でかつ人間を支援しますが、リザークは力で支配する絶対的王者です。つまり、占拠している魔族は一定以上の実力者だと考えられます」


 シリルの目を見る。瞳孔の揺れはない。嘘ではない。彼の分析結果からしてこちらの勝ち目がないのは明らかだった。


「ここは、ボクが先導します。というより……。本気で戦った方がいいですかね?」


「なんでシリルさんが私たちに?」


「それは……。少々言い難いのですが……」


 シリルが少し顔を赤くした。


「ボク……。カッとなると人が変わるって言われるんです……。自覚はないんですけどね……。エレンは知ってると思いますが、ミカエラさんに驚かれてはいけませんから。念の為許可を……」


「は、はぁ……」


「シリル先生は、怒ると非常に怖いですからね。沸点が低いというか……。スイッチが入ると、急に色々変わって……」


 エレンが情報を付け足した。シリルが本気を出さないと難しいレベルなら、抑え込む必要はないと思う。


 私は『問題ないです』と答えた。シリルは先に敵地に突っ込み、全員の注目を集めると作戦を伝えてくれる。


「では、行ってきます。合図として号令花火を出しますので、その時に出てきてください」


「わかりました」


 シリルが走って敵地に入っていく。途中、暴風を起こすハイネストを発動した気配がした。


 エレンが『あれは号令ではないです』と補足してくれる。『じゃあ何なの?』と聞くと……。


「あれは、シリル先生が本気を出した合図です。あの魔法で人間の姿から魔族の姿に変わるんですよ」


「そうなんだ……」


 私はシリルが魔族になったところを想像してみた。エメラルドグリーンの髪に角。顔立ちのいい彼が、そんな姿をするはずがない。


 そんな時大きな花火が打ち上がった。エレンが『行きましょう』と言う。私たちは走って敵地へと向かった。


 そこには、二本の角を生やしたシリルの姿。チラリと見える目つきは穏やかとは程遠い、怒りのつり目になっていた。


「自然には絶対触れさせるものか!」


 誰の言葉かわからない。だけど、エレンはシリルの癖と説明する。私は、シリルの様子を見守った。


「ハイネストリア! リムス! アクト!」


 シリルが魔法を唱える。どれも私が知らない魔法だった。直後、巨大な風が巻き上がり、勢いが拡大していく。


 だけど、木々には影響がなく。どういう訳か、敵の魔族だけがダメージを受けたようで……。


「オレが愛する自然には、絶対手を出すな!」


「シリル先生! かっこいいです!」


 シリルの懸念。それは、大幅の人格改変だった。

読んでくださりありがとうございます。


ぜひブクマしていってください。


いいねは賽銭箱に大事にしまっておきます。

リアクションも別の賽銭箱に入れておきます。


次回、久しぶりに主人公の姉登場!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ