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転生令嬢は暗殺者となり、異世界勇者を護衛する ~動物すら殺せない公爵令嬢ですが、こんな私でも魔王は倒せますか?  作者: 八ッ坂千鶴
第4章 ベルンライト領にて

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第33話 聞き込み調査と深まる謎

 アダムが偵察から帰ってくるまでの間。私たちはそれぞれの部屋で食休みをしていた。メウスはといえばいつの間にか復活している。


 私は龍神の滝について調べていた。この場所にはなにか特別なものがある。そう推理したからだ。


 まずは、聞き込みから始めた。ここには前世で有能だったスマホのようなものはない。だから、聞き込みでしか情報が集まらない。


「シリルさん。龍神の滝の情報少しいいですか?」


 私はシリルの部屋に行って、真っ先に聞いた。彼は産まれた時に両親と訪れたことがあるらしい。記憶が少なくても雰囲気くらいはわかると判断。


「うーん。龍神の滝ねぇ……。ボクがほんと小さい時でしたので、有力までとは行きませんけど。とても神聖な場所ですね。一度行くだけでも苦労すると。お父さんが言ってましたよ」


「ふむ。一度行くだけでも苦労すると……」


「はい。龍神の滝周辺は梅の木が迷路のように植えられているそうです」


「迷路ですか……」


 龍神の滝は迷路になっているという情報。シリルの情報はそれなりに貴重なものと結論付けてみる。


 次はセリンに聞くことにした。獣人でも龍神の滝には行くのだろうか。そこが不安材料かもしれない。


「シリルさん。ありがとうございます」


「どういたしまして。お力になれたなら嬉しいです」


 私はシリルの部屋を出て、セリンの部屋を目指した。廊下ではエレンが立っていて、私を案内してくれる。


「エレンの家ってすごいね。部屋がわかりやすい」


「それは言えてるかもですね。ミカエラさんの家はものすごく複雑な感じでしたから」


「そうですね……」

 

 食休みを終え復活したメウスといえば、相変わらず廊下の装飾を見て回っている。今は話しかけない方がいいかもしれない。


「そういえば。ミカエラさんの家にいた時、小さい銃を持ってましたよね? ワインレッドの」


「あれはメウスがセリンさんと作ったものみたい。メウス、銃が大好きみたいだから」


「そうなんですね……。僕もいつか持ってみたいです。さすがに、ミカエラさんが使ってる大きいのは使えませんが……」


「あはは」


 エレンとはもうかなり長い時間いるのに、今も敬語なのが違和感しかない。なんで彼は敬語にこだわるのか、聞きたくても聞けなかった。


 少ししてセリンの部屋につく。彼の部屋は裏手側の部屋だった。他の部屋よりも大きく、暖炉が設置されている。


 セリンはちょうど武器のメンテナンス中。砥石で剣を研いでいるところだった。こんな状況でも対応できるのが、彼の強みなのかもしれない。


「セリンさん?」


「あ? 今は取り込み中だ。集中させてくれ」


「すみません……。少し待ちます……」


「頼む」


 私は剣を研ぐ音を聴きながら待った。だけど、なかなか終わる様子がない。ここは別の人聞き込みをした方がいいかもしれない。


「他をあたってきます」


「んあ? お、おう……」


 私はセリンの部屋を出て、アイナの方へ向かった。少しして台所まで行くと、アイナはお昼を作っているところ。


「あら、ミカエラさん。お昼はまだよ」


「いえ……。お腹が空いているってわけではなくて……。アイナさん。龍神の滝の情報ってありますか?」


「龍神の滝ねぇ……」


 アイナは野菜を切る手を止めて、リビングにある本棚から一冊の本を出す。受け取った本の著者はメウス・リーファだった。


「メウスの本……」


「そういえば、同名の方がここにいらしてたわねぇ……」


「その……。本人です……」


 私は本当のことを言った。アイナは少し驚いた顔で、私の両目を見つめる。私が眼科医のシリウスさんにやってた行動だった。

  

「本人? それは、ミカエラさんと一緒に来ていたメウスさんが、メウス・リーファ先生ということで合ってるかい?」


「はい……」


「嘘ではないみたいねぇ。まさか先生本人と一緒に暮らせるなんて、わたしゃ感激ものだよ」


「良かったです。では、この本拝読させていただきます」


「どうぞ」


 私は、アイナから渡された本を読む。これは、どちらかといえば写真集みたいなものだった。


 ベルンライト公爵家の家。稲作をしている田んぼ。小川など風景写真がほとんどだ。


「ふーん。ミカエラってそういう本もじっくり読むんだねぇ……」


「ッ!?」


 真後ろからの声。振り返ると、そこにはメウスが立っていた。思わず本を閉じてしまい、どこまで読んだかわからなくなる。


「メウス。これって……」 


「全部ぼくが撮った写真だよ。えーと、龍神の滝の写真は――256ページだね」


「メウスはページ全部覚えてるの?」


 初めて私がメウスの本を読んだ時、メウスは白紙のページをピンポイントで教えてくれた。それが今まで謎だった。


「今まで書いた本の内容は全て覚えてるよ。今は新しい数字を覚えることは難しそうだけどね……」


「元々記憶力高いとか?」


 正直ありえない。メウスは神議会のことを完全に忘れていた。覚えていれば、身代わりをせずに出席しているはずだ。


 だけど、彼はアルバスを救うことだけを考え、自分が死ぬかもしれないのに身体を張って神殺しの呪いを受けた。


 余計に彼が考えてることがわからなくなる。メウスは一体何をしたいのだろう。モヤモヤは増えていくばかり、出口なんてどこにもない。


 そもそも、なぜ私が暗殺者として産まれるのを知っていて聖女という正反対の力を与えたのか。そこから、私自身の謎が増えている。


 神なら未然に防げるはず。なのに彼はそれをしなかった。どう考えても手違いにしか見えない。


 生と死を司る人間が、この世界に生まれていいのか。そして私がその力を持っていていいのか。私は何のために生まれたのか。


「メウス……。私は……これから何をすればいいの……」


「それはぼくもわからない。生と死。相反の力を持つ人はぼく自身君が初めてなんだ。本当はもっと適任な家の出自にしたかった」


「え?」


「君の家は、特殊すぎるんだ。フランさんが女系貴族出身。そこは代々暗殺者として活動をしている。君の家で生まれる女児は結果的に暗殺者として活動をする。必然的な運命なんだ」


「……」


 付け加えるように、転生先を決めるのはメウスではなくもっと上の人が行うとの事。彼がやる仕事は、転生予定者に生まれる家庭を伝えるだけ。


 メウスが決めたわけではないとなれば、私の謎はさらに深まる。奥の奥まで考え込む癖。そのせいで私は、頭がパンクするほど情報が多い。


 なのに、ピースが上手く嵌らない。この世界を紐解くには、もっと長い時間をかける必要がある。


 もしかしたら、これから行く龍神の滝にヒントがある可能性だってある。私は本を部屋へ持っていった。


 これから始まること。新たな迷いが渦巻く中、ただひたすら、本の世界に潜ることにした。

読んでくださりありがとうございます。


ぜひブクマしていってください。


いいねは賽銭箱に大事にしまっておきます。

リアクションも別の賽銭箱に入れておきます。


次回。いよいよ龍神の滝へ出発!!!


ランキングタグに並行連載する作品のリンクがあります。かなり奇抜なラブコメです。よろしくお願いします

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