表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/146

102.ハリウッド攻略戦

 香織達は、ライアンの案内で、再び解放軍の支部に来た。案内された広場には、沢山の人がいた。解放軍の支部の場所は、この前の話し合いの時に、判明していた。場所は、グリフィス天文台だ。だが、建物は、増改築されており、三年前の面影はない。


 香織達は、広場で待っていると、エマが降りてきた。


「全員揃ったね。これより! ハリウッド解放作戦を開始する!! 先発隊は、ハリウッドに進め!」

「「はっ!!」」


 解放軍の部隊が先に、ハリウッドに向かう。そして、香織達の元にエマがやって来た。


「ボスは、今、チャイニーズシアターの前にいる。先に向かった部隊が、手前にいるモンスターを殲滅するから、そこで出来た道を進んで、チャイニーズシアターに向かって」

「途中のモンスターに関しては、同行する冒険者と解放軍で止める。香織達は、力を温存してくれというわけだ」


 エマと玲二が、香織達に説明する。


「よし、じゃあ、俺達も出発するぞ。香織達は、最後尾に付いてきてくれ」

「うん、分かった」


 玲二達が、先にハリウッドに向かい、最後尾に香織達が付いていく。全員が走っているので、香織達も軽く走っている。エマだけは、本部で待機していた。全員で行って、全滅するわけにはいかないからだ。


「チャイニーズシアターってどこら辺?」

「確か、ハリウッドの中でも西寄りにある場所よ。俳優さんのサインや手形、足形が刻まれているんじゃなかったかしら?」

「うわぁ……それは、壊されたくないね」

「香織は、洋画が好きだったものね」

「うん。急がないと」


 三十分掛けて、ハリウッドの範囲内に入る。香織達だけで進めば、空を駆けていくことが出来るので、これよりも速く現場まで向かえる。しかし、今回のボスは、取り巻きを呼び寄せるため、その対応をする玲二達と一緒に行動しないといけない。


「ここから、ハリウッドだ! 気を引き締めろ!」


 前の方からそんな声が飛んできた。香織達は、フィールドダンジョン『ハリウッド』に足を踏み入れた。周りでは、既に戦闘が始まっている。解放軍の先発隊が、道を切り開いているのだ。その道を、玲二達を先頭にして、進んで行く。


 先発隊のおかげで、戦闘をせずに進んで行く事が出来た。三十分程走り続けると、段々とボスの姿が見えてくる。エマの話通り、巨大なティラノサウルスだ。やはり、その大きさは、赤龍達よりも小さい。


「見えた! 全員、散開! 敵が集まって来次第、戦闘開始しろ!」

「「おう!」」


 香織達の前にいた冒険者と解放軍が散開して、道が出来上がる。香織達は、走る速度を上げて、駆け抜けていった。香織達の接近にティラノサウルスも気が付く。すると、その巨体からは考えられない速度で香織達に向かってきた。


「速っ!」


 その速度は、赤龍や黒龍なんかよりも断然速い。香織が、地面を支配して壁を作り出す前に、氷の壁がティラノサウルスを阻んだ。白雪が、魔法で作り出したのだ。


「ナイス! 白雪!」


 戦闘中に筆談板を使う事は出来ないので、頷いて返事をする。


 ティラノサウルスは、氷の壁に突っ込んだ結果、頭を強く打った。そして、怒り狂った顔で、咆哮した。その咆哮は、赤龍や黒龍に負けないくらいの大きさで、響き渡る。


「仲間呼んだ!」

「坂本さん達に任せるわよ。一気に片を付けるわ!」


 咲は、氷の壁を迂回するように、駆け出す。その反対側に焔も走っていった。


「星空、曲射!」

「うん」


 星空は、弓を上に向けて、魔力で作った矢を、一気に何本も放った。その先端、鏃に当たる部分は、黒い炎で出来ている。矢がティラノサウルスに刺さると、黒い炎が延焼していき、身体を焼いていく。


 ギャオオオオオオオ!!


 ティラノサウルスの叫び声が響く。そして、藻掻き苦しむティラノサウルスに、咲と焔が急接近する。そのタイミングで、香織が氷壁を支配し、氷の形状を操作。ティラノサウルスに巻き付ける。ティラノサウルスは、身動きの取れないまま、黒い炎に苦しめられている。そして、ティラノサウルスに巻き付いている氷を足場にして、咲と焔が駆け上がった。

 互いに目配せをして、攻撃のタイミングを合わせる。焔は首を、咲は心臓を斬り裂いた。首が落ち、心臓が破壊された事で、ティラノサウルスが倒れた。


 時間にして、約一分の短い戦闘だった。それを横目にみた解放軍の面々は、眼を剥いて驚く。


「案外、あっさり終わった?」

「でも、攻略したって案内は来ないよ?」


 星空の言うとおり、ティラノサウルスを倒して、一、二分経っているのだが、天からの声が降り注いでこない。


「つまり、フィールドダンジョンの核があるってことだよね。なら、導きのコンパスで調べようか」


 香織は、コンパスを取り出して、フィールドダンジョンの核がある場所を探す。


「えっと……ん? 核が場所が指されない……」


 導きのコンパスは、探しているものを指すのに、針が一回転してから指すようになっている。しかし、今の導きのコンパスは、ピクリとも動かない。つまり、探しているものがないということだ。


「……ティラノサウルスがボスじゃないって事?」

「じゃあ、どこにボスがいるの?」

「ちょっと待って」


 香織は、導きのコンパスで、ボスの居場所を探す。すると、ティラノサウルスがいる場所とは、別の場所を指した。


「咲! そいつボスじゃない!!」

「どういうこと!?」

「向こうに、本物のボスがいる!」


 これには、玲二達も動揺する。


「全員! 警戒して!」


 香織がそう言うと同時に、地面が弾け飛び、中からさっきのティラノサウルスよりも一回り大きいティラノサウルスが出て来た。飛び出してきた勢いそのままに、香織に噛み付こうとしてくる。誰もが、香織が食われたと思った。しかし、その前に、ティラノサウルスの動きが完全に止まった。


 香織達の吐く息が白くなっている。辺りの気温が急激に下がっているのだ。そして、香織の前には、眼を青く輝かせた白雪が立っており、杖を前に向けていた。杖の向く先には、凍り漬けになったティラノサウルスがいた。それでも、まだ生きているらしく、氷を破壊しようと小刻みに動いている。しかし、それも無駄に終わる。白雪が杖で、地面を突くと同時に、地面からいくつもの氷柱が勢いよく生え、ティラノサウルスを貫いた。


 さっきまで、小刻みに動いていたティラノサウルスが一切動かなくなっていた。


『フィールドダンジョン『ハリウッド』の攻略を確認しました。攻略者全員に進化の権利を贈与します。攻略の立役者である人造人間・白雪に、後日別個で報酬を授与します』


 ハリウッドの攻略が完了した。しかし、周りには、まだ敵がいるので、戦闘は続いている。そんな中、香織は、白雪に駆け寄った。


「白雪! 大丈夫!?」


 香織が心配している理由は、白雪の魔力だ。ティラノサウルスを一気に凍らせ、尚且つ巨大な氷柱を何本も生成して、貫いたのだ。魔力の消費量は、かなり多いはずだ。


 白雪は、慌ててマジックバッグから筆談板を取り出す。


『大丈夫。魔力は、ほとんど無いけど、少し残っているから』

「そう? 全く、無理しちゃダメだよ」


 香織は、白雪の頭を撫でてから、手を上に掲げる。そして、いつも使っている雷の魔法を使い、近寄ってくる恐竜を次々に焼いていく。咲、焔、星空、冒険者、解放軍も動き、近寄ってきた恐竜を殲滅した。


 こうして、何の問題も無く、ハリウッドを攻略することが出来た。

読んで頂きありがとうございます

面白い

続きが気になる

と感じましたら、評価や感想をお願いします

評価や感想を頂けると励みになりますので何卒よろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=312541910&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ