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変わってしまった現代で錬金術師になった  作者: 月輪林檎
第三章 再会

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101.ハリウッド攻略会議

 ハリウッド攻略のための話し合いは、地図を広げるところから始まった。


「便利な地図だね。私達も欲しいくらいだよ」

「一枚くらいならあげるよ。作ろうと思えば作れるし」

「なら、有り難く頂くよ。それで、フィールドダンジョンについてだけど、範囲は、実際のハリウッドの範囲と同じ。そこまで広くないから、全域を調べるのに時間は掛からなかった」


 今から攻略するハリウッドは、東京や京都、札幌、大雪山国立公園よりも面積は小さい。そのため、全域を調べるのに、苦労はしないだろう。


「敵の種類は、そっちも知っての通り、恐竜。ボスは、大型の草食恐竜くらいの大きさのティラノサウルスだ」


 ティラノサウルスの大きさが大体十数メートルと考えて、大型の草食恐竜と同じくらいの大きさとなると、大体二十数メートルと二倍の大きさになるだろう。それでも、赤龍や黒龍よりは小さい。


「じゃあ、あまり速く動かない感じ?」

「いいや、巨体ではあり得ない異常な速さで動くから、油断は出来ない」


 アメリカでも大型モンスターの挙動は、遅くなることがないらしい。


「そのティラノサウルスの攻撃力と防御力が、異常なまでに強すぎてね。こっちの攻撃は通用しないし、向こうの攻撃は、こっちの防御を突破してくるしで、お手上げ状態なの」

「他の恐竜はどうですか?」


 咲は、ボス以外のモンスターについて問う。


「色々な恐竜がいる。大型から小型までね。小型は、対処が楽だけど、大型は、少し苦戦する。皮が分厚いせいなのか、剣や魔法が効きにくいの」

「大型のモンスターには、集団で対処する方がいいみたいだな。何か弱点はないのか?」

「一応、氷が弱点みたい。ただ、小型ならまだしも、大型となると、凍らせるのは難しいね」


 氷の魔法を使える人は、結構少ない。水魔法の派生形なので、水魔法をある程度使えるのが、使用条件となっている。


「ボスの居場所は一定なのか?」

「いいや、徘徊型のボスだよ。今は……ちょっと待っていて」


 エマは、近くにあるベルを鳴らす。部屋の中にベルの音が響き渡る。すると、扉を開けて、一人の女性がやって来た。エマが鳴らしたのは、『共鳴のベル』と呼ばれるものだ。二つで一つの魔道具で、片方でベルを鳴らすと、もう片方のベルも鳴るというものだ。エマが、鳴らしたことで別室にいた女性を呼び出したのだ。


「現在のティラノサウルスの居場所は?」

「最新の目撃情報が、十分前で、ロサンゼルスシティ大学にて睡眠中です」

「その前は、確か……チャイニーズシアターに居たんだっけ?」

「はい。一日で移動してきたようです」

「こんな感じで、一定の場所に留まるって事は、かなり少ない。睡眠時くらいだと思う」


 用が終わった女性は、そのまま部屋を出て行った。他の業務などもあるので、いつまでもいるわけにもいかないのだ。


 今までのフィールドダンジョンは、ボスが基本的に動かない場所ばかりだった。だが、今回のフィールドダンジョンでは、ボスは、ダンジョン内を徘徊しているようだ。


「どんな作戦で行くの? 全員でボスを一斉攻撃?」

「いいや、あのティラノサウルスは、攻撃を加えると周囲にいるモンスターを集めてくるから、そっちの対応をする人員も必要になる」

「じゃあ、分かれる必要があるって事だな……」


 玲二は、顎に手を当てて、少し考え込む。


「香織達で、対応出来るか?」


 玲二は、背後を振り返りながら、そう訊いた。


「うん。出来ると思うよ」


 香織が、何でもないように答えて、咲も頷いて返事をする。


「二人だけで、ボスと戦えるの?」


 エマは、香織達に確認する。


「ううん、正確には、もう三人いるよ。だから、計五人でボスを相手するの」


 香織の言うとおり、玲二の言った香織達の中には、焔、星空、白雪の三人も含まれている。


「だから、他の皆は、集まってくる取り巻き達に対応するって事でいいんだよね?」

「ああ、それが一番勝率が高いだろう。香織達には、負担を強いることになる。すまない」

「大丈夫だよ。多分、負担にならないと思うし」


 またしても、香織は何でもないようにそう答えた。


「権利所有モンスターでなければ、私達なら基本的に対応出来ると思いますよ。なので、心配無用です」


 咲も同じく問題ないと言う。香織達は、神の領域に足を踏み入れているので、通常のボスモンスターなどであれば、簡単に倒せる。フィールドダンジョンのボスは、若干強いので、多少時間は掛かるかもしれないが、問題なく倒せる。実際、神の領域に踏み込む直前の香織達でも、氷雪龍は、何の問題も無く倒す事が出来た。つまり、香織達の強さは、かなり上がっている事が分かる。


 だからといって、香織達に自惚れがあるわけではない。自分達でも対処に問題があるモンスターもいるだろうということは、常に考えている。それが、権利所有モンスターだ。あれらは、異常な強さを持っている個体なので、油断は出来ない。


「よし、決行はいつにする?」

「全員に作戦を説明する必要がある。互いに部下達に作戦を説明して、準備期間も考えて、明後日に決行する。明後日の早朝に、ここに集合して」

「分かった。じゃあ、これで失礼する」

「一応、ライアンを派遣しておくから、道案内は任せて」

「助かる」


 玲二が立ち上がり、部屋の外に出る。香織達も後に続いた。そして、部屋の中には、エマ一人が残る。エマは、紫煙を燻らせながら、一息ついていた。


「本部長の娘さんか……」


 エマが考えていたのは、香織の事だった。


「想像以上に、子供だったな」


 香織の見た目は、二年前から変わっていない。そのため、エマが真夜から聞いていた容姿とほぼ同じだった。エマは、香織が成長していると思っていたので、香織を似ている誰かと思い、咲が娘だと思った程だ。正直、香織が娘だと知って、内心驚きで叫んでいた程だ。


「それに、本部長の予想以上に、強い子になってる。はぁ……()()()()任せる事になりそう。さすがに、嫌になるな」


 エマは、また一本たばこに火を点ける。


 ────────────────────────


 再び、ライアンの案内で、空港に戻った香織達は、冒険者を全員集めて、今後の予定について説明し始めた。


「以上が、今後の予定だ。必要最低限の人数を、ここに残して、他は、ハリウッドを攻略しに向かう。こっちの防衛を薄くするわけにもいかないから、信用出来る奴を残していくことにした。後で、名前を呼ばれた奴は、ここの防衛だ。明日は、戦闘の準備をする日になる。手を抜くなよ!」

「「おう!!」」


 この後、玲二による選別が発表された。防衛に選ばれた冒険者は、玲二の言葉もあって、逆にやる気に満ちあふれていた。


 香織と咲は、焔達と合流した。


「そういうわけだから、皆は、私達と一緒にボスモンスターと戦う事になるよ。焔と星空は、大丈夫だと思うけど、白雪は大丈夫?」

『大丈夫。普通に戦えると思う』

「じゃあ、よろしくね」


 白雪は、やる気十分だった。声が出せないが、魔法が使えないわけではない。今回の戦いで、白雪の強さが分かるだろう。


 そして、ハリウッド攻略当日がやってきた。

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