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吸血秘書と探偵事務所   作者: かみこっぷ
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59/90

3話 少女の目覚めとその代価

「起きろって言ってんだろ!! この、貧にゅ」


ゴッ、と言い切る前に氷柱の薄い氷を纏った拳が俺の頬に突き刺さる。


俺を叩いた氷の拳はそのまま力なくぱたりと氷山の上に投げ出された。どうやら意識が戻った訳ではないらしい。


「いい加減目を覚まさねえか!! このつるぺ」


ボグッ


「ペチャぱ」


ゴグシャア


「てめえホントはもう起きてんじゃねえだろうな!? スーパーフラットまな板絶壁白山平野の氷柱チャァアアアン!?」


ブチン、と。


気を失っている…………筈の氷柱の頭部から何か大事な物が断裂した音が聞こえた気がした。


「だぁああああああれがスーパーフラットまな板絶壁白山平野のド貧乳だコラァアアアアアアアア!!」


ゴッチィイイイイイイイ!! と、波の音すらかき消す程の壮絶な打撃音が辺りに響いた。


バネ仕掛けの玩具の様に跳ね起きた氷柱がその勢いのまま小さな額を眼の前の俺に叩き込んだ音だった。


「ぶッ、ごぶフ!? お、おう氷柱良かった、目が覚めたみたいだ…………な…………?」


ズキズキ痛む鼻っ柱をさすりながら、意識の戻った氷柱の表情を確認する。


――――いやあなんだか色々好き放題言っちゃった気もするけど、それも全部お前のためを思ってのことなんだよって事でここは一つ丸く収めてくれねえかなー多分無理だろうなー。


だってなんか氷柱の背後にゴゴゴゴとかいう文字が見えるような気がするし。


僅かばかりの助けを求め璃亜の方を振り返るが、黙って首を横に振るだけだった。


「相一」


絶対零度を思わせるその声を発した少女の顔を直視できない。


「…………なんでございましょう」


完全に喜怒哀楽の感情が消え去ったうつむき気味の氷柱の口から、審判が下りる。


「死罪」


………………………。


……………。


……。

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