3話 邂逅、海中の怪女
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「な、なんですかアレ!? でっかい氷で出来た…………浮き?」
突如、浜辺から離れた海原に電柱の様な巨大な氷の出現を目撃し目を丸くする詩織。
「あれは…………氷柱ちゃんの…………」
「出ましたか―――――――ッ!!」
いち早く状況を理解した璃亜が間髪入れずに駆け出す。
「え、ちょっ秘書さん!? さすがにここから泳いでいっても――――」
詩織の言葉を振り切って、波打ち際へと最短距離で砂浜を走り抜ける。
そして一度大きく踏み込むと躊躇なくその海面へと飛び出した。飛び込んだ、では無く飛び出したと表現したのには理由がある。
璃亜が踏み出したその細くしなやかな脚が捉えたのは波打つ海面ではない。固く凝固し、整備されたアスファルトのように均された氷の足場だ。それは真っ直ぐに沖合の氷柱達の所まで伸びており、人一人が全力で走った程度ではヒビどころか僅かに揺らぐ事すらない程の強度を誇っていた。
「所長、氷柱さん…………どうかご無事で――――ッ!!」
二人の身を案じつつ、しっかりした足元の感触を確かめながら即席の足場を進む。
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異変を感じ取った氷柱は『合図』を出すと同時に相一の姿を探す。
とは言え場所が場所だ、海面にその姿が確認できない以上彼の行方は一つに限られる。
「全く世話の焼ける――――!!」
一度大きく息を吸い込むと頭から海中に飛び込んでいく。
(どこの誰だか知らないけど人様のとこの所長に手を出してただで済むと思わない事ね!)
海中はよく澄んでおり見通しは悪く無い、であれば彼の姿が水中に消えてから数秒立たずにその後を追った氷柱が目的の人物をすぐさま発見するのは当然の事だろう。
(―――――――いた!!)
十メートル程離れた所、氷柱より少し深い位置に天柳相一はいた。しかし無事にという訳では無い。彼が海中に身を沈めておよそ数秒、潜水を試みる時間としては極めて短く生命に影響を与える程のものではない。だがそれは本人が自分の意志で潜水に向けて備え、意識し、呼吸を整えてから臨んだ場合の話である。
それを唐突に、己の意志に無視して水中に引きずり込まれたというのであればその僅かな時間さえ命に関わるものとなる。
加えて、もう一つの要因が彼の危機的状況を加速度的に悪化させていた。
それは―――――――――――。
酸素を求めてもがく相一の体へ蛇の様に纏わり付き、底の見えない海中のさらに深みへと引きずり込もうとする金髪爆乳(ついでに全裸)の美女の存在だった。




