2話 文化祭の準備期間って下手したら本番当日よりもわくわくするよね
そして数時間にも渡る話し合いの結果、天柳探偵事務所が出す屋台は夏祭りの定番であるかき氷に決定した。
「というわけでー、俺らの屋台はかき氷に決定しましたー」
いぇーい……と、事務所内に響く声は数時間前とは打って変わって疲れきっていた。
「おいおいお前らまだ最初の一歩を踏み出した所だぞ」
「うだー、そうは言っても探偵さん……こうも暑いと集中力続きませんよー」
「それもそうだな。よし氷柱、部屋の温度を2、3度下げてくれ」
「人をエアコン扱いしてんじゃないわよ!」
「そうですね、さすがにこの暑さは扇風機で誤魔化しきれませんね」
「暑い……です……」
「だぁー! わかったわよ、ホラこれでいいでしょ!!」
雪女である氷柱が指をくるくる回すと、それに対応して急激に部屋の温度が下がっていく。
「いやーさすが氷柱。一家に一人、いると嬉しい雪女ってな」
「アンタ人の事便利な空調管理機としか思ってないんじゃないんでしょーね」
「あっはっはーそんなわけないだろー、氷柱サンはウチの事務所に必要不可欠な存在だぜ☆」
「白々しいのよ、このバカ!」
空気中の水分を氷結させた透明な剣をぶんぶん振り回しながら所長を追いかけ回す雪女。
ぎゃーぎゃー騒ぐ二人を尻目に、秘書と事務と女子高生が話を続ける。
「こういうのはどうでしょう?」
「それなら……、ここはこうした方が……」
「千里ちゃんナイスアイディア! じゃあこっちはもっと派手にして――」
「そうすると……、予算の方が……」
「街を盛り上げるための祭りですからね、街から多少の補助金は出ます。それに材料費はシロップ代と……氷は氷柱さんがいるので気にしなくても大丈夫ですよ」
璃亜の言葉に氷柱が脚を止める。
「え? ちょっとなにそれ聞いてないわよそんなの! なんであたしが屋台のかき氷如きのために――――」
「そういう台詞は事務所の手伝いの一つでもしてから言ってくださいね、居候の氷柱さん?」
「うぐっ」
氷柱が言葉を詰まらせる。
「そ、それはそっちのちびっ子も似たようなもんじゃない」
「千里さんには事務仕事のほとんどをしてもらっています。それに引き換え氷柱さん、あなたは……」
「あーもうわかったわよ! やればいいんでしょやれば。まあ私の氷を使うんなら優勝は間違いなしだけどね!!」
やる気あるのか無いのかどっちなんだろう、と思う相一だったがせっかく本人が乗り気になっているので余計な事は聞かないでおく。
「よーしみんな夏祭りまで一週間、十分な時間とは言えないかもだが死ぬ気で準備すればなんとかなるだろ。スイーツ食べ放題のため、新型タブレットのため、そして事務所の全国進出のため、各々全力を尽くすように!!」
こうして、作戦会議は終了し、天柳探偵事務所一同の夏祭りに向けての準備が始まった。




