第四十三話 手がかり
「やはり何かおかしい……」
あの二人は何か必死に隠したがっている様子であった。
ギルは腑に落ちない様子で馬を置いた所に戻ろうとしたその時、ボールが足にぶつかる。
「ん?」
「僕のボール!」
そう言ってギルに近づいてきたのは玉蹴りで遊んでいたトムとダラムであった。
「うわぁ!本物の騎士だ」
「すげぇー!かっけぇな!」
二人は初めてみる本物の騎士にすっかり興奮していた。ギルは二人にボールを返した。そしてあることを思いつく。
「君たち……騎士に興味があるのかい?」
「だって、騎士って格好いいもんなぁー」
「うん。強くて格好いい!」
「はは、そうか。けどな騎士は強ければいいと言うわけじゃないんだぞ。己の信念を持って動かなければならない」
「しんねん?」
「そうだ。己の信じた道と守りたい者を見間違えば、その名はただのくだらないお飾りとしかならない」
「?ダラム、お前意味分かった?」
「んーん?俺もよくわかんないや」
「まだ君たちには早かったかな?」
子供たちの正直な言葉に苦笑いにするギル。そして、ギルは本題へと入る。
「でも、君たちの村にもこの前すごい強い人がいたんだってね?」
「強い人?」
二人は首を傾げるがすぐにあぁ、と心辺りがあるかの表情を浮かべる。『よし!』とギルは心の中でガッツポーズをとった。
「それってもしかしてケンジのポチのことじゃないかな?」
「ポ、ポチ?」
犬みたいな名前だな……。そう思いながらもギルは子供たちの話す貴重な情報を大人しく話を聞くことにした。
「うん。ケンジの従獣魔なんだけどすげぇ強いんだ」
正直旅人とはなんにも関係ない話しだったが、少し個人的に興味があった。
「それにこの前、面白い乗り物にも乗せてくれたんだぜぇ!」
「あぁ、あの鉄の馬みたいなの面白かったよな!」
「て、鉄の馬だって……!」
ギルは慌てて二人の会話に飛びつく。
「そ、そのケンジという人が住んでいる場所を知らないか!?」
「えーっとそれなら1番村の近くにある森の……」
「トム!ダラム!」
何かを言いかけたトムの話を遮ったのは慌てた様子で走ってきたティプであった。
「二人共早くこっちに来い!」
「えっ、え?なんだよ?」
「いいから、はやくティプの言う通りこっちに来て!」
ティプの後ろについてきていたララは強引にトムとダラムの手を引っ張る。
「わ、わかったよ」
キッとまるで親の敵を見るかのようにララはギルを睨みつける。
『おっと……』
「じ、じゃ!俺はここで失礼するよ……」
幼女ながらも凄みのあるララの睨みにギルは無意識に押され、そそくさとその場立ち去る。
だが、必要な情報は手に入れた。
後は近くこの村の森をしらみ潰しに探し、ケンジという者がいる家を尋ねてみよう。
ギルは馬に乗り、少年が話していた森の中へと駆ける。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
暫く馬を走らせているとこんな森には立派過ぎると言っても過言ではない一軒家が建っていた。
「あ、あれは……!」
そこにはあの謎の男が乗っていた鉄の馬の姿があった。
その鉄の馬を見たギルは、ここにあの男はいるのは間違いない!と確信を胸に抱きながら家の扉をノックした。




