第10話 星詠みの庭師と10人の守護騎士
夜の森は、静かだった。
昼間まで賑わっていたプレイヤーたちも、少しずつ帰っていった。
それでも——
星の庭には、まだ柔らかな光が広がっている。
星花が咲き続けているからだ。
ユイは庭の真ん中に立っていた。
「……すごいことになっちゃった」
小さく呟く。
今日一日で、何百人ものプレイヤーがここを訪れた。
掲示板のトレンドにも入り続けている。
《星の庭》
それが、この場所の名前として定着してしまった。
「まあな」
後ろから声がする。
振り向くと、レオンが立っていた。
大剣を背負い、いつもの落ち着いた表情。
「ごめんなさい」
ユイは慌てて頭を下げる。
「え?」
「なんだ?」
「私の庭のせいで、みんなに迷惑かけて……」
レオンは一瞬だけ驚いた顔をした。
そして——
笑った。
「逆だ」
「え?」
「楽しい」
その一言だった。
そのとき、後ろの茂みが揺れる。
「おーい」
ガルドが出てきた。
「まだいたのか」
その後ろから、セリア。
「見回り終わったわ」
カイルも来る。
「掲示板また騒いでる」
次々と仲間が集まる。
ディン。
ミレア。
バルク。
ナイト。
リリィ。
アッシュ。
いつの間にか、全員が揃っていた。
星の庭の中央。
ユイの周りに、円を作るように立つ。
「……?」
ユイは不思議そうに見る。
レオンが言った。
「決めよう」
「何を?」
「この庭のこと」
カイルが続ける。
「もう隠せない」
セリアもうなずく。
「人は来続ける」
ディンが言う。
「なら」
「守る」
短い言葉。
ガルドが笑った。
「門番みたいだな」
ミレアが微笑む。
「いいじゃない」
リリィがスライムを抱きながら言う。
「ここ好き」
ナイトは静かに言う。
「落ち着く」
バルクが槍を地面に立てる。
「拠点にするか」
そして。
アッシュがユイを見る。
「どうする?」
ユイは少しだけ考えた。
星花を見る。
夜空を見る。
この庭を見つけた日のことを思い出す。
ひとりだった。
でも今は。
周りに、仲間がいる。
ユイは小さくうなずいた。
「……うん」
「ここ」
「みんなの庭にする」
その言葉を聞いて。
レオンが一歩前に出た。
大剣を地面に突き立てる。
ドン。
「宣言する」
静かな声。
でも、強い声。
「この庭は」
「俺たちが守る」
ガルドが双剣を抜く。
「了解」
セリアが弓を持つ。
「守護ね」
カイルが魔法陣を浮かべる。
「面白い」
ディンが盾を構える。
「任せろ」
ミレアが微笑む。
「回復は任せて」
ナイトが影に溶ける。
「侵入者は処理」
バルクが槍を担ぐ。
「戦うなら歓迎だ」
リリィがスライムを掲げる。
「一緒に守る!」
そして。
最後に。
アッシュが剣を抜く。
月の光を受けて、刃が光る。
「十人」
小さく呟く。
レオンが言った。
「星詠みの庭師」
ユイを見る。
「ユイ」
そして。
十人の仲間を見回す。
「そして」
「守護騎士」
星花が光る。
夜空の星が輝く。
この日。
ゲーム アストラル・ガーデン に。
一つの有名なパーティが誕生した。
星詠みの庭師と10人の守護騎士
それは。
星の庭を守る、十一人の物語。
そして。
この物語は——
まだ始まったばかりだった。




