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同じ釜の飯を食う

ドンドンドン


ん?

何の音だ。


ドンドンドン


何かを叩く音?この音はたぶんドアだ。

誰だろう、叩いてるのは。

そういえばちょっと前にも誰かがドア叩いてたな。

いつだっけ?誰だっけ?


あぁ、カエルムだ。朝の特訓で呼びに来てくれて。

…ん?カエルムが?

飛び起きた。


「うわ!やばい!」


あれから1日寝ちゃったんだ!


ドンドンドン

「ヒイラ…」

「すみません!!」


焦ってドアを開けるとカエルムの姿はなく、カルミアがいた。


「あれ、カルミア?どうしたの?」

「どうしたのって。朝来たらヒイラギいなくて、いつものところに鍵もなかったからお家入れなくて、何処か出掛けてるのかなって思ったから、お昼過ぎにまた来ようと思って、今来たんだけど、窓からお家の中覗いたらヒイラギが倒れてるのが見えてずっとドア叩いてたの。」

「ごめんね。心配かけちゃったね。ちょっと疲れて寝ちゃってただけなの。」

「ううん。寝てるだけでよかった。」


カルミアの頭を撫でる。

心配かけちゃった、申し訳ない。

あれ、カルミアが来てるってことは。


「ねぇ、カルミア。もしかして今ってお昼過ぎ?」

「うん。そうだよ!もしかしてお昼ごはん食べてない?」

「え?あ、うん。ずっと寝てたから食べてないんだよね。アハハ…」


あーやっぱり昼過ぎてる。

結構寝ちゃったなー。


「じゃあお腹空いてるよね?お母さんに何か作ってもらう?」

「いやいや!申し訳ないから大丈夫だよ。この家にあるもの何か食べるから。」


正直あまりお腹は空いてないが、カルミアに言ってしまった手前何も食べないわけにはいかない。

私はキッチンを漁りだした。

野菜と漬物っぽい物、あと干し肉を見付けた。

この干し肉も魔物の肉なのかな。

うーん。野菜生で食べようかな。


「何か食べられそう?」

「え?うん。何か作れそうかなって考えてたんだけど全然思い付かなくて…」

「ヒイラギあんまり料理とかしてなかったもんね!」


そうなのか。


「じゃあ広場行こうよ!」

「広場?」

「うん!宴やった広場!

たまに彼処で狩りで獲ってきた魔物を料理してみんなで食べるんだよ!今日やってるからまだ残ってたら食べられるかもしれないよ!」

「へぇ~そんなのがあるんだ。じゃあ行ってみようかな。」


魔物を食べるのは気が進まないが、行ってみてもいいかもしれない。


「うん!じゃあ行こ!私もさっき食べに行ったけど今日のも美味しかったよ!」


私はカルミアと一緒に広場に向かった。

どんなご飯か考えているとお腹が空いてきた。



広場にはたくさんの人達が集まっていた。

まだ料理はあるみたいで食べている人が何人かいた。


「お母さーん、ご飯まだあるー?」

「まだ食べるのー?ってヒイラギじゃない。」

「私じゃないよー。ヒイラギの分!」

「こんにちは。実はまだお昼食べていなくて、もし余っていたらいただきたいなと思いまして…」

「あら!そうだったの?まだまだあるから遠慮しないで!はい、どうぞ!」

「ありがとうございます!」


あったかい…

見た目はビーフシチューと変わらないな。

噴水の近くに腰をおろして食べた。


沁みる~

温かいし、何より美味しすぎる。

味はビーフシチューとほぼ同じ、だと思う。

でも、私が知ってるビーフシチューよりもコクがあって肉の旨味が強い。

野菜もゴロゴロ入ってどの具材も結構大きいのにホクホク、ホロホロで柔らかい。


「美味しいなぁ…」

「ね!美味しいでしょ!」

「うん。すごく美味しい…

カルミア教えてくれてありがとう。」

「ううん!今日はみんなで食べる日だから!それに生野菜だけのお昼ご飯は悲しいかなって。」


私はこんな小さい子に悲しまれる様なことをしようとしていたのか。

気を付けよう。


美味しすぎてあっという間に無くなってしまった。

食べ終わった食器を返し向かった。


「ごちそうさまでした!すごく美味しかったです!」

「はーい。ヒイラギいつも1番に来てたのに今日はなかなか来なかったから心配してたのよ!」

「ちょっと寝すぎまして…」

「アハハは!よく寝るわねぇ。まぁ、ちゃんと来てくれてよかったわ。」

「本当に美味しかったです。ありがとうございました。あの、良ければ私も片付け一緒にやってもいいですか?」


片付けをしている人達が何人かいたので私も手伝いたいと思った。

それにいつまでもお世話になりっぱなしでいるわけにもいかない。


「いいのよ!気にしなくて!」

「お願いします!やらせてください!」

「そう?じゃあお願いしようかしら。

みんなー!ヒイラギも片付けしてくれるって!」

「助かるわー!」

「ありがとう!」


その後村のみんなで一緒に片付けをした。

正直、私がいてもいなくても変わらないと思ったけど、一人だけ片付けしていないのも気が引ける。


片付けが終わる頃にはもう夕方になっていた。

カルミアはお母さんと一緒に家に帰った。

私はちょっと迷惑かも知れないと思ったが、少しでも早く文字を覚えたいと思い、マーテルさんの所に向かった。


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