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追憶の汗(3)

「では、いきますよ」


アレスは、そう言う。


ノキルの真剣な眼差しが、兜をすり抜けて、アレスの目を捉える。


アレスは木刀の刃先をノキルに向けた。


アレスは、木刀を一振りして、攻撃をした。


ノキルは、間一髪で、その木刀を受け止める。


アレスとノキルの木刀の刃が交わる。


木刀を持つ、ノキルの両手に、アレスの攻撃の重さが、じーんと伝わる。


アレスは、ノキルが受け止めきれるより早くに、次の攻撃を繰り出す。


その攻撃も、ノキルは全力で受け止めた。


ノキルは、受け止めた勢いを逃すように、一歩、後ずさりする。


アレスは、一歩前進し、その離れた一歩の距離を縮めた。


また一つ、アレスはノキルに攻撃を繰り出す。


ノキルに呼吸を整える間を与えない。


そのアレスの攻撃も、ノキルは歯を食いしばり受け止める。


刃を交える度に、ノキルは後ずさりする。


アレスの猛攻は速度を変えずに繰り返される。


気が付けば、練習場の端まで、ノキルは追い込まれていた。


ノキルの背後には、練習場の敷地内に在る小さな林が在った。


ノキルは、太い幹の木に背を預けた。


次のアレスの攻撃がくる。


ノキルは、アレスの攻撃から逃れるように太い幹を盾にして、木の裏側に身を潜めた。


高鳴る鼓動が、荒い吐息と共鳴して、ノキルの耳の奥で脈打つ。


口呼吸の吐息が兜の内側に充満する。


口の中が乾燥して、喉が貼り付く。


心臓が口から出てしまいそうで、ごくりと唾液を飲み込む。


飲み込んだ唾液で、貼り付いた喉が潤いを取り戻す。


再び、口呼吸で循環して、息を整えていく。

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