十一話 一章その四:五月病とは言わせないゾッ!終編
前回までの『おれ天』!!
泣きボクロと巨乳。
「なんだ、これ?」
「私に聞かれても困る」
『チキチキ! 生徒会のきゃきゃウフフな枕投げ大会‼』
神妙な気持ちでペンションについた俺たちだったが、デカデカと張られた頭の悪い垂れ幕に興が冷めてしまった。
てか、なんだよ。
古いんだよ。まんま90年代のセンスじゃん。リバイバルとかの外側の存在だろ。
「やい、問題児よ! デートは散々なようだったな!」
「だが、それを考慮して自粛するような生徒会ではない! 覚悟するんだな、問題児よ!」
待ち受けていたのはヴァリの腰巾着の二人。
確か、人名を最初に言う方がナリで。
後に言う方がブーリ。
何回かしかあってないからあまり覚えてはいないが、ブーリの方は巨乳だから目立つし、瓜二つの顔でも見分けはつく。
阿形吽形みたいに立派な見栄を切ってるが、どことなく残念さがにじみ出る。
てか、デートじゃあねぇし!
「二人とも。せっかくなところすまないが、私たちは疲れてるんだ。枕投げは遠慮させてもら……、ブェッファ!」
「「ハハハハハッ! 問答無用ッ‼」」
二人が投げつけた枕がカナフに着弾。
尋常じゃあない速度で吹っ飛ばされた。
「おいおいおいおい! どう見ても枕投げの吹っ飛びじゃあないだろ!」
「テト君。いつからこれを枕投げと錯覚していた?」
「天に立つのは私たちなのだぁ、テト君!」
冗談じゃあねぇ。俺は部屋に帰らせてもらうぜ!
あれ? これ死亡フラグじゃね?
そう思った矢先。剛速球、もとい剛速枕が飛んできた。
『う、うるせぇ!』
日中の悪党のセリフを思い出した。
動きを止めた俺は醜く被弾。
が。飛んできたのが枕だったので、跳ね返りはしなかった。
「所詮は枕じゃんか。遊びじゃあねぇか」
それに気づいた途端、気分が楽になってきた。
ペンションに着いてからも十分そうだったが、悪夢を日常で忘れ去れるように、俺にぶつかった剛速枕が今日に記憶を和らいてゆくのを感じた。
「そんなんじゃあ終わらないだロ、テト?」
カナフ同様吹っ飛ばされた俺をヴァリが覗き込んできた。
いつも以上のにやけ顔。
案の定、彼女も俺の枕を向けてきた。
振り下ろされた枕を掴んだ俺は、
ブゥゥゥン‼
とヴァリごと手下の二人のところに投げつけた。
声にもならない阿鼻叫喚が聞こえる。
「気晴らしにフルボッコにしてやっから、覚悟しやがれッ‼」
―――数日後、ヴァリの視点―――
「それで、テトのボコボコにされたのですか……」
「…………はイ」
痛い。
怪我じゃあなく、神様の目線が痛い。
見た感じはいつもの変わらないが、呼び出された場所で虫の居所くらいは分かる。
「ミラノ風ドリヤ、お待たせしました」
ご存知、サイ〇リアだ。
落差ひどすぎだろ。
しかも、ドリアしか頼んじゃあダメなんて…………。
いや、おいしいけれども!
だって値段を考えろよ。叙々苑のコーラもこれほど安くなかったぞ。
いや、おいしいけれども!
「あ、あの神様…………」
「いや、皆まで言わなくて良いんです。貴女が私の指示を理解していなくて、暴走した挙句テトにボコられグマにされても何にも文句はないんですよ、私は」
うわー。性格悪い神様だな。
そんなんだから、人望ないんだよ。
察しろ。ニートな自分が周りから嫌われていることくらい。
「良いですか。貴女の仕事は『他の天使に介入させることなく、私が降りてこられるような事態を起こす』ことです」
「その事態って言うのは……、テトが自分の力を使っテ。ということですよネ?」
「そうです。分かっているじゃあないですか」
すると、神様は帰ろうとした。
「待ってくださイッ! 結局あたしは何をすれバ……」
「そんなこと自分で考えなさいな。事態に応じて高度の柔軟性をもって臨機応変に、ですよ」
「それって、行き当たりばったりってことじゃあ……」
「? 何か?」
ギロリと一睨み。
分かったよ。あたしはもう何も言いません。
「いエ。なんにモ」
「では、仔細は任せました」
神様はようやく帰路につこう(というより通信を切ると言った方が誤解がないかも)としていた。
でも、なにか言いそびれたことがあったのか、
「あ、そうそう。万が一、貴女のことだから億が一でもないと思いますが。もし、カナフ・バックドラフトやあの引きこもり以外の天使が介入してきた暁には…………、分かりますね?」
怖いことを残していった。
え?
これ以下の仕打ちがあるの?
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