表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/406

hg25 解散二十年記念 その他書籍などについて

 前回八月十九日、一気に終わらせようとしたが想像以上に時間がかかったため一時的にペンディングされていた話を終わらせるべく渡海雄はまた悠宇を家に呼んだ。夏の終わりにふさわしい雨が街を包む中、仲良く揺れる青と黄色の傘二つが水の中を泳いで家までたどり着いた。


「前回はDVD化された映像作品をひと通り見てきたけど、今日は残りのものをバシッと決めようと思う」


「へえ、それは楽しみね」


「まず、言うまでもないけどDVD化されていないビデオってのもいっぱいあるんだ。例えば『あ・き・す・と・ぜ・ね・こ』という非売品のビデオ。抽選で十万本限定だったけど二百五十万通の応募が来たという人気絶頂を物語るエピソードのある逸品。でも内容はないに等しく、南の島で延々はしゃいでるだけ」


「あれ、その説明前も聞いたような」


「うん、正直『太陽がいっぱい』と大して変わらないよ。こっちがハワイであっちがグアムだったっけ。メンバーによるナレーションが入って豚の丸焼きを食べたり現地のバスケチームと交流したりするのがこっちだったかな、みたいな。それと最後にはローラースケート講座なんてものもある。進み方、止まり方、ターンのやり方などをメンバーが直接指導してくれるというありがたいサービスだけど上手なこけ方とか微妙なパート割り振られたのが諸星。でもまあ本人のキャラクターからしてもこれはなかなか的確な振り分けだと思うな」


「とりあえず南の島ではしゃがせておけばいいってものよね。アイドルだから。ああ、そう言えば同じタイトルの曲もあったわね。あれとの関連は?」


「こっちは『太陽がいっぱい』と違って本編でも同名の曲がガンガン流れているよ。実際シングル候補として作られたのは先述の通りだけど、でもやっぱりシングルとしてはいささか華奢な印象が強く、今ぐらいのポジションが結局適任だったと思うな。それと『P/S I LOVE YOU』という解散時に出したビデオもあったね」


 実はこのビデオも二〇〇四年にDVD化されるはずで他のと一緒に予約まではしておいたのにいきなりキャンセルされて、結局DVDとしては発売されてないみたいだ。どの部分が引っかかったのかは知らないが残念だ。


「ふうん。どれはどんな内容なの?」


「大雑把に言うと今までのシングルのPVでビデオ化されてなかったものなどの端切れを集めたもので『Pocket Album』のレコーディング風景が見どころ。別の歌手が歌ったデモテープがちょっと聴けて、『やってられないよ』とか微妙に歌唱のニュアンスが違っていたり。そういうのってわくわくするよね。さて、ここからが本題なんだけど、いきなり悪い事言ってもいい?」


「はあ? いや、まあどうぞ」


「じゃあ言うよ。これらの映像は、気になったらYoutubeやニコニコ動画に一部落ちてるから観てみるといいよ」


「ああ、そういう事ね。うん、権利的にはちょっとこう、引っかかるという」


「ちょっとじゃなくてがっつり引っかかるんだけどね。ただやっぱり光GENJIが当時においてなぜ人気を得られたかと言うと楽曲の良さ以上にビジュアルイメージの斬新さにあった事はもはや論を俟たないから。いや、今まで語ってきた映像たちすらその本筋ではなく、特に八十年代は歌番組の力が大きかったんだ。当時のビッグアイドルは『今度はどんなファッションでどんな振り付けを披露してくれるんだろう』という期待感に斬新なパフォーマンスで応え、それが売上にも繋がっていたんだ。だから聴くだけだと今となってはちょっと微妙かなって曲もあるけど、パフォーマンス込みだと凄く格好良かったりするんだ」


「そこは後追いじゃあやや分かりにくい部分よね」


「にも関わらずそれらの番組は今となっては容易に見る事が出来ない。DVD化された番組もあるけどジャニーズ所属タレント出演シーンはカットされたり、CS放送なんかでもゲストで登場する回は放送されなかったり。でもそれって魅力を伝えるという意味ではもったいない措置だと思うな。やっぱり見られてこそだから。僕だって何ではまったかというとテレビ番組で見たからなんだから。年末にありがちな過去のヒット曲を振り返る系の番組で一九八八年のシングルトップスリー独占してて、そしてあのスピード感と楽曲のパワー。心惹かれないはずがなかった」


「ただ当時の映像見ると歓声が凄いのがとても耳につくわね」


「まさに熱狂って感じで凄まじいよね。時を経て熱狂は去っても、メンバーの実力は向上して良質なパフォーマンスを披露する集団へと変貌を遂げる、その過程も見どころだね。それと映像なしで曲自体をアップしてるような動画もあるから、そういうのを聴いて『いいな』と思ったらちゃんとCDを買うと。そういうサイクルでまずはベストアルバムから購入した歌手って結構多いからね。それもおいおい話すとしよう」


「へえ、それは楽しみね」


「もう光GENJIのネタはほとんど尽きてるからね。そして残ったネタの一つが光GENJI関連の本について。まず当然多いのは写真集の類だけど、これは見どころがそう多くない。ローリング・ストーンズって有名なロックバンドの一九七三年ヨーロッパツアーをオマージュした衣装を披露しているファースト写真集の表紙はかなりインパクトあるけど中身は薄っぺらい。ここから解散まで定期的に写真集とかムック本は刊行されているけど、あえて今から購入するものでもないよね。こういうのはリアルタイムで体験してこそだから、後追いだと割とどうでもいいって言うか。オークションなんかだとコンサートのパンフレットも大量に出品されてるけど、これも含めてね。後の姿も知る今の目で当時のルックスやキャラをどこまで愛でられるかってなるとねえ」


「かなり変則的な脳の働きを要求されるわね」


「しっかりと文章が連なる本としてはメンバーそれぞれが執筆した光GENJI全集七冊。中身はいかにも典型的なタレント本で、いつどこで生まれてどう育ってデビューしてと、まあそういう事をつらつら書かれてるけど行間が広くてあっさり読めるよ。それと光GENJIと言えば元フォーリーブス北公次の……。いや、やめとこう。ジャニー喜多川に対する強い恨みを感じるけど、そんな彼ももうこの世にいない。その後元光GENJIを名乗って本を出した何とかって男もこのラインだったね。正式なメンバーの中で解散後に自伝っぽい本を出したのは諸星と大沢。どっちかと言うと諸星の本のほうが面白いね」


「こう見るとそれなりに出してはいるのね」


「後は、漫画とか。八十年代後半に連載された漫画だと光GENJIの特に諸星をモチーフにしたキャラクターが散見される。思いついたところでは島崎譲の芸能漫画『THE STAR』とか。これは凄いよ。当初は『大観衆の前で普通に歩いてください』ぐらいの塩梅だったものが刑事ドラマとか剣豪や格闘家が主人公の映画撮影という体裁で役者同士が殺し合うんだから。で、諸星もといフラッシュローラーズの星和也もテコンドー由来の必殺キックを会得して主人公に襲いかかる」


「そんな無茶な」


「当時の少年漫画だからね。なお本作における光GENJIっぽいグループは五人組となっている。夜叉なる光GENJIを参考にした韓国のグループも五人だったし、そういうのやる時に七人は多すぎるみたい。もっと綺麗なのだと渡辺多恵子『はじめちゃんが一番!』。麻美理乃『光GENJIに夢中』はモチーフにした架空人物とかじゃなくてまさに光GENJI本人が登場するんだ。時期的には『Diamondハリケーン』から『地球をさがして』の頃。当初はファンの女三人が主役で、そういう一般人の少女が光GENJIと絡む構成だったけど次第に出番が消えていくのが見どころ。内容はまあオフィシャル情報垂れ流しってところで、絵はもう一歩」


「メンバーの顔も最初の頃は口元のシワとか描かれてるのにだんだん簡略化されていくのもなかなかいい味じゃない」


「『地球をさがして』のノリが好きとか言わせてるのも無理目なフォローだなあとか、オフィシャルならではの風味ってあるからね。それと内海が解散後に『HAPPY!』という写真集を出しているけどその中に、光GENJI後期に小学五年生で連載されていた本人直筆の漫画が掲載されているんだ」


「へえ、本人が絵も描いてるの?」


「そう。上手くはないけど。巨人の試合観戦して緒方が打って勝ったとか、『宇宙遊詠』のレコーディングについてとか。ああ、緒方って今の監督じゃなくて解説してる方だよ」


「それぐらい分かるわ。孝市じゃなくて耕一でしょ。でもあの二人の関係は独特よね。同級生、同じ年に入団して耕一が先に一軍で台頭し盗塁王獲得したけどピークが過ぎるのも早く、入れ替わるように孝市が広島でレギュラー確保してこっちも盗塁王に。孝市がFAすれば巨人獲得かって前年にひっそりと引退した耕一」


「九十年代のセリーグ盗塁王の流れ見てると緒方耕一が広島移籍して登録名を緒方孝市に変更して長らく盗塁王として君臨、みたいに見えない事もないよね。全然別人なんだけど」


「耕一のほうはコーチとしても解説者としても実績を重ねる中で広島一筋だった孝市は監督になったけど成績は何とも言えず。五割、Aクラスは到達不可能ではないはずなんだけど、最終的にはどうなるやら。優勝は、上に三つあってそれをゴボウ抜きは残り試合数からしても簡単ではないでしょうし」


 緒方はともかくこの手の本は昔ならBOOK OFFで一山いくらだったが、さすがに四半世紀前のアイドル本なんてもはや需要が尽きているのか見かける機会は以前より明らかに減った。内海の本とかAmazonで四千円ってなかなかぼったくってくれるものだ。


 内容は大した事ないので本当に気になったら最後に手を出すぐらいの感覚で良い。そう考えると今でもBOOK OFFをまめに回って探すのが実は一番リーズナブルなのかも。ただあれを手に取って店員さんに渡すのは結構な精神力が要求されるので、そこは気をつけてほしい。オークションでもそれなりにあるのでこっちのほうがいいか。履歴残るけど。


「ああ、そう言えば赤坂が舞台で復帰したみたいだね」


「へえ、そうなの」


「もう一ヶ月ほど前の事だけどね。よくもまあ戻ってきたものだよ。そもそも一回目の時点で大問題なんだけどそれほど間を置かずに二回目。反省心の欠如は明白でもう復帰はないものと思っていたよ。それでも戻ってくるなら相応の覚悟はあると信じたいけど、東スポに載ってたインタビューでは曖昧な言い回しが多用されてて『自分にはこの道しかない』という情熱があまり感じられなかったのは甚だ不安だな」


「成功するには成功したいと思い続ける事が大事だから、そこは心配よね」


「ただ過ちを起こさず堅実に努力を重ねてくれればそれが一番の大成功なんだよ。それはともかくASKAもそのうち、早ければ今年中にも『やっぱり僕には音楽しかない』『実は今レコーディングを進めている』ぐらいかましてくれるんじゃないかと期待してるんだけど」


「ううん、それについてはちょっと何とも言いかねるけど。でも復帰したところで人気回復は限りなく絶望的よね。そもそも倫理的な問題が……」


「そこはまあね。ただ今まで過ちを犯したミュージシャンは数え切れないほどいるけど、大抵ほとぼりが冷めたら復帰してるじゃない。だからそのうち復帰するのはもはや決定事項。実際それしか道はないわけだからね。その上でまず大事なのは繰り返さない事。そしていい曲を作る。結局はここだよ、ここ」


「煎じ詰めれば実力の世界か」


「別に全盛期もかくやの第一線に戻らなきゃ意味がないとは言わないし、待つのはいつもの事だからね。ところで光GENJI現役時代と犯罪との絡みで言うと一番有名なのが校庭に机と椅子で9って字が書かれて、これは光GENJI七人と少年隊三人の中から誰か一人を殺すなどという犯行声明文が届いた事件かな。実際は特に意味なかったみたいだけど。それとね、二十年前の今日が何の日だか分かる?」


「二十年前? 一九九五年の、何?」


「実はね、二十年前の今日は光GENJI SUPER 5による卒業コンサートの最終日だったんだ。つまり今日がまさに光GENJIのラスト・デイ。そしてそんな日にダフ屋がチケット百万円だかで売りつけて逮捕という事件もあったんだ。新聞によるとそれを買った人はスタッフの粋な計らいで会場入り出来たみたいだけど、なんだかんだで最後まで頑張ったんだよ。五人になってもね」


「そんなものに手を出す程度のファンは残っていたなんて、全盛期と比べるとさすがに差はあれど尾羽打ち枯らすって程でもないのね」


「それ以降のグループでこういう形で盛大に解散したものはないからね。自然消滅した忍者を除くとSMAPを筆頭にいつまでも解散しない道を選んでいる。事務所の力に守られるうちはそれが一番安泰なんだろうけどね。でも光GENJIは物心つく前にすでに解散していた。もったいないとは思いつつ、それを間違いじゃないと信じたい気持ちもやっぱりどこかにはあるよ。パッと出てバシッと消えて、後はそれっきりってのも美しいものじゃないかと、それはそれで尊いものだと思うな。人間、永遠に生き永らえる事はないんだし、時を止める事で逆に永遠を手にする事だってあるんじゃないかなって。それが思い出の彼方にしか存在し得ないとしても」


「最後は寂しい話になったわね」


「最果ての寂寥感、まあそんなもんだよ。とりあえず、今まで延々と光GENJIについて語ってきたけどね、もうネタが尽きたからまとめるよ。つまりね、光GENJIは十代までに聞いておこうと、こういう事だよ」


「また漠然としたまとめ方を」


「心が柔らかいうちに聴いておくに越したことはないと思うんだ。当時どんな評判とか今がどうとか、そういう色眼鏡はいらない。ただそこにある現象を見て聴いて、それで感じた事が君にとっては正解なんだから。動画サイトの発達などで、昔なら思い出として心の中で躍動するだけだった存在がリアルタイムで見た人以外でも伝わりやすくなった。後は選択だよ。聴いたら皆が好きになるとか、さすがに言わない。それでどう思うかはその人によるけど、とにかく一度聴いてみて!」


 結構長々と話してきたけど結局言いたいのは光GENJIはいいよ、聴いてみてって事だけだった。愛を伝える事は難しいけれど、とりあえずはそういう事になる。


 雨空に傘を咲かせて帰る悠宇。その心に何かが芽生えただろうか。それはたやすく目に見えるものではない。ともかく、今日で一つの戦いが終わった。そしてこれからも二人の戦いは続いていく。

今回のまとめ

・光GENJIネタは今回で基本的に終了

・VHSや本はよっぽどにならない限り別に集めなくてもいい

・相当倫理観のない事言ってるけど実際ないから仕方ない

・きっかけは何でもいいからとりあえず一回ぐらいは聴いてみて

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ