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rm15 東海大相模甲子園優勝について

 朝夕の風も涼しい夏の暮れ。夏休みももう間もなく終了する。その名残を惜しむかのように渡海雄と悠宇は宿題に手を付けていた。真実を少しぼかした日記はひと通り作成終了しているので、後はドリルに精を出すのみだ。


「ふう、さすがに根を詰めるときついわね」


「だから最初からやっておけばってところだけど、まあ仕方ないね」


「そうね。ところで、カープが十月二十二日に行われる今年のドラフトにおける高校生の候補を二十七人に絞ったそうね。その中でも評価が高いのが岐阜の高橋投手と、この間の甲子園で見事に優勝した東海大相模の小笠原投手だそうよ」


「そうらしいね。それにしても甲子園の決勝戦はかなりの激戦だったよね」


「この記事が出る前からすでにプロ注目でドラフト一位もあると目されていた小笠原投手を擁する東海大相模が有利だと見られていて、実際早々と先制した時はこのままいくかもと思っていたけど、そこから仙台育英の反撃がかなり強烈だった」


「迫ったかと思ったら東海大相模がまた突き放したかと思ったら六回、ついに同点に。この時は仙台育英の流れで一気に押し切るかと思ってたけどね」


「九回表、初球。小笠原がバッターとしてホームランを放って、これで勝負ありだったわね。仙台育英としてみればあの時勢いに乗じて逆転出来ていればまた違っていたかも知れないけど」


「これで仙台育英の緊張の糸がぷっつりと切れたみたいにミス連発して、最終的には四点追加。最後の攻撃も残念ながら逆転の空気はなく、そのまま十対六で東海大相模が栄冠を勝ち取った」


「やはり層の厚さよね。仙台は佐藤世那投手が多く投げていたけど東海大相模は小笠原の他に吉田というこれまた有力な投手がいて、決勝戦までうまく小笠原を温存出来たのは大きかったでしょうね」


「それまでは主にリリーフだったよね。それで百五十キロ以上出したりして」


「まあ見事な優勝だったわ。本当におめでとうございます。今年の甲子園は結構接戦が多く、非常に見ていてエキサイティングなシーンが続出して熱かったわ」


「一点差とか延長サヨナラとか、かなり続いてた日もあったよね」


「やはり予選を勝ち抜いたチームだけあってさすがに見事なもの。それでもいきなり崩れたりするのがまた甲子園よね。例えば津商業と対戦した智弁和歌山。終盤は内野ゴロは全部ミスが出るのではというガタガタっぷりだったけど、あれも前評判がそれほど高くなかった津の頑張りが智弁の心を砕いたと言えるわけだし。ちなみにカープのドラフト候補に関しては、他に仙台育英のショート平沢や関東第一のオコエという名前も挙がってるみたいね」


「オコエ! あの選手は凄いよね。攻守において身体能力が高いってこういう事なんだというプレー連発で。でも外野手はねえ。いい加減飽和だよねえ」


「そこよね。丸がいる。外国人がいる。鈴木に野間に松山だっている。もちろんオコエは即戦力ではないから将来を見越してって事になるでしょうけど。一応内野手登録の鈴木がサードでもやれたら面白いんだけど、なかなかそううまくはいかないものよね」


「内野だと菊池と田中の二遊間に、ファーストは新井でサードは梵とか。キャッチャーは會澤メインで石原もしっかりやってる。こう見るとスタメンはある程度固定されつつあるんだね。でも打てない試合多いけど」


「打撃に関しては、とにかくあっさりしている印象よね。打てる時は滅多打ちにするんだけどそれ以外だと淡々とアウトを重ねて相手投手に名を成さしめてしまう。技術的な部分に関しては私達のような素人に言われるまでもなく様々な手を打ってはいるものだと思うけど、投手陣に無駄な負担をかけるような打線がこうも続くのはどうにも歯がゆいわ」


「前田、ジョンソン、黒田、福井と先発はよくやってるのに援護が異常に少なかったり、それでも微々たるリードを保ったままリリーフに託すとバシッと追いつかれたり」


「リリーフもやっぱり駒不足は明らか。先発だって前述の四人以外は存在自体が敗戦処理状態で大抵炎上して負けるし。ただ昨日は黒田が中四日で先発したけど、黒田に限らず使える先発が登板間隔を詰めるという手もあるわね。ちょっと一昨年っぽくなるけど」


「ずっと下位の同じような場所をうろうろしてるけど数字を見ると五位より三位のほうが近くはあるんだね。でも順位が下のDeNAや中日に負けすぎ」


「下位とは言っても中日は遅まきながら調子を上げてきたわけだし、本質的に容易い相手なんてないわ。でももうちょっとうまく野球が出来ていればという試合が多いのは事実よね。今後に関しては、一応Aクラスに上がるまではまだ可能性はあるでしょう。本来なら優勝と行きたかったんだけど、この期に及んで未だにあのような試合しか出来ないようではいささかね。強気な意見もしぼんでしまうわ。巨人は言わずもがな、現在首位の阪神だってそんなに強い印象はないけど他と比べても穴が小さくて少ないのがいいところかなと思うわ」


「穴が大きいけど勢いだけで頑張ってたDeNAは今や最下位も現実的な位置にいるんだから恐ろしいものだよね」


「まあ、DeNAはね。むしろ交流戦であそこまで大負けしておきながらここまでよく頑張ってきたほうじゃないかしら。でも今年の戦いは確かな定礎となりうるから、何が足りなくてそのためにはどこをどうすれば良いのかなどをうまく絞り出し、的確な手を打てたら今後はもっと上に行けるはずよ。ただこれはカープの事だけど変なドラフトが続いた時期があるとその年代の戦力がスカスカになってバランスが危うくなるから、もうすんだ事だからどうにもならないけどそこだけは本当に気をつけないとね」


「特に二千年代前半の指名選手が今となってはほとんどいないってのはきついよね。永川はいいとして白濱とか特に」


「金の問題もあって当時は独自路線で行くしかなくて、当然のように失敗を重ねてきたわ。大体今の時代、無名だけど凄まじい逸材とかそういるものでもないのだから。それで言うと去年なんかかなりの独自路線を歩んだけど、まあ野間は一定の成果を見せているし薮田や飯田も一応一軍で投げてはいるし。ただ野間が今後センターのポジションを奪えるか今のような外野の便利屋で終わるかでドラフトの評価はかなり変わってくるはず。野間がセンターでリードオフマン、いけると思うんだけどなあ将来的には」


「今は打率が二割五分ぐらいか。ホームランは一本ながら脚力を活かしての三塁打が多くて、盗塁は最終的に二桁行くか行かないかってところ。試合数の割に打席数が少ないのは途中出場の多さを物語っているね」


「一年目にまずは目処としての成績がこれぐらいなら悪くないわ。後はちゃんと成長するかよね。弱点はあれど角を矯めて牛を殺さないように伸ばしていただければ。以前宮崎という投手がいて、一年目はぼちぼち出番あって今後はこの成績を洗練させればと期待していたけどコントロール良くするために投球いじって球威激減コントロールそのままで終了という悲劇的な結末を迎えた事もあったわ。近年の野手で一定の成績を上げたのにその後成長しなかったドラフト一位選手の筆頭は、岩本かな」


「大砲としてもっと出てくると思ったのに、今年はほとんど存在感なし」


「存在感がなくなったと言えば今年廣瀬が全然上で見なくなったわね。去年の途中からいなくなったけど、一体どうしちゃったのかしら」


「栗原や東出と同じ枠になっちゃったのかな?」


「一気にごっそり引退なんて事には、ならないよね。黒田や新井がバリバリでやってるのに彼らより若く、苦しい時期に頑張っていた選手がこうも鳴かず飛ばずってのは悲しい話よね」


「それと話は飛ぶけどね、堂林の打率が一割九分四厘とあるけど想像以上に高いよね。ほとんど二割、つまり五打席に一回近くヒットが出てる計算になるんだから。あんな打ててないイメージしかないのに」


「そもそも堂林は六安打しかしてないんだから、そりゃあヒット打ってるイメージなくて当然よ」


「外国人の打撃成績なんかも。ううん、でもこの全員中途半端な成績の中で誰をどうするとか決めるのは難しそうだね」


「確かに。ただそこは年齢やポジションなんかの兼ね合いもあろうかと思うけど。あくまで現時点の話で言うとまずは若くて安くて四年契約の途中らしいロサリオは残るとして、シアーホルツかしらね。守備が結構出来るし打撃も上々。エルドレッドは年齢的な問題もあるし、グスマンもあれはあれでそこそこいい選手だとは思うけど」


「投手陣はどうなんだろう。ジョンソンはともかくヒースとか、この人も不安定なイメージ以上に防御率は立派だけど」


「リリーフはただでさえ駒が少ないんだから四の五の言ってられない部分はあるわ。ザガースキーは、貴重な左のリリーフだけどバックアップが関の山かなとも思うし。ヒースをバックアップに置ける程度の外国人を獲得していただくのが一番いいんだけどね」


「そう簡単に獲得出来るのかな?」


「この世界、確実な事なんてなにもないけど外国人を見極めるスカウトの目は信頼してもいいと思うわ。今年もジョンソンが大成功だったし。争奪戦の末にカープが獲得みたいな報道があって、それはつまり多くの球団から評価されていた選手をうまく獲得する手腕も見せたと言えるでしょう。それを日本人選手でもやれたらもっと……。いえ、やめておきましょう」


「そういう時代が来たらいいね。ところでサンフレッチェはやっぱり首位陥落したね」


「まあ、そんなもんでしょう。新潟戦には勝って一応連敗脱出はしたものの、最終的にどの程度で落ち着くやら。まあ降格がないだけ御の字よ」


「そっちの争いもかなり苛烈だよね。広島戦を見てもそんなに悪くはないように見えるけど結果がついて来ない新潟、ついに大榎監督が辞任したものの田坂監督で勝利のない清水、戦力的にきついかなという松本と山形」


「現時点で勝ち点三十未満なのが神戸、鳥栖、甲府、仙台とあるけど、十四位の仙台と十五位の新潟で勝ち点が五離れているわ。だから仮に仙台が、いえ、仙台じゃなくてもいいわね。この付近のチームが低迷したとしても降格するには下位四チームのうち二つに抜かれないといけない。まあないでしょ。どこか一つが抜け出してくる可能性はあるけど、そこに抜かれたところでまだ十五位。ギリギリ残留は可能な順位よ」


「十位の湘南が勝ち点三十六で神戸と七も離れているから、これ以上はもう争いから脱出したと見てもいいかな?」


「残りたったの九試合だから、そうみなしても問題ないわね。まだ八月と思いきや、シーズンはすでに終盤なのよね。すでに一刻の猶予もないわけよ。J2のほうもね。愛媛がさり気なく上位進出しているけどここもどこまで続くか。露骨に息切れしている金沢みたいに、地力が足りていないからそこ先が読めないのは甲子園みたいよね」


 このような事を話していると敵襲を告げるサインが輝いた。冷静に考えて宿題中断してたぞと思い直したが今となっては仕方がない。生きて帰って、ちゃんと宿題を終わらせようねと誓い合って変身し、敵が出現した地点へと向かった。


「ふはははは、俺はグラゲ軍攻撃部隊のホキ男だ! この星の奥深くからグラゲに心酔させるのだ」


 謎の白身魚としてよくフライにされる深海魚がこのホキだ。でも日本のマクドナルドはホキじゃなくてスケトウダラらしい。マクドナルドは昔から特に好きってわけじゃなかったけどいつの間にか完全に行かなくなった。


 色々不祥事やらかしたけどそれが直接の原因と言うより、こういうぼんやりとした動機で足を運ばなくなった人のほうが多いかと思う。だから取り戻そうと思えばそれは可能だろうけど、でもあえて行く理由もないし。そこはカサノバ社長が頑張るところだから別にいいか。


 ともかく、マクドナルドでも外国だと使われているところもあるらしいホキ男が出現した堤防に渡海雄と悠宇の二人が駆けつけた。


「出たなグラゲ軍! お前たちの思い通りにはさせないぞ!」


「生憎だけどあなた達にはさっさといなくなってもらわないといけないわけよ」


「ふん、ほざいてくれるわ。むしろお前たちの最期だと知らずに。さあ行くのだ雑兵ども!」


 ぞろぞろと出現した雑兵を一体ずつ潰していく渡海雄と悠宇の二人。そして気付いたら雑兵は全滅していた。


「ふう、ようやく片付いたな。後はお前だけだホキ男!」


「よく分からない深海魚が発見されて乱獲、個体数激減というパターンがあるみたいに発見されたところでそれが幸せに繋がるなんて分からないものでしょう」


「何を言うか。グラゲに従わぬ者に幸福なしだ。思い知らせてやる!」


 ホキ男は懐に隠し持っていたスイッチを押して巨大化した。やはり戦うしかないようだ。渡海雄と悠宇も合体してそれに対抗した。


「メガロボット!!」

「メガロボット!!」


 巨体同士の鍔迫り合い。ホキロボットの奇怪な顔が悠宇の眼前に迫るも慌てず冷静にその行動を読み、攻撃を仕掛けた。そしてホキロボットがバランスを崩した。


「よし、今よとみお君!」


「ナイスゆうちゃん! では、このサンダーボールで!」


 その一瞬を逃さず、渡海雄はすかさず黄色いボタンを押した。右手首から発生した電気のボールがホキロボットの全身をショートさせる。もはや戦える状態ではなくなった。


「うぬぬ、どうやらここまでのようだな。撤退する!」


 機体が爆散する寸前に作動した脱出装置でホキ男は深海ならぬ空の彼方にある深い海へと帰っていった。そして渡海雄と悠宇は頑張って宿題を終わらせたかったけど戦いすんで気が抜けて、なかなか集中出来なかった。

今回のまとめ

・はやはり選手層がものを言ったかなという東海大相模優勝

・カープは同じようなところうろついてるだけでどうも語りにくい

・とにかく打って投手を援護をしてくれればまだ可能性はある

・残り試合数一桁と言われるとそんなに迫ってるのかと驚く

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