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vm09 サンフレッチェ首位浮上について

 うだる暑さは激流となり少年少女の肌に容赦なく吹き付ける。冷房もそこそこにアイスを頬張る悠宇と渡海雄は甲子園の予選を見ていた。夏休みだ。


「……うわあ、これでゲームセットなのね」


「延長引き分け再試合かと思ったのにいきなりサヨナラランニングホームランなんてね。ヒットで出たランナーをバント失敗のダブルプレーって時点で完全に終わったと思ってたのに」


「高校野球特有の何が起こるか分からない流れが出たわね。そうでなくてもこの暑さ、日中に試合やる日差しじゃないわ。当然選手はふらふらで、そりゃあミスの一つや二つもするでしょうよ。その中で熱戦を繰り広げる高校生の皆さんには本当に頭が下がるわ」


「そうだね。ところでプロのほうはどうだろう」


「カープはねえ、とにかく中途半端と言うか未だに噛み合っていないのが非常に残念という試合が多くてちょっと辛いところがあるわね。投手陣は割と頑張ってるけど、暑くなると疲れも出るから燃える試合も増えるでしょうね。そこをフォローするのは打線の役割なんだけど、ここがどうにも上手く行ってないから勝ち星も簡単に落としてしまう」


「もう補強はないだろうから、打線の組み換えとかでどうにかするしかないのか」


「そうなるわね。リリーフみたいにあからさまに弾不足でもないからやりようによってはもっとどうにかなりそうなんだけどなかなか上手く回らないのがじれったい部分。とにかく選手個人がどうってよりもチームとしての調和をどうにかしないとね。幸いセリーグは未だにごちゃついているんだから」


「確かにね。あんな負けまくってる印象しかないのに案外離れてないから驚くよ」


「そういう中にあってもさっさと状態を立て直してしっかりとした戦う形を構築しない事には、取り残されてしまうのはもはや火を見るより明らか。来年は前田がアメリカに行く可能性もあるし今年こそはと思っていたけど、なかなかね」


「来年か。どうなってるんだろうね」


「ドラフトで選手獲得したところでいきなり前田レベルが手に入るわけじゃないし。今甲子園の予選や都市対抗もやってるけど、ここで躍動している選手の中から何人かは確実にプロに入って、その際に着るユニフォームがカープのものである可能性もあるんだけど、いきなり戦力になるかってのはまた別よね」


「去年のドラフトで言うと野間はずっと上にいるね」


「控えメインだけどこの経験を来年以降にどう活かすかよね。それと薮田、本当にびっくりしたわ。例えば今ヤクルトにいる中根みたいなコースしか想像していなかったから上で投げられる、あまつさえ勝利投手になるなんてねえ。でも素質は評価されていたみたいだし、プロのスカウトは私達素人の目に入る公式戦や大きな大会以外の様々なルートから情報を集めていて、それを総合した結果のドラフト二位って事だったんでしょう。現状コントロールは酷いものだけど力のあるボールを投げられているし、怪我には気をつけて成長してほしいわ」


「確かに怪我には気をつけないといけないよね」


「怪我と言えばサンフレッチェの柴崎が日本代表に選ばれるところだったけど直前の浦和戦で走ってたらいきなり崩れて肉離れだったという無念な出来事もあったわ。夏場の連戦、いくら夜にやってもきついものはきついからこういった離脱が増えるのはもはや宿命よね」


「それでも浦和に勝てたんだからごきげんだよ」


「あの試合、柴崎交代後は滅多打ちでボロ負けしても不思議じゃなかったけど林がPKセーブしたりよくぞ一失点だけで持ちこたえたものよね。そして後半、浅野投入以降に逆転劇がスタートしたけどあれとて前半で二点三点と取られているとドラマにはならなかったでしょうから。はっきり言ってその可能性はかなりあったけど、そういうところで粘れてるのがいいところよね。カープみたいに微妙なところでポロポロ取りこぼしたりしない安定感」


「その後広島は横浜を無難に下す一方で浦和は連敗を喫して、何気に年間順位でも逆転したわけだ」


「けどまだ十試合以上あるし、今首位になったところでねえ。シーズン終盤の逆転劇はJリーグの十八番だし、最終的にどうなってるかよ。ああ、そう言えばセカンドステージ首位でもあるんだけどこれもまあどうって事ない話よね」


「でもこのまま首位になったらまたスタジアムの話が燃え上がったりするのかな?」


「あの話はねえ。現状宇品が優位という話で、でも宇品に建設決定ではなくてまだそれ以前の段階だから本当に何年かかるやら。整備しないと即降格とかそういう緊急性のない話題でもあるし。流通業者は宇品に反対と言うけど結局は『だから道路整備しろ』って事じゃないかと思うし、実際スタジアムをただ建てるだけでなく周辺の整備しないと何の意味もないものだから。と言うか今のスタジアムだって本来はねえ。言っても仕方ないけど」


「そうするとまた時間かかりそうだね。ところで年間順位見るとなかなか面白いよね。広島に浦和、大阪、東京、川崎まではいいけど次の六位鹿島との差がとんでもなく開いてる」


「鹿島から十二位の鳥栖まで勝ち点が三しか違わないからこの辺りは試合ごとに順位の変動があるゾーンと言えるわ。この中位グループはまさに一寸先は闇よね。そして下のほうもかなり盛り上がってるわ。清水、新潟、山形、松本が中心だけど松本や新潟は連勝したから一つ上のグループ、甲府や仙台あたりまで燃え広がる可能性もありそう」


「現状最下位は清水か」


「清水は、正直かなり厳しいかなと、ねえ。守備が弱く、監督もそこを改善しようという気がないみたいだから。フロントもバランスを欠いていて解禁されたシーズン途中の補強で鄭大世というFW獲得したけどそこじゃないでしょと誰もが思う補強で、案の定先日の川崎戦もリードする展開からの逆転負けだったし。ただまあ、FWのウタカはかなりいい選手だしさらに鄭獲得で攻撃力はアップするでしょうよ。ただ本気で残りたかったら監督交代は必須となるでしょうけど、大榎監督は現役時代クラブに多大な貢献をした言わばレジェンド。ゆえに粗末な扱いは出来ないという事で首に鈴をつけられないとしたら。まあその先は言わずもがなよね。現状ですら少し離されつつあるのにこれ以上の停滞は絶対に許されないわ」


「山形は守備はしっかりしてるね」


「ただ攻撃がね。総得点リーグワーストは甲府で、山形の次は松本となってるけど、やっぱり資金的に厳しい地方クラブが集まってるものね。山形はそもそもJ2の六位からプレーオフ昇格のチーム。むしろ今までの徳島や大分みたいに最下位独走じゃないだけ十分健闘してるんだけど、やっぱり可能性があるなら『惜しかったけどよく頑張ったね』で終わったら悔しいじゃない。山形は比較的守備がいいから地道に勝ち点を積み重ねられると思うの。後は勝てるか」


「そしてJ2の順位は、ああ、大宮独走か」


「これはもう確定でしょうね。磐田が二位だけどここまで差があると逆転は考えにくいわ。その下、プレーオフ争いはかなり熾烈でその中に金沢や東京、福岡が入っていると想像してた人はあまりいないと思うわ」


「上位の中でここは来るかなってところはどこだと思う?」


「来るかどうかは別にして注目しているのは東京ヴェルディ。去年は成績だけでなく資金不足なので若い選手を売り払ったりと痛ましい話題ばっかりだったけど無事立て直したようで、若い選手たちのアグレッシブな躍動に加えて監督の用兵が上手く行ってるみたいね。これも緑の心臓の力、なのかは知らないけどあのコンセプトはある意味完璧と言えるし、頑張ってほしいなって思うわ。まあ過去のあれこれで人気はないけど、だからこそ時代はもはやヴェルディと言えるわけだし、後は今の戦いをどこまで続けられるか」


「上がったら何年ぶりだっけね。僕は、そうだな。金沢がいきなり上がったら凄いと思うな」


「確かに。逆に最下位は岐阜、ブービーは京都でその次は大分。タイトル獲得クラブが降格すらある位置にいるんだから大した展開よ。J3降格もあるから特に大分、水戸、京都、栃木と下位に低迷したチームは積極的に監督を交代させているわ」


「J2ってだけでもきついのにさらに下となると。必死になるよね。それと昨日は千秋楽もあったよね」


「一敗で優勝争いトップに立つ白鵬とそれと一差で追う鶴竜、両横綱の戦いだったけど最後はやっぱり実力だったわね。途中まではあわやという場面も作ったけど、取組中なのに観客が何やらコールを始めて、それをパワーに変えたかのように白鵬が一気に寄って」


「序盤で衰えてるなんて声もあったけど結果で一蹴する白鵬。まさに最強だね」


「そもそも衰えてるって話も初日二日目と瞬殺ではなくある程度時間がかかったって程度のものだし、大体多少時間がかかっただけで負ける可能性があったかと言うとまるでその気配はなかったし、これは最強たる者の宿命よね。あまりにも完璧だからほんの少しの穴が物凄い問題であるかのように見えるという」


「それにしても鶴竜は休場明けだったのになかなかやってくれたよね」


「そこは、良かったわ。ただ休んでいただけでなくしっかり鍛えてきたって事でしょう。相撲内容もいい感じだったし。後は白鵬に勝てればねってところ。通算成績もあまりにも負けすぎだから。一方で日馬富士が初日だけで休場してしまったのは残念。腕に負担がかかる倒れ方をしたから嫌な予感はしてたけど。百数キロ、下手すると二百キロに到達する鍛え抜かれた肉塊のぶつかり合いだから当然怪我だってするわよね」


「特に日馬富士は軽量だから、なおさらだよね」


「まあ大きければいいってものじゃないから。今場所の逸ノ城は残念な結果に終わったけど、あれも太りすぎで体のキレがなかったと自己総括してたようにただ漫然と太ってるだけじゃないからこそ肉体のケアも細心の注意が必要になってくるものよね」


「他には、前の場所で優勝して大関昇進した照ノ富士は良かったよね」


「すでに実力では大関陣の中でも随一と言えそうで、あっという間に横綱まで駆け上がるんじゃないかしら。稀勢の里はどうやら名大関として終わりそうで、最後三連勝でどうにか陥落を免れた琴奨菊も先は長くないでしょう。でも衰える人がいれば出てくる人もいるわけで。新しい世代が出てくるのに合わせて退潮、歴史となるのはこれまで何度も繰り返した事だから、寂しいけれど受け入れないとね。十両の若の里や幕内の旭天鵬もついに引退となりそうだし、本当にお疲れ様でしたってだけよ」


 そんな事を語っていると敵襲を告げる光が目に入ったのでここで中断となった。敵が来たなら仕方ない。渡海雄と悠宇は素早く変身して敵が出現したポイントへと急いだ。


「ふはははは、私はグラゲ軍攻撃部隊のハモ女だ。我がグラゲの偉業を邪魔する者はバラバラに切り刻んでやる」


 今の季節はやっぱウナギよりハモだよねえという関西、特に京都ではお馴染みの魚だ。小骨の多い魚なので肉を切らせて骨を断つ、じゃないけど食べるためには骨を細かく切り刻みつつ皮一枚で繋げるという熟練の技術が必要と言う事だし、それでも口にすると骨っぽさは結構感じられて独特の食感を持っている。


 スーパーなんかだと蒲焼きか骨を切断されて花開いた姿で並んでいる事が多いが、実際の姿はウナギ、あるいは蛇みたいでちょっと怖い。そんなハモ女が川沿いに出現した。間もなくそれを追う二人も川べりに現れた。


「出たなグラゲ軍! だがお前たちの目論見は失敗に終わらせないといけないんだ」


「そうよ。今からが楽しいところなのにここでこの地球を終わらせてたまるものですか」


「ふん、世の理を解らぬ愚か者め。グラゲの支配下に入って何が悪いのか分かりかねるな。まあ良い、邪魔者は消すだけだからな。雑兵よ!」


 ぞろぞろと出現してきた雑兵を渡海雄と悠宇は次々と倒して、残った敵はハモ女だけとなった。


「よし、雑兵は全部片付いたな。後はお前だけだハモ女!」


「これ以上この星を踏み荒らすのはいい加減にやめてほしいの」


「仕方のない奴らめ。やはりこの私自ら戦うしかないか」


 人の話を聞かないハモ女は懐から取り出したスイッチを押して巨大化した。武器のない平和な世界を望むのは誰だって同じはずなのに現実はなかなかそうはいかない。敵意を示す者がいるなら、不本意ながらも戦うしかない。渡海雄と悠宇も合体して暴力に対抗した。


「メガロボット!!」

「メガロボット!!」


 スラリとしたハモロボットのしなやかな動きから繰り出されるアタックを悠宇がうまく回避しつつチャンスを窺った。そして攻撃疲れしたかハモロボットが一瞬動きを止めたのを渡海雄は見逃さなかった。


「今よ、とみお君!」


「うん。フィンガーレーザーカッターで切り刻んでみせる!」


 渡海雄はすかさず群青色のボタンを押した。指先から発生した高熱線レーザーがハモロボットの肉と骨をバラバラにした。


「うぐうっ、どうやらここまでか。脱出せねば」


 機体が爆散する寸前にハモ女は脱出装置を作動させ、宇宙へと去って行った。春にスタートしたリーグが終わるのは秋なので、今の順位が全てではない。ただそれでも首位に立つと嬉しいし下位に沈むと残念に思うものだ。最終的にどうなっている事やら。


 ドラフトなんかもそろそろボルテージが上がってくるし、サッカーでは選手移籍が積極的になされているのも見どころ。これで別のチームになったりするので興味は尽きない。

今回のまとめ

・とりあえずカープはもうちょっと奮起してくれるといいな

・サンフレッチェが首位と言っても今の段階ではどうって事もない

・大事なのはフロントの力なんだなと再確認する

・色々過小評価されすぎな白鵬はやっぱり強かった

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