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ng18 例年より動きに乏しく見える新年について

 あけましておめでとうございます。コロナも一段落と思ったらオミクロン株に市中感染がどうこうって話になって、まあこの流れが途切れる事はしばらくはないでしょうが、ともあれ今年も元気に更新していきたいと思います。


 新年の行事と言えば初詣。今年は天皇杯もとっくに終わっているし、こういう言い方もどうかと思うが心煩わされる事なく元日の空を眺めていた。


「というわけで今年も生きてこの時を迎えられた喜びをみんなと分かち合いたいよね」


「そうね。一寸先は闇とはいつもの事だけど、怪しげな病気が蔓延する現在においては一層その言葉も重たく響いてくるわ」


「本当だよね。カープとか、今年の補強は今のところやっぱり外国人だけだけど、彼らの来日がどうなるかさえ分からないしね」


「外国人に関しては当分はそういうリスクがあるから何ともねえ。選手の質に関してはまあ十分だと思うんだけどね」


「野手ではマクブルーム、投手はアンダーソンとターリー」


「まずマクブルームだけど、昨年マイナーリーグにおいて抜群の長打力を示したので今年来日しそうな外国人バッターの中でも日本ハムが獲得したヌニェスや楽天に入団のマルモレホスらと並んで筆頭格と目されていた選手。つまり去年におけるクロンみたいな存在よ」


「じゃあ駄目じゃない?」


「クロンとてあれでフルシーズン使っていればホームランは二十本を軽く越える程度のペースではあったからね。もうちょっと確実性を高めてほしかったのは確かだけど。マクブルームに関してもパワーは間違いないし後は適応の部分よね。それは選手個人の問題もあるけど、それと同じぐらいコーチによる指導も重要となってくるはず」


「それと守備位置はどうなるんだろうね。去年はいよいよブレイクした坂倉がキャッチャーとファーストを兼任する形だったけど」


「坂倉は秋季キャンプでサード挑戦などと言ってたけど、これは構想止まりに終わる可能性も大いにあると見るべきじゃないかしら。そうなると坂倉は去年と同じ感じとして、だとすればマクブルームはかつてのエルドレッドやバティスタみたいに外野とファーストを行き来する形になるのでは。推測に推測を重ねる形で何とも申し訳ない言い回しになってしまうけど」


「ともあれ鈴木誠也もおそらくアメリカへ行くから明らかにパワーヒッターが不足する現状、極めて貴重な大砲候補として絶対に頑張ってほしいよね」


「全ポジションの予想をすると、まずキャッチャーは會澤と坂倉の争いに三番手石原や磯村、ファーストは坂倉とマクブルームと、後は誰かしらね。坂倉はあくまで窮余の策と見るのでここに良い大砲を配置出来ればってところ。もちろんそれは松山なんかじゃないわよ。彼の打撃には期待しているけど守備走塁には一切期待していないので、早くグラブを捨ててバットだけで生きる覚悟を決めてほしいと切に願うわ」


「もう守る姿は見たくないよね。セカンドは当然菊池、ショートも小園だよね」


「小園はドラフト時点で絶対ものにしないといけない素材だったけど、三年目にして規定到達してあわや三割まで伸ばすとは見事なものよ。守備力は要改善だけど、そこはサード林も含めて若さに期待。林も去年は期待の若手として十分な成績を残したけど、今年もこの程度では困るだけにどれだけ成長するか。そして田中広輔はどう使うのか。去年並だと使う必要はないから巻き返し前提ではあるけどね」


「田中はこの程度で終わる選手だと思いたくないよね。ここまではある程度形になってるけど、外野はちょっと読めないよね」


「首脳陣は一番宇草二番野間が理想みたいに言ってるわね。正直全然理想には見えないけど。それで野間はキャプテンに就任したけど、そのニュースを聞いた時は鼻で笑ったわ。その際に『自覚と責任を持ちながら』云々と語っているけど、それはまさに野間が決定的に欠如している部分。今回重責を担う事でそれらが生まれるのに期待と楽観的になれればいいけど、その域にない者を無理やり就任させる事でマイナスさえ生まれるのではという懸念は拭えないわ。ともあれ外野は西川もいるし中村奨成だっておそらく外野出場が増えるはず。ドラフトでも社会人から中村健人、末包と複数獲得した。争いの中から形を見極めていくんでしょうね」


「ただ全体的にスピードタイプや中距離打者タイプが多いよね。鈴木退団に伴うパワー不足の改善はやっぱり難しいかな」


「まずマクブルームに、日本人では正随や末包ってなるかと思うけどさすがに足りないわね。というか現状日本最強クラスのバッターである鈴木の穴を埋めるのは誰であれ不可能だから、全員の成長でカバーする以外にないわ。理想は野間をスタメンで使わなくても良くなる事。そうすればあの常に知性のない軽はずみなプレーでイライラする機会も減るでしょうし」


「そうなると苦しい戦いになる公算が高いのはどうしようもないか。しかし退団って話になると、大瀬良と九里がともに残留を果たしたのでそういうダメージは最小限に抑えられたとも言えるのかな」


「そもそも鈴木退団の時点で致命傷ってのは置いておくとして、残留交渉に関してはフロントがしっかり働いた成果よね。しかし今年はカープのみならず、他球団を含めても移籍前提のFAが又吉の一件だけってのもいかにも寂しい数字で、これは各球団の資金力の格差が小さくなった結果と前向きに見るべきか制度が機能不全になりかけていると見るべきか。ともあれ理想を言うとカープも普通にFA選手にアタックしてたまに獲得する時代が来るのが一番だと考えているわけで、現状は今のカープにとっては都合が良いからあんまり悪く言いたくはないけど何らかの改革がなされても仕方がないとも思うわ」


「上手く回ってないって事は改善の余地があるって事だもんね。ともあれこの二人がともに三年契約を結んだ事でローテの計算もしやすくなった」


「大瀬良、九里、森下の三人はまず確定。床田も今年は最初から最後まで頑張ってくれるといいわね。そしてここに入ってきてほしいのが新外国人のアンダーソンよ。彼もまた去年はマイナーリーグで好成績を残した選手として狙うならこの選手と注目されていた存在だった。去年におけるネバラスカスみたいな、と言うとちょっと違うか。あっちはアメリカじゃリリーフメインだったものを先発で使うとか言い出したけど、こっちは向こうでもちゃんと先発やってるから」


「ネバラスカスも全然戦力にならなかったよね」


「悪天候の千葉で投げた一試合のみであっさり見切られたのは気の毒ではあったけど、それでもやっぱり結果を残してこその世界だからね。アンダーソンはそうならないようにね。これでとりあえず五枠で、残り一つは既存戦力だと玉村、遠藤、高橋昂也ら、それに新人の黒原や森も加わって争われるかと思われるわ」


「特に森は大卒社会人だし早速の活躍に期待したいよね」


「そしてリリーフ陣は、抑えは当然栗林で計算。森浦も含めて疲労はかなりあると思うからどこまで計算していいかは知らないけど。後は島内が最初からフル回転してくれれば。そして外国人補強として左腕のターリーを獲得した。アンダーソン、マクブルームと違って去年のマイナー成績はそれほどでもなく、現時点における評判はそれほど高くないのは率直なところ。つまり去年におけるバード的な存在」


「バードは期待値が低かった中ではそれなりに使われたけど結局一年限りだったね」


「ワンポイントが精一杯じゃ仕方ないわね。それでも貴重な戦力としてカウントしないといけなかったあたりが去年の苦しさを物語っているけど。とにかくターリーは一イニング投げる豪腕リリーフとして期待されているわ。それにフランスアの復活はあるのか、豪腕だけど色々未熟なコルニエルの成長はどうか、今村引退でいよいよ崖っぷちな一岡中崎らベテラン奇跡の復活はあるのか。とりあえずはそんなものかしらね。松本竜也も案外リリーフとして面白そうではあるけどあくまでもドラフト五位、期待しすぎるものではなさげ」


「やっぱり去年同様ここが泣きどころになりうるよね」


「去年は栗林に繋ぐまで一苦労だっただけに、早い段階で形を作ってくれれば。とにかく去年の両リーグ、最下位だったチームがいきなり優勝したんだからカープに出来ない道理はないわ。そのためには選手はもちろん監督の覚醒は必須よ。調子が悪い選手でも異常に長く使い続けるからその年ならではの形を作るのが遅く、とっくに差をつけられたところで巻き返しというシーズンが続いているのは監督の無策と見られても仕方がないだけにね」


「もちろん優勝は期待したいけど、その前にちゃんとAクラスに入ってほしいよね。そしてサンフレッチェだけど、こっちも選手移籍に関してびっくりするほど沈黙してるよね」


「土肥が水戸に期限付き移籍は驚いたけど、藤井あたりをしっかり守ったのは仕事の範疇でしょ。去年限りだろうと思ってた永井まで残留なのは過剰防衛かも。でも監督を始めとする首脳陣はガラリと装いを新たにしたわ」


「ドイツ人監督だっけね」


「ミヒャエル・スキッベよね。三十代の頃からドイツのトップリーグにおいて監督業をスタート。また当時弱体化が叫ばれていたドイツ代表のコーチとしても当時最新の戦術を導入するなどして復活に貢献。それがちょうど二十年前に開催された日韓ワールドカップの出来事よ。それ以降もドイツを中心にトルコやスイス、ギリシャ代表の監督などを務めてきた。スタイルとしては攻撃的サッカーを好むとされているわ」


「実績は凄まじいよね。もう過去の人って噂もあるけどそれまで城福が率いていたクラブに来ると考えると十分未来の人だ」


「そのスキッベが連れてきた腹心がウマルという若いコーチ。それと松尾喜文という人物もドイツで活動していたみたい。それにヴェルディ黄金時代の守護神で前川崎キーパーコーチの菊池新吉と、岡山などで監督だった有馬賢二も就任。迫井、御簾納、磯部は残留。現役時代に東洋、マツダ、サンフレッチェ所属だった人物が一切いなくなったのが最大の特徴と言えるかしらね。これはクラブの歴史で初めての出来事よ」


「とは言えここ数年においてはかつて紫のユニフォームを纏っていたコーチなんてすでに沢田ぐらいだったんだね。その沢田は去年城福退任後に監督就任したけど酷い結果だった」


「情熱は本物だったけど、それだけじゃあね。城福だって去年は四チーム降格というハードなシーズンの中で残留という結果は残したけど、それ以外何も残らなかった。そういう意味でスキッベでより上を目指す方向性自体は間違いない。後は結果がどうなるか。二年後に誕生する新スタジアムを憂いない笑顔で迎えられるため、今出来る事を全力でやり抜いてほしいわ」


「でもいきなりオミクロン株のせいでスキッベの来日未定という前途多難っぷり」


「そのための有馬、なのかしらね。選手のほうはともかく首脳陣は他のクラブで実績ある人材を獲得という今まではそこまで派手にやってなかったスタイルへの転換を果たしているし、ひとまずはお手並み拝見ってところ。でもやっぱり補強が少ないのは正直不安。特に現状維持は停滞と同義の世界においてはね」


「そうなると今年もまた残留目標ってなるのかな。そればっかり続くのも苦しいけど」


「でも今ぐらいはこの分厚い雲の向こうに必ず輝いている太陽の光を信じてもいいでしょう。せっかくの新年なんだし」


 このような事を語っていると敵襲を告げる合図が光ったので、二人は心の底からがっかりしつつもこの世界を守るために危険の下へ身を躍らせた。


挿絵(By みてみん)


「ふはははは、俺はグラゲ軍攻撃部隊のトラフグ男だ。この毒素にまみれた惑星を洗い清めるのだ」


 食用のフグの中で最も高級とされる魚の姿を模した侵略者が寅年を迎えた新春の海に現れた。石川県には猛毒で知られるトラフグの卵巣を二年以上糠漬けにしてなぜか毒が抜けたものを食べるという不思議な料理があるが、そうやって時間をかけて熟成させるのではなく急に出てきてもぶつかり合うだけだ。なので地球としても不本意ながら戦いの使者が訪れた。


「出たなグラゲ軍。お前達の思い通りにはさせないぞ」


「こんな日にも出てくるんだから本当に困るのよね」


「ふふん、貴様らが逆臣ネイが作り出したという戦闘兵器だな。早速死んでもらうぞ。行け、雑兵ども」


 新年早々血で血を洗う戦いに身を投じる虚しさを感じつつも、世界のためと言い聞かせて二人は次々と魔手を破壊していった。


「よし、これで雑兵は片付いたみたいだ。後はお前だけだトラフグ男!」


「今ならまだ寛容でいられるからすぐにこの星から立ち去りなさい」


「馬鹿にするなよ。これからが本番だろうが!」


 そう言うとトラフグ男は懐から取り出したスイッチを押して巨大化した。こうなったからには対抗するしかない。二人は覚悟を決めると合体した。


「メガロボット!!」

「メガロボット!!」


 雪さえちらつく地上を遠く離れた空の上で激戦は繰り広げられた。当たると即死級の攻撃を悠宇は持ち前の反射神経をフル稼働させて回避しつつ、タイミングを見計らってカウンターを食らわせた。


「よし今よとみお君!」


「分かった。ここはレインボービームで勝負だ!」


 一瞬だけ生じた隙を見逃さず、渡海雄は白いボタンを叩いた。胸から放たれた波長の異なる七色のビームが敵を貫く。


「ぬおお、このパワー! やってくれるな!」


 機体が爆散する寸前に作動した脱出装置によってトラフグ男は宇宙の彼方へと帰っていった。今年は去年よりも良い年であれ。何が起ころうとも、その願いだけは捨てないように生き抜こうと誓う二人であった。

今回のまとめ

・今年こそコロナの驚異が決定的に薄れる年になるといいな

・大砲候補がマクブルーム一本だと去年の二の舞になりかねないし補強して

・シーズン序盤にもっと試行錯誤して早く形を作れるようになれば勝てる

・選手ではなく首脳陣が変貌するサンフレッチェはどう変化するか期待

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