第三話 鏡惺列車 【前】
ちょっと短いくてごめんなさい!
→スター・ホープ
列車は森を抜け、おれの知らない景色を見せていた。
遠くの山々とその洞窟。広い川。
星が列車の中のおれたちを見下ろしていた。
話したい。今おれの正面から真っ直ぐな目でおれを見据えてくる男に、全部。
この人は、さっきの話を聞く限り、施設とは関係ない…はずだ。何より、この人は何だか信頼できる。
「おれは、特別な能力を持って、生まれました…バッテリー、って言う能力です。」
「敬語はいらねぇよ」
「…その力は、星の力を体に保存して、また、解放する力なんです………、…。えっと。でも、おれはまだ解放は出来ないんだけど。」
「…星の力を?そりゃあ──、──。」
おれは、特別な力がある。でもおれはそんなの欲しくなかった。何度も星の力を吸わされて。
監禁されることが何よりも辛かったんだ。
そうだ。話したい。
おれは、さっき会ったばかりの男に全部話してしまった。
「…。」
おれは喋るほど出る早口になっていた。喋り終えて、ヘクターが無言で俯いてるのに気づいた。
あたりは白み始めていた。…夜が明けたんだ。
「えっと…どうして…」
どうして、泣いてるのか。
「お前は特別でも、生き方は自分で選べなきゃおかしいはずだ…」
「…。」
「お前は悪くない。」
……………。遠い昔、誰かに言われた言葉がある。
"あなたは何故特別な力をもって生まれたか分かりますか?"
分からない。おれはその時そう答えた気がする。
"人の役に立つためです。あなたは人の役に立つために生まれてきたんですよ。"
おれは誰かの役に立つために生まれてきた。
でもおれは嫌になって逃げた。
おれはおれの責任を果たせなかったんだ。
ヘクターはこれを肯定してくれてるけど、それはおれがこれまで考えてきたことと違う。
おれは悪い。
横で静かに泣いてるヘクター。
朝の空気が漂う列車の中で、おれは向かい側の窓に映る自分と目を合わせた。
それはきっと、自由を求めた1人の悪人だと。




