↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移したクラス委員長。野田市へ帰れるか……!?  作者: 利根きぬ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/2

こんにちは異世界! 

「ぐっ…… な、なんだお前はっ……!」

 

 氷結魔法が炸裂し、倒れ込む敵。

 

「ふっふっふ…… 知りたいですか?」

 

 私は、マントを翻し、高らかに宣言した。

 

「私の名は七光台夏奈! 野田より来たりし委員長よ!」

 

「な…… 無念……」

 

 ふう…… 異世界に来てしまい一週間が経った。

 

 早く千葉に帰りたいなあ……とも思いつつ。

 

 私は今日も、異世界を冒険するのでした。

 

 

 私の名前は、七光台夏奈(ななこうだいなな)。千葉県の野田市で生まれ育った高三です。

 

 醤油が有名なあの街が、私は大好きでした。

 

 高校では、クラス委員長、生徒会として、真面目に働いていた。

 

 そんな私は、秋となり、受験勉強に明け暮れる毎日を過ごしていたのですが……

 

 起きたら異世界に居たんです。

 

 つい一週間前のこと。

 

 気づいたらあたり一面原っぱで、最初は「ああ…… 私、死んじゃったのかな……」と思いました。

 

 3秒後、頬をつねって生存を確認。しかし3日後に飢えて行き倒れたところを、今の家主に拾ってもらったのです!

 

「ナナさん……まあ…… さぞ大変だったでしょうね……」

 

 拾ってくれた女の子、アキノさんは、ふっくらパンを渡してくれて、なんと私の部屋まで貸してくれた。

 

 ああ…… ありがたや…… アキノさま……

 

 

 

 今日は、街の近くの草原で、軽く稽古をしていたところだ。

 

 ちなみに、さっき倒した敵は、敵ではない。

 

「ふふーん! 私のやられる演技、どうだった?」

 

 そう。私と稽古をしていた相手、拾い主のアキノだ。

 

「私、やられる練習したんだからっ! ナナに魔法を楽しんでもらうため!」

 

「あ、ありがとう……」

 

 この世界では、魔法が使えるみたいだ。びっくりした。

 

 アキノから聞いた話によると、さっき使った氷魔法、炎魔法、風魔法など、いっぱいあるらしい。

 

 まだ初心者のため、ちっちゃな冷気しか出せない私。

 

 現在の威力では、アイスを食べたあとの息くらいの温度だ。

 

「ふふ、私ね。ナナが会いにきてくれて、嬉しいよ。でも…… ナナは故郷に帰りたいんでしょう……?」

 

 アキノは、嬉しさと寂しさが入り混じった顔で、私に尋ねる。

 

 私は、すこし戸惑った。もちろん、大好きな野田市に帰って、餃子を食べたい。

 

 でも、命の恩人である彼女をただ置いて帰るのは、やはり悲しい。

 

 うーん。と、私が返答に迷っていると。

 

「あっ、ごめん! 急にそんなこと聞くの、申し訳ないよね……」

 

「え、ううん! 全然大丈夫……」

 

 すると、アキノがとんでもないことを口走った。

 

「あ、そうか……! ナナには、向こうに大切な大切な彼氏さんがいるのかな?」

 

「なっ……! そ、そんな、いないからっ! 私は、家族と先生方だけよっ……!」

 

 ほんとかなー、と、にんまり笑うアキノ。

 

「ふふっ、でも、大切な人がいるって、良いことだと思うよ。こっちの世界でも、イケメンな人はたくさんいるからねっ!」

 

「ちょっと! 私はお勉強に忙しいの! そういったことはしません!」

 

「真面目だねー。委員長さんみたい」

 

「実際もともと委員長ですから……」

 

 そんな他愛もないやりとりをして、街へ歩いた。

 

 

「ただいまー!」

 

「ただいまです」

 

 アキノの家に到着すると、良い匂いが漂ってくる。

 

「あら、二人ともお帰りー! ご飯できてるわよー!」

 

 アキノのお母さんが、キッチンから声を出す。

 

 異世界にしては、とっても現代に近いつくりの街で、アキノの家に至っては、タワマンの一室である。

 

 だいたい、こういう異世界って、西洋チックな町とか、のんびりした村とかかな、と思っていたが、バリ都会だった。

 

 手を洗い、台所へ向かう。

 

「わー! 餃子だー!」

 

「…… 美味しそうです!」

 

 そう。今日の夜ご飯は餃子だった。と…… そこに添えられていたのは……!

 

「しょ、しょうゆ……!」

 

 と、驚く私に、お母様は微笑んで説明してくれた。

 

「ふふっ、ナナちゃんのお話から考えて、頑張って作ってみたわ。…… 合ってるかしら?」

 

 手元の小皿には、間違いなくあの醤油が。

 

 すこし、お皿を傾けて、味見させていただく……

 

「…… はい! あってますっ! これは紛れもなく、野田のお醤油です!」

 

「まあ、よかったわ。ちょうど、隣国から行商人が来てたから、豆を買ってきたのよ」

 

 そうだったのか。わざわざ、私を気遣って、料理の味付けを考えてくれるお母様に、ほんとうに頭が上がらない。

 

「ねえ、私もう待てないっ! いただきますしよっ!」

 

「うん、しよっか!」

 

 そう言って、手を合わせる。

 

「「いただきます!」」

 

 餃子を一切れ、口に入れると……

 

「んんー! 美味しいー!」

 

「…… 美味しい!」

 

 じゅわっと口の中に広がる肉汁、そしてあの、いつものお醤油。

 

 絶妙なバランスに、箸が止まらなくなる。

 

 アキノと私は、無我夢中で餃子を食べてしまう。

 

 幸せな家庭で、幸せな食事。親友の女の子と、魔法の特訓。

 

 これでは…… どんどん、異世界から帰れなくなりそうだ……

 

 ちょっぴり、怖くなった私。でも、今は餃子を堪能させて頂こう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。