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海棠色(かいどういろ)
なかなか色彩事典に無い色名です。
海棠色は、海棠という花のような色のことです。画像のような淡い赤色で、桜に似ています。
海棠は、バラ科リンゴ属落葉高木で花期は4~5月。中国原産で、江戸初期に実海棠が先に渡来しました。ちなみに実は、黄褐色です。その後、花海棠が日本に来て、実海棠と区別するために頭に実や花がつきました。
「睡れる花」とも呼ばれ、「海棠睡未だ足らず」と唐の玄宗皇帝が酔って眠った楊貴妃の様子を評した言葉に由来します。
その話を、俳人の蕪村は知っていたのでしょう。
海棠や白粉に紅をあやまてる/蕪村
と詠んでいます。
海棠の花が、白粉と紅を間違えてぬってしまったようだ、と美しさをたたえている俳句です。
他の俳人や文豪たちも使い、明治時代以降に色名になりました。
英名では、ブーゲンビリアが近いです。南国の花で、鮮やかな紫みの赤です。花と思われている部分は実は包葉という花を取り巻く葉で、実際の花は中央に小さなものがあります。