表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/13

エピローグ[超天才は報われる]

「グレイー、ネアちゃんが迎えにきてくれたよー!」


「はーい!」


 カーテンを開いた明るい部屋の中で、グレイ・バーンアウトは居候させてもらっている姉に返事して、祖父から譲り受けた白いコートに袖を通した。


 コートは大きくてブカブカだ。

 裾は床スレスレ。

 半ばロングコートのようになっている。

 腕まくりをしてボタンで留めているが、そうしないと指先さえ出てこない。

 グレイの小柄な体には不釣り合いな代物だった。


 念のため、机に置いてある小さな鏡で自分の姿をチェックする。


 燃え盛る炎のような赤髪に、宝石じみた透明度を誇る碧眼。

 瑞々しい白い肌は明かりが少なくとも光り輝いており、非の打ち所がない造形の顔は、以前よりも希望に満ちた表情を作っていた。


 ふと、鏡の隣、木で出来た茶色い枠縁の写真立てに目が行く。


 飾られているのはもちろん写真。

 グレイほどではないが、彩度の高い立派な赤髪を長く伸ばし、うなじでまとめた細身の老人が陽気にピースサインしている。

 額は生え際が後退してだいぶ広い。

 眉は太く凛々しく、瞳は毛と同じ赤色。

 その眼差しは優しげで、しかし鋭い。


 これは、いわゆる遺影だ。


「おじいちゃん。あたしは普通の女の子にはなれないけど、普通の女の子と友達になることはできたよ」


 グレイは近況を祖父に告げて、コートの襟から赤髪を取り出す。

 腰まで伸ばしているのは祖父の真似だ。


 教科書の入った鞄を背負う。


「グレイちゃーん!」


 友達の呼び声がする。


「はいはい、今行くよー!」


 それをなんら疑問に思わず、グレイ・バーンアウトは昨日ぶりの登校に臨むべく、部屋を出た。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ