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ストラテジー~知略の勇者~  作者: 鷹飛 諒
第一章
3/31

~四人の勇者と城内は~

連続投稿三話目です。

どうも皆さん鷹飛 諒です。

引き続きどうか生温かい目で読んでやってください。

では!

 どれくらい歩いただろうか。一〇分ぐらいは歩いた。ほんと広いな、ここ。


「ここですぅ」


 通されたのはモダンなテーブルやソファーの揃った温かみのある部屋だった。赤い絨毯がテーブルが置かれ、テーブルを囲むようにソファーが置いてある。暖炉もあるから割とまったりとした雰囲気がオレ好みだ。


 そこには、騎士の格好でソファーに座って仲良く談笑する男女二人とソファーの後ろで待機している騎士二名が微動だにせず立っていた。ほう、なかなか訓練された兵士だな。……おっといかんいかん。なぜか兵士を見るとストラテジーゲームランキング一位の血が騒いでしまった。


「君か、新たな勇者というのは」


 オレは落ち着いた女の声の方に顏を向けた。


「私は天木涼音だ。よろしく」


 黒髪ロングの女がむくっと立ち上がり、爽やかな笑顔で握手を求めてきた。


「ああ、よ、よろしく」


 オレは反射的に差し出された手を握る。


 涼音の身長はオレよりちょっと低いくらいで、オレの身長は一七五センチと割と高めなので相当スタイルがいいとみる。顔もきれい系の美人だ。


「あ、俺は大和大樹だ。よろしくな」


「僕は鑑壮介です。よろしく」


「あの、藤巻琴音、です。よろしくお願いします」


 他の三人も続いて名乗りだす。


大樹は鎧姿でもわかるしっかりとした体格で、多分何か武道をやっているような印象だ。髪も赤み帯びた逆立った黒髪で、一瞬不良のような印象を受けたが、その元気な笑顔で悪い人ではないなと思い直した。


 壮介はサラサラの髪で少し長い。落ち着いた物腰とその佇まいは理知的な印象を受ける。


 琴音はおどおどした様子で体を揺らし、そのたびに毛先がくるんと丸まった短い金髪が可愛らしく跳ねている。見たところ人見知りをするタイプのようだ。


「ああ、みんなよろしく」


 少し戸惑いながらも三人と握手を交わしていく。


「そろそろ君の名前も聞かせてはもらえないだろうか」


「ああ、ごめん。オレの名前は柊和人。気軽に和人って呼んで構わないよ」


 オレは涼音に促され、慌てて名乗る。


「そうか。よろしくな、和人君。私の方も涼音と呼んでくれ」


「おう! 俺も大樹でいいぜ!」


「よろしく。和人君。僕の方も壮介で構いません」


「琴音、です。和人さん」


 オレはみんなの声に笑顔で頷く。


 しかし、いきなり女子を名前で呼ぶってのもいささか抵抗があるが、まぁ慣れていけばいいか。


「自己紹介を澄んだことですしぃ、今度は城内を紹介させていただきますぅ」


「ああ、そうだな。よろしく頼む」


 さっきまでエミリアに話しかけるのが難しかったが、魔法陣の時の声の主だと気づいた時からはそんなことはもう気にしなくなった。でも、すごいね怒りの力ってのは表向きでは許した気になってたけど、まだ根に持ってたようだ、オレ。


「しかし、召喚されてばかりだというのに、なんか……和人君は堂々としているな」


 涼音は苦笑いを浮かべ、オレを見る。さしずめ図々しい奴だなと思ってるんだろう。まぁ、あまり否定しない。


「まぁ、この人たちには散々追い掛け回されたからな。敬意もそりゃ失せるさ」


「追い掛け回された?」


 今度は壮介が疑問の声を上げる。


「えっとぉ和人様を召喚する際に~和人様が異変を察知して魔法陣から逃亡したんですよぉ。いやぁ~捕まえるのに手こずりましたぁ。それにしてもすごい危機察知能力ですぅ」


「おい、捕まえるとか言わなかったか?」


 オレの指摘にエミリアはぷいっと顔をそらす。じ~っと見つめていても顔を逸らしたままだ。


 涼音達は少し顔を引きつらせ、驚いたようだった。


「とにかくぅ、城内をご案内いたしますねぇ」


 エミリアは強引に話を戻し、オレ達を引きつれ、城内を案内し始める。


「ここは会合する部屋で主に国の運営に関する会議をここで執り行いますぅ。魔族との戦争時の作戦会議などは別の場所で行いますぅ。そしてここは騎士や場内で働く者たちが食事をする食堂。勇者様方は客人扱いなので王の一室にて共におもてなしさせていただきますぅ」


 エミリアはまるでここが自分の庭かのように城内を紹介していく。


 城の中は想像した通り、とてつもなく広く、一部屋一部屋が無駄に大きい。しかも客人などを止めるために部屋数も多いと来た。こんなことに金使うんだったら軍事費に回せよと思わなかったわけではない。要は、オレはあまりの広さに馬鹿みたいに口を大きく開けぽかんとしていた。


「ふふふ、呆気を取られているようだな和人君。まぁ無理もない。私たちも初めはそうだったからな」


 涼音につられ、ほかの三人も笑った。


 案内されながら、涼音達ともいろいろな話ができた。彼女らは同じ高校の二年生でクラスメイトらしい。オレの予想通り同い年だった。彼女らも一か月前にみんなで家に帰る途中に魔法陣の召喚に遭い、ここに飛ばされたという。なんで、一か月の間を空けてオレが召喚されたのかエミリアに聞いてみると、五人目の勇者に関する文献がなかなか見つからず、今日になってようやく見つけたため、急いで召喚を執り行ったそうだ。……なんか釈然としない理由だな。


そんな俺より早く召喚された涼音たちは王国の現状を見て、協力することを了承し、すでに実践経験があるようだった。


 そうこう話しているうちにエミリアがオレの興味を駆り立てる場所へと案内してくれた。


「そして、ここが騎士たちの訓練場ですぅ」


 そこでは多くの騎士たちが剣の訓練や走り込みなどをしていた。


 オレは興味深げに観察する。しばらく観察するといろいろなことに気付いた。


「兵士……いや、騎士は一般人……じゃないな、あ~平民? からも募集してたりするのか?」


「あ、はいぃ。通常は十八歳以上の男性国民に徴兵をかけていますぅ」


 エミリアが答える。ふむ……更にオレは質問する。


「んじゃあ訓練の初めとかに個人個人の運動能力とかを見たりするのか?」


「? いえ、徴兵をかけた翌日から正規の王国騎士と同じ訓練内容をこなしてもらいます」


 なるほど……やっぱりそうか。


 見たところ訓練についていけている者やついていけてない者がちらほらいる様だ。体格も目に見えるほど疎らで、訓練の意味がなされていないように見える。


 オレの軍師、指揮官としての才能なのか、この現状に対し厳しい表情を見せてしまうことになった。わざとじゃないがうっかり声に出てしまったのだ。


「負けが込むのも当然だな」


「え?」


 エミリアだけでなく涼音たちも驚いたような声を上げる。


「あ、いや、なんでもない」


 オレは慌ててしらを切る。


 五人の怪しむような眼は消えなかったが、今日はあと数か所回ったところでオレが寝泊まりをする部屋へと案内された。どうやら切り抜けることができたようだ。


 オレは涼音たちと別れ、小綺麗すぎる部屋のふかふかのベッドへと倒れこんだ。オレは暫くうつ伏せのまま目をつむり、やがて仰向けになり天井を見つめた。


 薄れゆく意識の中で、別れ際に言ったエミリアの言葉を思い出していた。


――和人様には明日から訓練には参加してもらいますぅ。私たちに協力するしないは自由としても、ご自身の命はご自身で守ってもらわないとぉいけないのでぇ、頑張ってくださいねぇ。


 まぁ、そうだよなぁ。協力は保留と言っても今この世界は戦争状態だ。誰かの命まで代わりに守るなんてことは出来ないだろう。しかし憂鬱だなぁ。でもまぁやるだけやってみるしかないか。意外とオレに順応性が備わっていたことが驚きだ。今日は驚くばかりだな。


 オレはいつの間にか深い眠りについていた。


最後まで読んでいただきありがとうございます!

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