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夢想の瑞希  作者: 木崎 しの
瑞希編
11/66

寮

108を連れて帰ってきたらもう日も完全に沈んでいた


「なるほど」


所長に今日あったことを報告する


「汚染度も少しマシにはなったと思われますが、本当に微々たるものですね。一般の方や下位のブレイカーでは入ると体調不良を起こすかと思われます」


報告しているのだが、やはり緊張するな。


「一ついいか」


「はい。何でしょう?」


「通信が切れた原因に心当たりはあるか?」


「やはり汚染度が原因ではないかと個人的には考えております」


「本当にそれだけか?今までもあそこで使用してきたが、完全に聞こえなくなるなんてことはなかった。知っていることは話した方がいい?」


諭され少し迷う。あの男の存在を話した方が良いのかどうか。だが話さなければ今回は切り抜けられても疑惑の尾は切れぬか。


「神の使いと自称する男がいました。そちらにも原因がある可能性も否定できません」


「あの男か。」


目の前の所長は意味ありげに呟く。


「何かご存知なのですか?」


「いや。知っているという程でもないが心当たりはある程度だ。あの男がかんでいるのだとすれば今回の結果や過程も仕方がない、か」


「その件は大変申し訳なく思っております」


「別に責めている訳ではない。むしろ順当な結果だ 。もうそれ以上の報告は結構だ。」


報告をしなくていいとは?


「だいたい分かるから。失せろ」


「…」


「失せろと言った。聞こえなかったか」


「あの、所長。108の罰ですが、軽くしてもらえませんか?」


「急にどうした?情でも移ったか?」


「いえ、そういう訳でもないんですが」


「では、代わりにお前に灸を据えてやる。誰かを庇ったこと後悔するんだな。108は勝手に肩代わりしてくれたそう思う程度だ。分からんやつだなお前も」


確かにそうだ。身代わってもなんの意味もない。だけれど


「あまりにも可愛そうではないですか?」


「偽善だ。情は捨てた方がいいぞ」


確かに偽善なのかもしれない。だがそれでも、


「…えぇ、だとしても。作られた人間の寿命は長くない。直ぐに死にゆく彼女達には、できるだけ余り苦痛を覚えて欲しくない。

でもそう思う1方、その事実を伝えていない、もう寿命は数年しかない、そう言った方が今を楽しんでくれそうなものなのに。」


「そもそもの話お前にあの話をあいつらにされても困るがな。それにお前が余命を教えたとこで現実は変わらん。先にあるのは虚空のみ。その現実を知って絶望し死なれても困る。お前にあいつらの真実を教えたのはお前への信用からだ。まぁいい、先に用事を済ませる」






「つまんないね。瑞希。ところでそれ痛くないの?」


所長と入れ替わるように入ってきた瑠璃が俺の左半身を主に指さしながらそんな質問をする


「痛いに決まってるだろ」


「上で見てたんだけどその割には暴れたりしなかったよね」


「痛みに関しては慣れはしないが我慢できるようにはなかっただけだな。それに悪趣味な女だなお前も」


「趣味なわけないでしょ。立場上こういうのは見ておかないとダメなのよね。付いてきて」


「あぁ。」


歩き始めた瑠璃の後を付いていく



「何度見てもすごいな」


「当然でしょう。誰がやったと思ってるのよ」


痛めつけられた俺の体はすっかり元通りになっていた。

目の前の瑠璃が治療してくれたのだ。


「一応確認のために手を開いたり閉じたりして。それから何か異常があれば教えて」


言われた通りにしているが違和感もないし、他人が見れば、先程まで傷だらけだったなどと言っても信じないだろう。まぁやはり満身創痍だったのは事実なのだが


「これに懲りたらあんたも変な正義感は捨てることね」


「知っていたのか」


「知っているわよ。流石に資料には目を通してるよ。別にタイプって訳でもないでしょうに何でまた」


「…まぁ、正義感というのが一番近いんじゃないか。目の前の人間くらい救いたい。それだけだな。まぁそれもまたかなり気まぐれなんだがな」


肩を回しながら答える。ちゃんと動いている。


「なるほどねぇ。何でもいいけど程々にしておかないとその内死ぬよあんた。流石に私達も死体からは何ともできないよ」


「忠告痛み入るね」


「そういえば、これ所長からの預かり物。気があるなら外にある寮で暮らせってさ。勿論週末はここに帰ってくること。帰ってこないと面倒なことになるからね」


「…何で寮なんてあんだろうな。」


「一応友達を呼べるようにみたいな感じじゃない?あんた友達できそうなタイプじゃないけどね。ここの巣穴でも仲良くしてるの両手の指で足りるっしょ?」


「そんだけいれば十分じゃないか?数より質だよ」


「言い分が分からないでもないけどいざという時困ると思うよそんなんじゃ。そういえば何で学校行こうと思ったの?向かなさすぎだと思うんだけど」


今更な気がする質問だな。


「何でって言われてもねぇ。一般人の生活を少し触れてみたかった。それが一番近いかな。こんな異常で辛気臭い場所で年がら年中過ごせば頭もおかしくなっちゃう。かび臭いし」


「なるほどね。あんた既に頭おかしいと思うけどそう言うのは野暮ってもんだね。じゃあ行っていいよ。」


そう言うともう用はないと言わんばかりに瑠璃は情報端末を叩き始めた。

じゃあ俺も行くか。


そういえば寮ってどこの寮か聞くのを忘れたという事に治療室から出た後に気付いた。

だが出るとそこには見知った顔が


「お疲れ様です瑞希様」


「陽菜か、どうした。こんなところで」


おおかたここに入るのを見られていたというところか。


「良ければ新しい部屋までご一緒したかったものですから」


「あーその事なんだがな。俺は場所を知らん」


「ここですよ」


陽菜が何やら端末を見せてくる。そこには地図が表示されていて何やらマークが書いてあった。恐らくここなのだろうな


「じゃあ案内は任せるから行こうか」


「はい。ではこちらへ」


歩き出した陽菜の後を俺も追う。今日は女のケツを追ってばかりだな。



「…狭いな」


「そうですね」


案内された部屋は本当に狭かった。巣穴の部屋と同じくらいだ。友達を呼べるようにと言ったってこれじゃ無理だろう。俺達2人が寝ればそれでいっぱいいっぱいになりそうなくらい狭い。しかも立て付けが悪いのかドアの締りが悪い。


「風呂はどうするんだこれ」


便所や台所、シャワーは付いているらしい。というより付いてなければ困るな。だが風呂がない


「下に共同浴場があるそうですよ」


「うへぇ…」


「見に行きますか?」


「そうだな。場所も確認したい」


部屋を出て階段を降りる。これも古いのか何なのか抜けそうで少し怖いな。

階段を降りて奥の突き当たりそこに風呂はあった。のだが


「意外と綺麗だな」


「私たちの行動は基本監視されていて何かやれば直ぐに特定され処罰される。だからみんな綺麗に使用しているのでは?」


「じゃあ、何で上の扉はあんなに立て付け悪いんだ?」


「さぁ、分かりませんけど」


「お、お前らも来たのかい。とは言ってもようやくって感じだわな」


後ろから声がかけられる。振り向くと恋夜だった。


「あぁ。上から言われてな」


「あらら、外れ引かされたなぁお前も」


「どういうことだ?」


恋夜は両肩をあげる。


「まんまの意味だよ。ここは外れ。作ったやつが手抜いたのかあちこちボロがきてっしよ。浴場だけは、ついこの間改修工事されたんだがそれだけだ。あとはボロボロよ。まだ他のとこのが綺麗だぜ?」


浴場だけでなくついでに部屋の方も何やら手を入れてほしかったな。


「まぁ、寝られて食べられれば俺としちゃ何処でもいいんだがな。それ以外に居ることも少ないだろうし」


「とは言ってもそれだけじゃねぇんだよなぁこれが。さっさと出た方がいいぞこんなボロ屋」


「何で?」


俺の疑問に連夜は真剣な顔をして声のボリュームを落としてこう言った


「出るんだよ。これが」


おまけに両手を胸の前まで上げて所謂幽霊の真似をしたがすぐに辞める。


「で、だな。夜な夜な徘徊してるわけよその根暗幽霊の野郎は」


「野郎って男の霊なのか?」


「まぁ男じゃねぇかな。お前が知ってっか知らないけどあの、女だと分かると犬相手にも飛びつくような馬鹿がブルって飛びつかなかったくらいだ。男の霊なんだろ」


その知り合いについては俺は知らないな


「噂だろ?」


「残念ながらガチだ。実害はないが毎日ドアノブガチャガチャされるんだよ。寝れやしねぇ。ぶっ殺してやろうと思って扉開けても誰もいねぇしお手上げだ。何がしたいんだかねぇ。部屋出るならさっさと出て場所変えた方がいいぞ。無駄に部屋を変え辛くなるだけだ」


「で、お前はどうするわけ?」


「俺は部屋を1階にしてもらうんだよ。何故か一階はそういった事ないらしいし?なんでも2階から上しかそんなへんてこ現象は起きないらしいしな。お前の部屋は何処だ?」


「201だな。」


答えた瞬間恋夜が口元を歪めた。


「へぇ。ピンポイントじゃん。そこ人が死んでるぞ」


「いや、つまらない冗談は辞めろよ」


「大まじよ。人とは言っても、あもいも言えないガキだけどな。生後から死ぬまでずっと押し入れん中に閉じ込められてたんだと、夜になると押し入れの中から鳴き声だ。前の住人は中からも外からもガタガタされるんで精神的に参って出てったんだよなぁこれが。

まぁ?その分、不人気なせいもあって家賃はくそ安いはずだがな。結果的に頭おかしくなって治療費が高くなりゃ笑い話にもならんが」


面白そうに話す恋夜だが、こちらはつまらない。


「もうそんな話辞めろよ。陽菜が怖がってるだろ」


「陽菜ちゃんじゃないだろ、お前だろ怖がってるのは。自分の足見ろよ、ガックガクしてんぞ瑞希ちゃん?」


「うっ…」


言葉に詰まってしまう。


「悪いことは言わんここは辞めとけ。それか部屋を変えてもらえ」


恋夜はもう言うことは尽きたと言わんばかりに何処かへ向かった。恐らく部屋を変えてもらいに行ったのだろうが


「あんなこと聞いたあとにここで寝る気も起きないなぁ。俺達も変えてもらうか?」


「そうですね。私も正体不明の何かは嫌ですし」


そうだよその反応でいいんだよ。もっと怖がれよ俺だけビビってかっこ悪いじゃないか


「おし、じゃあ陽菜が怖がるし、他の部屋ないか聞きに行くか!」




「空き部屋がもうないですって?!」


思わず大声で叫んでしまった


「あー、悪いな。もう埋まってるな」


煙草を燻らせながらリーダーが呟く。


「そこを何とかして下さいよ。あの部屋じゃ陽菜が怖がってしまうんです」


いえ、わたしはとか聞こえた気がするが無視だ無視


「そこを何とかって言われてもねぇ。ないもんなんて作れないんだよこっちも。お前は何も無いところから数秒で部屋を作れるか?」


「無理です」


何を言い出すんだ無理に決まってるだろ。


「だろ?つまりそういうこった」


「でもこの場合状況が違いますよ。もしかしてあるかもしれない。とんでもないボロ屋で部屋としてカウントしていない。そんな部屋でもいいんですよ。ないですか?」


「…ちょっと待ってろ」



チームリーダーはパラパラと辞書みたいな本を捲りだした


「あるにはあったな」


「どんな部屋ですか」


「ほら、ボロボロで部屋としては機能しないと思うぞこれ」


見せられたのは今にも老朽化で倒壊しそうな部屋だった


「あとはこういう部屋しかないぞ。その他はもうない。あればさっさと紹介してるしな」


「…困りましたね」


「力になれなくて悪かったな」


「いえ、わがまま聞いて頂けただけでも有難いですよ…」




「…」


「あの、入りませんか?」


「なぁ、陽菜さん」


「何ですか?」


「俺、霊感あるのかも。この部屋すげぇ邪気だぜ…こんな部屋で寝たら首と体が1日でバイバイしちまうよ…」


背後の夕焼けに染まる空でカラスがガーガー鳴いている。


「何言ってるんですか。昼間はズカズカ入って色々確認してましたよね。」


「あの時は俺のレーダーも萎えてたんだよ多分」


「そのレーダーは何処にあるんですか?」


「…俺の心の中だよ」


「いいから、入ってくださいよ。廊下にいてもなにも出来ません」


「いやぁぁぁぁぁ」


手を引かれ玄関で突っ立っていた俺は中に連れていかれる


「ほら、何も無いですよ」


「ほんとに?」


「ほんとですよ」


「あの押し入れとかも大丈夫かな?」


「大丈夫に決まってますよ。ほら」


わざわざ陽菜がこちらを向きながら開けてくれる


「ほら、何も無いでしょ?」


おい、あれ見間違えじゃないよな?何が何も無いだよ


「お前その中に何か入れたか?」


「入れてませんよ?」


「見てみろよそれ」


陽菜が首を傾げながらそれを見た。瞬間こっちまで戻ってきた


「悪戯も程々にして下さいね?」


珍しく動転している陽菜。


「いや、俺じゃないって」


「じゃあ他に誰があんなものあそこに置くんですか?」


「幽霊だよ幽霊!ほらやっぱりダメじゃんこの部屋!神よ、助けて!」


やはりこの部屋は呪われているみたいだ。


「神頼みしてる暇あるならあれ処分してくださいね?」


その時ゴトッと音を鳴らしてそれ、札が沢山貼られた黒い袋のような物が動いた


「もう辞めましょうよ?私の負けですからあれ動かすのやめて下さいよ」


流石に焦ってきたのか陽菜がそんな事を言う。


「だから俺じゃないって!」


「じゃあ他に誰があんなもの置くんですか!」


ループしてるな


「兎に角逃げるぞ!」


俺は陽菜の手を掴み扉まで走る

その間も後ろからはゴトゴトと聞こえる

ドアノブを回し扉を開けようとする。


「何で開かないんだよ!」


「ちょっと貸してください」


陽菜が俺を退け代わりにドアノブをガチャガチャ回すもやはり開かない

後ろを振り向くとスグそこまでそれは迫っていた

扉は開かない。覚悟を決めるしかないな。


「蹴るか」


俺はそれを右足で蹴る。捉えた。ぶにょっとした感覚。手応えありだな


「痛い!」


「は?」


それが突然声を上げ出した。痛い?


「俺だよ俺」


袋がモゾモゾ動いたと思ったら頬を抑えた竜馬が出てきた


「ってぇな、いきなり蹴るやつがいるかよ」


少し怒っているようだ。


「ごめん」


そして何故俺は謝っているのだ。


「ったく歯折れるかと思ったわ。少し驚かしてやろうと思ったら予想以上にビビるしなぁ面白かったけど痛いな」


笑っているのがむかつく。もう一度蹴ってやろうか。


「ところで、竜馬は何でここにいるんだ」


「いちゃ悪いのかよ」


「悪いだろ。俺の部屋だぞここ。それよりどうやってここ入ったんだよ一応鍵はしたはずだが」


「俺の部屋隣なんだよ」


「ベランダからきたとか?」


「いや、違う」


「じゃあどうやったんだ?」


「壁を打ち抜いた」


「嘘だろ?」


「冗談だ。針金で鍵開けて邪魔してたよ。本当は寝たら出ていって驚かそうと思ってたんだが、いきなり開けられたから困った」


流石に冗談で安心した。


「もしかしてここの寮のドアバンバンしてたのもお前か?」


「?知らんぞ。他の奴らは問答無用で開幕蹴ってきそうだしそんなことやらねぇよ。いやぁその点瑞希はほんといい反応してくれた」


と笑いながら言う竜馬。笑い事じゃないだろ。背を冷や汗が伝う。いや噂は噂か。さっさと寝るか。

時計を見るともう日付も変わりそうな時間だ。


「とりあえずお前は部屋にもどれ」


「へいへい」


竜馬はドアノブへと手を伸ばす

俺はと言うともう眠い。居間へと移動しようとしたら竜馬が声をかけてきた。


「おい、開かねぇぞ、鍵は外れてるんだが何かコツとかあるのか?」


「あー何か扉重いんだよ。貸してみ」


竜馬と代わる。


「どうよ?」


「…開かないな。昼間も固かったな。調子悪いみたいだ。悪いがベランダから帰ってくれ。無理して壊して賠償とかそれこそ洒落にならんし」


「しゃあねぇな。」


「ほら、あれだ」


居間にあるベランダを指さす。


「サンキュ」


早速ベランダへ向かう竜馬

就寝準備をしようと思い向きを変えた時だったそれに気付いたのは。


「なぁ、竜馬お前押し入れから出てきた時律儀に襖閉めたか?」


「はぁ?閉めてねぇよ。つかこっちも開かねぇぞ。ボロ屋壊れてるんじゃねぇのか」


だよな。何故か襖が閉まっているのだ。


「瑞希様」


「お前も聞こえたか?」


そしてその中から聞こえる声


「何がだよ」


竜馬も近付いてくる。


「聞こえないか?母親を呼ぶ声」


「あぁ…少しな。たしかに聞こえるわ。でそれがどうしたんだ?隣の隣だろ。」


「まさか、ここの噂知らないのか?」


「何それ」


「押し入れに放置されて死んだ子供が化けて出るという話」


「デマだろ」


竜馬は鼻で笑った

押し入れの方を見ていると今度はドンドン叩くような音も混じってきた。


「…マ、マ…、ママ」


今度ははっきりと聞こえた


「おい、瑞希?手の込んだビックリは辞めろよな?それに俺それと押し入れの中で2人っきりだったとか笑い話になんねぇしな?」


「俺じゃない」


「そういえば押し入れ入ってたら盛り塩だの札だの貼られてたのはこれのせいか?札の方は何枚か借りたが」


恐ろしいことをしてくれたなこいつは


「は?そんなもんあったのかよ。先に言えよ!」


思わず声に出してしまう

本物の物件じゃないかこれは


「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」


泣き声はやがて怨嗟の声へと変化していた。呪い殺さんと言わんばかりだ。


「よし、開けるか。開けてしばいて燃やして殺す。死に損ないには完璧な永遠の唯一の死をくれてやらねばな」


何を思ったか竜馬がそんな事を言った。


「何言ってんだよお前」


「こんな異常現象が起こってるのに正常なままいても仕方ないだろ異常には異常だ。それに死者が生者の足を引っ張るなんて迷惑過ぎんだよ」


ズカズカ歩いて一気に襖を開けた竜馬。

そこには目のない赤子が座っていた


「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」


相変わらず何も変わらない言葉を呟きながらそこに座っていた

竜馬はそいつを掴みあげるとそのまま燃やした。

跡形もなく消えてしまった子供。いつの間にか呪詛の声も消えていた


「じゃあ俺はこのまま帰るぞ」


そう言いクールに玄関へ向かう竜馬。俺はその背中をカッコイイと思ってしまった。それにあれだけ堅く重かった扉が嘘のように簡単に開いた。


「邪魔したな」


そう言うと今度こそ姿を消した。

俺はと言うととりあえずあの気味の悪い襖を閉めることにした


「…押し入れはもう余り使わないようにしよう」


「そうですね。それにしても霊体って触れるんですね初めて知りました」


「俺もだよ。燃やせるのも初めて知ったよ」


そして今外でまた爆発音が聞こえた。


「じゃあそろそろ寝るぞ」


「そういえばドアノブガチャガチャの方はないんですかね?」


「さっきの音。竜馬が燃やしたんだろ。寝るぞ」


眠い。俺達は布団を敷き横になった。

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