7話 ロス軍を根絶やしにしろ!!
7話 ロス軍を根絶やしにしろ!!
ゼロ戦が、轟音を残して空の彼方へと飛び去っていく。
土煙が晴れていく街道の両脇。
その草むらが、水たまりが、岩陰が、地面そのものが、
……ぐにゃりと歪んだ。
遁術を解き、姿を現したのは、セファイラの兵たちだった。
「やったぁ! また、あの鉄龍が暴れてくれたぞ!」
「まさか、あの鉄龍は、セファイラの守護神か何かか?!」
歓声をあげる若い兵に、隣の老兵が怒鳴りつける。
「喜んでいる場合ではない! まだ、多くが生き残っておるぞ!」
その言葉どおり、街道の先には、混乱しながらも剣を抜き始めるデカール兵の姿が、見渡す限り続いていた。
鉄龍が薙ぎ払ったのは、行軍の列のごく一部。
大半は、まだ健在。
ただ……
「見ろ! 黒ローブの死体だらけだ! 魔導兵団の大半が死んでいる!」
「あの鉄龍、完全に味方だろ! こっちにとって都合がよすぎる!」
攻撃前、魔導兵団は、ロスの馬車を守るように、その周囲を固めて行軍していた。
鉄龍の掃射は、その列を、まっすぐに貫いていたのだ。
今なら、敵は浮き足立っている。
指示を叫ぶ声はバラバラで、主を失った馬が、隊列の中を暴れ回っている。
そこで、センが、
「イケる、イケる! これ、皆殺しにできるわ! マジで勝てるぞぉおお!」
興奮気味に叫ぶと、ミシャが、
「落ち着きなさい、セン! 作戦通りに!! 総員、構え!!」
その号令を合図に、セファイラの忍者兵たちは、それぞれの手に、属性のクナイを召喚した。
炎が、風が、氷が、クナイの形をとって、兵士たちの手の中で脈打つ。
さらに、全員で影分身。
実際のセファイラ兵の人数は3000だが、分身もいれれば戦力数は『1万』以上。
「かかれぇえ!! ロス軍を根絶やしにしなさい! まずは魔導兵団の生き残りから!!」
ミシャの雄叫びと共に、セファイラの忍者兵たちは、街道へとなだれ込んだ。
生き残ったデカールの魔法使いたちは、
「ひ、ひぃ! 爆炎弾ランク3!」
「魔弾ランク3!!」
「龍矢ランク7!」
パニックになりながら、上官の命令を待たず、魔法を連射する。
炎が弾け、光の矢が走り、セファイラ兵が何人も吹き飛ばされる。
さすが、デカールの魔導兵団。
全員エリート。
素晴らしい魔法力。
しかし、吹き飛ばされた忍者兵の大半は、ボンッと煙になって消えた。
「なっ……まさか、分身魔法?!」
「そんな! 分身など私でも使えないのに!」
「あれほど高度な魔法を……なぜ、こんなゴミみたいな連中が!」
忍者兵たちは一切手を休めず、
「死ね、死ね、死ねぇ!!」
「豪氷手裏剣ランク5!!」
「爆裂クナイランク3!!」
生き残った魔法使いたちは、
四方八方から飛んでくる手裏剣やクナイの嵐に耐えきれず、
ほんの数秒で全滅した。
デカールの一般兵たちは、セファイラ忍者兵の異常な強さと殺気に震えている。
「よし! あとはロスさえ殺せば、残りは雑草を刈るようなもの!」
「敵将のロスはどこだぁあ!」
「いたぞぉ! 腕をなくしている!」
「やったぜぇえええ!!」
砕けた馬車の残骸のそば。
右腕の肘から先を失ったロスが、血の気の失せた顔で立ち上がろうとしていた。
その周りに、生き残った近衛の騎士たちが、慌てて盾を構えて集まっていく。
「あれなら、殺せるだろぉおお!」
「できれば、もう一回、鉄龍がきてくれねぇかなぁ!」
「焦るな! 相手はレベル150を超えている!」
「姫様を守る形で陣形を組め!!」
その声を無視するように、忍者兵たちの間から、ミシャが飛び出した。
相変わらず、孤高の最前線がお好きなお姫様。
「ちょっと姫様!」
「まったく、もう!」
老兵たちの文句をガン無視して、ミシャは、
「敵将を確実に仕留める! 続けぇえええ!」
「みな、急げ! 姫様を守れ!」
「一人で突撃するのだけはやめてくだされと、何度も言ったのに……」
文句を言いつつ、ミシャの背中を追って、セファイラの忍者兵たちが、ロスのもとへと一斉に駆け出す。




