2話 殲滅。
2話 殲滅。
轟音が空を裂いた。
村の上空に、どこからともなく、一機の異形の機体が姿を現す。
翼に描かれた赤い丸。
鈍く光る金属の機体。
「な……なんだ、あれは……!?」
ルットの配下たちが、空を見上げて硬直する。
次の瞬間、機首から連続した発射音が響き、無数の火線が地上に降り注いだ。
「ぎゃあああああああ!」
「な、なんだ! なにがぁああ!!」
反射的に遠距離魔法や障壁魔法で対応しようとする者もいた。
だが、障壁は紙のように貫かれ、術者ごと弾け飛ぶ。
毎秒十数発という連射速度は、詠唱の間すら与えなかった。
「ずぁあああ!」
「がぁあああ!」
鎧ごと兵士の体を貫通し、血飛沫が村の広場に舞う。
数百人いたデカールの兵士が、瞬く間に半数以下になっていく。
「あの鉄の龍はなんだぁ!! なぜ我々を――ごぼぁっ」
叫びかけた兵士が、次の瞬間、上半身ごと弾け飛んだ。
ゼロ戦の弾は、正確に敵兵だけを木っ端みじんにしていく。
当然、ルットにも銃弾が浴びせられた。
「がぁああああああっ!!」
何十発もの弾丸がめり込む。
小口径弾が肉を穿ち、鎧の隙間から血が噴き出す。
レベル110のルットが、膝から崩れ落ち、
「……が……あ……」
――死を前に、ルットの脳裏で、走馬灯が駆け抜けていく。
魔法学校では、次期宮廷魔導士候補と首席を争った。
卒業と同時に、王家の紋章入りの杖を賜り、周囲から一目置かれた。
士官学校でも、実技・座学ともにずっと上位。
上位卒業者にのみ許される『戴剣の儀』で、王の御前にて跪き、剣を授けられた記憶は今も鮮明。
その功により、平民の生まれでありながら、若くして准男爵の位を賜った。
「ぁ……あ……死ぬ……まさか……こんな……ところで……」
嫁は8人。
全て、征服した都市の戦利品。
息子は10人。
血を継いだ子供たちは、幼くして皆、高レベルの才を持って生まれた。
(もし……ミシャ王女と、私の間に子ができていれば……)
『乱世を終わらせるほどの英雄』が生まれていたかもしれない。
意識が完全に途切れかけたその瞬間、
ルットは、なけなしの気力で目を見開いた。
「ぬぉおおお! 死なん! 死なんぞぉ! 私には使命があるのだ! この乱世を終わらせるという使命がぁああ!」
執念で、意識を繋ぎとめる。
ルットはただの雑魚じゃない。
間違いなくこの世界の上澄み。
だが、そこに歩み寄る影があった。
センは、無言のまま、ルットの眼球に、迷いなくナイフを突き立てた。
「ぎ、ぎゃあああああ!!」
「それだけ弾丸をくらって生きているとは……やっぱ、高レベルは違うな……けど、今のお前なら、失血死させられると見た」
センは、悶絶するルットの心臓にナイフをぶちこむ。
続けて、鼻、局部、腹部。
急所だけを的確に狙い、ナイフを突き立て続ける。
何度も、何度も。
「死ね……死ね……なかなか死なねぇな……くそが」
言いながら、センは、心の中で、
(戦闘機はすでに消えた……おそらく、あれは、30秒ぐらいしか使えねぇ。……どうやら俺のスキルは、思ったより強いらしいが……決して無敵の力じゃねぇ……)




