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King Colours  作者: TEAM,IDR
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第四十九話「黄慈が見る世界」

第四十九話 「黄慈が見る世界」

(主人公 ホワイト最終話)


クリスマスイブに行ったパーティーを最後にバラレンジャーとしての活動は終わりました。あれから数週間が経った今、ぼくは真奈の墓参りに来ている。

 いつものように…薔薇の花束を持って…。


黄慈「真奈。今日は言いたいことがあって来たんだ。ぼくは…また、教師として生きていくよ。君が叶えようとした「子どもたちの成長に寄り添いたい」という夢…ぼくが改めて引き継ぐよ…。やりたいことが他に見つからないとか、君の代わりになりたいとかそういう理由じゃない。あの時とは違って今は…ぼくがやりたいと思ったからやるんだ。だから…安心してほしい。ぼくはもう…自分だけが見える世界を見た…。その上で教師の道を選んだんだ…。」



ぼくにとって真奈は全てだった。真奈の世界こそがぼくの世界だった。彼女が肯定するものは肯定し、彼女の見る世界がぼくの世界だった。彼女の幸せがぼくにとっての幸せだった。でもあの時…そんなぼくに彼女は言った


真奈「あなたが見ている世界と、あたしが見ている世界は違う。他の人もそう。同じものを見ていても、世界はそれぞれ違う。あなただけの世界を見て!あたしと同じ世界を見ようとしないで。」




 今になってようやく、あの時の言葉の意味が理解できるようになったと思う。ぼくが見ようとしていたのは真奈が見ている世界と真奈だけの世界だった。

 どれだけ愛していても、彼女の世界とぼくの世界は違う。自分だけの世界を見ることができなければ『本当に正しい道』を選ぶことはできない。多くの人達を救うのか、未来の可能性に懸けるのかを選ぼうとしていたあの時、本当にそのことを痛感した。



黄慈「……少し…時間がほしい。ちょっと一人になってきてもいいかな?」


 あの時、ぼくは考えてしまった。「もし、真奈が生きていたのなら『未来』のためでも『可能性』のためでもどちらでもいい」と…。彼女を救うためならなんだってやる。それは当然だった。最愛の彼女を救うのに理由なんていらない。やる以外の選択肢はない。

 だけど、彼女がいないのなら…あるのかすら分からない可能性なんかにかける理由なんて、何一つ思い浮かばなかった。ぼくにとって世界の全ては真奈だった。何かをする理由は真奈にしかなかった。生きている理由や、何かをする理由は全て過去にしかなかった。

 それが……駄目だと思った。銀河君に聞かれたあの時…流れに身を任せて協力すると答えることは簡単だった。でも、だからこそ思いとどまった。過去にばかりとらわれていては『世界』は見えない。真奈の瞳をいくら覗き込んでも『世界』は見えない。『ぼくだけの世界』は見えない。「このままでは…いつまで経っても前に進めない…」そう思った。



 ぼくはあの時、必死に考えて決断をした。ぼくだけの考えで答えを出した。彼女の言う『ぼくだけの世界』を見るために、ぼくはもう真奈に答えを訊ねることはやめた。どうすればいいのか、最初は困惑したが、前だけを見て進み続けた。過去ではなく、『未来』に何かがあると仲間が教えてくれたから…。



黄慈「真奈……もし君が生きていたら…ぼくはいつまでたっても君に甘えていただろうね。神はそんなぼくに罰を与えたのかもしれない。酷いのはぼくの方だったよ。もっとイイ男だったら、こうはならなかったのかもね。なんて…」


ヒュォォオオ…!!と、風に背中を押された。


黄慈「うおっと……。…!…雪……?」


 真っ白な雪が降り始めた。さっきの風はぼくのもとへ一番の雪を運んでくれたのかもしれない。そして、真奈からのメッセージだったのかもしれない。


黄慈「…雪だね……そういえば去年のクリスマスはホワイトクリスマスだったよ。それで、クリスマスイブにはバラレンジャーの皆でパーティーをしたんだ。とっても楽しかったよ。」


 クリスマスはぼくと真奈の大切な結婚記念日でもある。


真奈「あなたのクリスマスが、毎年特別なものになるでしょ?あたしがいなくても幸せな日になるように!」


 あの時の言葉をふと思い出す。

黄慈「君がいなくても、ぼくはもう幸せだ…。それに、君との思い出があるから毎年幸せな気分を思い出せるよ。…………真奈……ぼくは……ぼくの考えで生きるようになった。ぼくの価値観を尊重するようになった。信頼できる仲間ができた。そして、君との思い出も、思い出として大切にできるようになった。これが…君の言っていた自分の世界を見る…ということだよね?」


 当然お墓に聞いても何も返ってこない。でもぼくは静かな白い世界の中でしばらく沈黙した。


黄慈「……おっとそうだ、これについても話さないとね。今日は白い薔薇なんだ。いつも赤い薔薇だったからサプライズ…。あとこれは…ぼくはもう大丈夫っていう証明。」


 お花を添え、手を合わせる。


黄慈「………ありがとう真奈…ぼくは君に何度も救われたよ…。ぼくをヒーローにしてくれたのは君だ…。もうヒーロー活動は終わってしまったけど、これからは子ども達のために立派な教師になるよ。ヒーローと言ったら大げさかもしれないけど…誰かを支え、導く教師の役割は…ぼくにとっての『ヒーロー』だ…。その新たなヒーロー活動のために、君の夢を…君との思い出を…この瞳に宿すよ。…これで、もうもったいないなんて言わせないからね。……じゃあ、また来るよ。」



君がくれたものは今でもこの瞳にある。


あの日、ぼくを救ってくれたヒーロー。

君から貰ったものは、ぼくを通して色んな人のために役立てている。


今度はぼくがヒーローだ。


これからも、ぼくは『世界』を見続ける。大切な人が見つけてくれたこの瞳で…。


ここまで、ぼくの物語に付き合ってくれたあなたへ

「あなたの世界には何が見えますか?その世界にある、好きなお花はなんですか?」


お仕舞い


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