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King Colours  作者: TEAM,IDR
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第九話「藍さん、お願いします!」

第九話 「藍さん、お願いします!」

(主人公 ブラック2)


ある日の日勤中の出来事。特に事件が起こらずに、雪、藍、ことみの三人でゆったりと過ごしていた時…

藍「…あなた綺麗な髪してるわね…」

雪「ふぇっ!?い、いきなりどうしたんですか…?」

藍「あら?前から綺麗だと思っていましたのよ。その金髪は染めたのかしら?」

雪「は、はい。…私の通ってた学校では染めている人が多かったので…私も思い切って染めたんです。」

ことみ「へぇ~そうだったのね。う~ん、言われてみれば染めているのにすごく綺麗ね。根本まで綺麗に染まっているし、傷んでもいないし、サラサラね。」

雪「そ、そんなに綺麗でしょうか…?わたしなんかよりも藍さんの方がずっと綺麗ですよ。」

藍「ま!それはそうでしょうね!わたくしが美しいのは自分が一番よく知っていますわ!」

ことみ「藍さんのその赤髪も染めたの?」

藍「そうですわ。どうせなら、わたくしに似合う派手な色にしようと思ってこの色にしたのよ」

ことみ「藍さんの髪も綺麗だよねぇ~。とっても綺麗に染まってる~!」

藍「当然ですわ。髪は女の命ですから、専属の美容師まで雇って手入れしていますわ。」

ことみ「すっご~い。さすがお嬢様…」

藍「そんなわたくしが褒めているのですから、もっと自信を持ちなさい!」

雪「(ツンとおでこをつつかれる)ひぃん…!」

ことみ「そうだよ!私も雪ちゃんの髪すごく綺麗だと思うし、もっと自信持っていいと思うよ!」

雪「そんな…わたしなんて…」(照れ)

藍「そういえばあなた、いつも地味な服着ているわよね。」

ことみ「確かに、一番若いのに一番地味な感じするわね。なにかこだわりがあるの?」

雪「こだわりなんてありませんよ…!ただ…昔から目立つのが嫌で…目立たないような服を、自然と選んでしまうんです。」

藍「…ふぅ~~ん。雪、ちょっと来なさい。これから服を買いに行くわよ!」

ことみ「ええ!今から!?」

藍「どうせ暇なんだし、いいでしょう?もし、何かあったらわたくしが直接行ってさしあげますから。」

ことみ「う~ん…まぁいっか!せっかくのお誘いなんだし、行ってくれば!」

雪「でも…ほんとうにいいんでしょうか…?」

ことみ「偶にはこういう日があっても、ねっ!」

藍「ほら!ことみさんもこう言っていることですし、さっさと行きますわよ。」

雪「何かあったらすぐに言ってください!すぐに駆け付けますから~!」



 この後、藍さんに半ば強制的にたくさんの服を買ってもらいました。値段は教えて頂けませんでしたけど、とても良いものだったと思います。お店も、わたしが間違っても行かないような高級感漂うお店でした。

 少し強引に服をそろえられましたが、藍さんはわたしの好みを詳しく聞いてくれたり、私に似合いそうな服を真剣に選んで買ってくれました。

 わたしは今まで藍さのことを「強引で怖い人」と思っていましたが、今日のお出かけで「強引だけどとても優しい人」へ変わりましたっ!

 その日は結局何も事件は起こらず、買い物を続けたあとに家の近くまで送ってくださいました。わたしが服を選んでくれたことや、プレゼントしてくれたこと、自信を付けるための方法を話してくれたことなどを感謝すると…、藍さんは当然のことをしたまでですわと、高らかに笑っていました。



 そして数日が経ち、職場でもことみさん、みどりさん、黄慈さん、紫雲さんなど沢山の人から「よく似合っている」「明るくなった」と褒めてもらいました。私もそれをきっかけに周りの人の服装に関心を持つようになりました。

 みなさんの服装を見ていると、それぞれにこだわりがあるのを感じました。藍さんは派手で目立つ服、みどりさんはボディラインが、特に胸が強調されるような服、ことみさんや朱祢さんは仕事の日は決まった服を着ていること、黄慈さんや紫雲さんは大人っぽい落ち着いた服を着ていること、銀河さんや虎羽さんは動きやすそうな服を着ていること、金一さんや桃華さんは実は可愛らしい小物を使用していること、そしてブラウンさんは全く服に関心がなくいつも同じような服を着ていることが分かりました。

 以前、ブラウンさんに家族がいないと聞いていたので、もしかしたら服を選んでくれる人が誰もいなかったのではないかとすごく心配になりました。数日前のお出かけの時、藍さんは私に…

「服が来ている人に与える影響はとても大きいですのよ。服に着られることなく、服を着ることができるようになれば、綺麗な服を着れば綺麗に、自信を持って選んだ服を着れば自信が持てるようになりますわ。」

と言っていました。もしかしたらブラウンさんは(服なんてどうでもいい)(どうせ選んでも無駄だ)なんて考えてはいないだろうか、そのことによって自分の存在を否定してしまっていないかと、とても心配になりました。

 ブラウンさんが、どう考えているのかは分かりませんけど、わたしはあの服をもらってから良い方に変わることができました。もし、ブラウンさんが服のせいで悪い影響を受けてしまっているなら救ってあげたい。服を変えるだけで、こんなにも良いことがあるんだって伝えてあげたい!



藍「ふぅん、それでわたくしに頼ってきたと…」

雪「はいっ…わたしじゃあとてもブラウンさんに似合う服なんて考えられませんし…わたし一人じゃ、ブラウンさんを元気づけることなんて、できそうにありませんっ…!藍さん、お願いします!一緒に、服買うのを手伝っていただけませんか…!!」

藍「わたくしは構いませんけれども…どうしてあの子にそこまでのことをしてあげるのかしら?」

雪「それは………放っておけないと、思うからです。」

藍「放っておけない?」

雪「ブラウンさんに、家族がいないことを…ご存じですか?」

藍「……ええ、ことみから聞きましたわ。」

雪「この世の中で誰よりも理解してくれる親が、家族がいないって、ものすごく辛いことだと思うんです。ブラウンさん…いつ見ても悲しそうですし、辛そうで…見ているだけでも…とても可哀想で…。だから何とかしてあげたいんです!こんな私にもできることがあるなら、何か一つでもできることがあるなら、何かしてあげたいって思うんです!」

藍「………そう。わかったわ。…あの子の都合が良い日を聞いておきなさい。あなたも一緒に、一日中連れまわしてあげるわ。」

雪「(パァア…!)ありがとうございます!」



みどり「藍ちゃんも世話焼きっこだねぇ~」藍「あんな目で頼られて断れるわけないでしょう!?」(テレぷいっ)



こうして後日、三人で買い物に行くことになりました。(藍さんの執事さんが二人いましたが)

藍「あなた、いつも服はどこで買っているの?」

ブラウン「たまに行くスーパーの近くにある店だ。」

雪「どこのお店だろう…」

ブラウン「とても大きくて、いろんな物を売っている。木とか花とか魚とか。」

雪「あっ!ホームセンターで買っているんですね!」

藍「服屋ですらないのね…で、いつも同じような服ばかり着ているけど他に服は持っているの?」

ブラウン「服は4組あれば洗濯ができる。だからあれを4組しか持っていない。」

藍「はぁ!?はぁ~、あなたそうとう酷い人生を送ってきたようね…。まぁいいわ!それも今日でおしまいよ!今日は春夏秋冬全ての服をまとめ買うわよ!コーディネートの仕方もレクチャーしてあげるからしっかりと覚えて帰りなさいね!」

ブラウン「りょ、りょうかいした…」

雪「ありがとうございます!藍さん!」

藍「ふふん!」



 それから何件もお店を回りつつ、コーディネートのしやすさも考えての服選びが始まりました。ブラウンさんは何が何だかわからない様子でしたので、わたしと藍さんがうんうんと唸りながら一通りの物を揃えました。朝から、日が暮れるまで続きましたが一日中楽しく買い物ができました!お昼ご飯も、お夕飯も一緒に食べました。この時は、服の時とは逆に、わたしとブラウンさんがご飯を決めました。藍さんは普段口にしない味に驚くのと同時に「これも悪くはありませんわね」と楽しんでいました。



雪「ふぃ~~やっと終わりましたね~」

藍「ええ、これで服には困らなくなるでしょう。たとえ、これから何度着まわそうが以前のよりは100倍マシよ。」

ブラウン「…お金、あとで払いますから…」

藍「……わたくしを誰だと思っているの?この程度のお金、減ったことにも気づきませんわ。」

雪「ほんとにありがとうございました。もう…なんてお礼を言ったらいいのか…」

ブラウン「…ありがとうございます。」

藍「貴方は、わたくしじゃなくてこの子にお礼を言いなさい。服を買おうと言い出したのはこの子なのよ。」

ブラウン「…ありがとう。」

雪「あ、い、いえっ!こ、こちらこそっ、ありがとうございます…(?)」

藍「ぷっ…もし、わたくしにお礼がしたいのなら、今日みたいに庶民の食べ物を持ってきなさい。その方がお金をもらうより数億倍嬉しいわ。」

雪「わかりました!今度、近くのお店で売っているたい焼き買ってきますね!」

藍「あら、それは楽しみね。あなたも、いつでもわたくしに貢ぎに来てもいいのよ?あ、でもその前に貴方は誰にも心配されないようになりなさい。」

ブラウン「心配??」

藍「雪は貴方のこと、とても心配していたのよ。雪だけじゃなく、ことみもバラレンジャーのみんなも貴方のこと、少しは気にかけているんだから。たとえ家族がいなくても、心配してくれる人がいるんだから、貴方も頑張って生きなさい。」

ブラウン「…!………はい、わかりました」


 藍さんの言葉の中には少し厳しいものもあったが、そこには確かな優しさがありました。普段はトゲトゲというか、ビシッとはっきりとした物言いが多い藍さんでしたが、この時はその中に温かいものを感じました。

 この日以降、ブラウンさんはたまに食べ物を藍さんに買ってくるようになり、だんだんと全員に差し入れをするようになりました。服装もがらりと変わり、差し入れによってコミュニケーションも増えたことで、前よりも明るくなったような気がします。あの日、無理を言ってでも藍さんに頼んでよかったと思いました。


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