↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生黙示録  作者: 水色つばさ
1章  転生と出会い
18/63

16話  形見のペンダント

「へえ、結構色々な物があるんだな」

「そうだね。アクセサリーや食材など売っている所まで色々あるよ」


 色々な物はあるんだが、どれも高級な物ばかりで、値段が一般の物に比べると高い。

 

「うわー、あれ金貨10枚もするのか」

「そうだね」

「俺から見れば殆どの物がどう違うのかわからない」

「そうなんだ」

「……」

「……」


 うーん。何とか頑張って話題を出してはいるが、全然だめだな。

  一体どうしたというのだ? ココナがこんなに元気無いなんて初めてだ。

  心ここに有らず――まさにその言葉通りにココナは全く別の事で頭が一杯の様に思える。

 

「ココナ」

「ん?」

「いったん宿屋に戻ろうか?」

「え? なんで?」

「全然楽しそうじゃない。というより何かに悩んでいる様子だし」

「そ、そんな事ないよ!? た、楽しい!」


 まったくそんなバレバレな嘘が通用すると思っているのか。

  普段なら嘘だとわからないだろうが、今のココナの挙動を見るだけで嘘だとわかる。

 

「そうか――なら、もっと色々と見て回ろうか?」

「う、うん!」


 そして俺はココナの手を引いて歩き出す。

  俺は適当な話題を出しながら、手を引いてココナを連れて歩く。

  そして、とある場所に到着した。

 

「ココナ」

「うん? 何?」

「着いたぞ」

「何処に?」


 ココナが辺りを見渡す。

  すると表情が次第に驚きの色に染まっていった。

 そして、俺の顔を見ると口を動かす。

 

「何でここに!?」


 そう――ここは俺が宿泊している宿屋の前だ。

 

「なんでって、それは少し前に話しただろう?」

「あ……」

「ほら、とりあえず宿に入ろうか?」

「うん」


 俺が言うまで気が付かなかったとはな。

  これはかなり重症かもしれない。

  だとしたら、あのまま歩いていても意味は無かっただろう。

  あの時は歩いていれば気が紛れて、元気を取り戻すと思っていたが、上手くいかない物だな。

  とりあえず、俺は今のココナには考える時間が必要だと判断して、ここに連れてきた。

  本当ならそのまま家に帰した方がいいのだろうが、俺自身ココナが心配なのともう少しだけココナと一緒に居たいという欲も入ってる。

  だから、宿に連れてきたのは別にやましい理由はない。

  ただ――静かな場所で考えるのに一番適しているのは宿屋の部屋だと思ったそれだけだ。

 

「女の子を自分の部屋に連れてくるなんて、いやらしいね」

「そんな事言えるって事は、少しは元気になったのか?」

「はは……どうだろうね」

「まぁ、とりあえず適当に座ったら?」

「うん」


 さて、どうするか。ここで直球に聞いても答えてくれるだろうか?

  答えてはくれないだろうな。

  となると、とりあえずココナが自分から話してくれるのを待つか。

  まぁたとえ話してくれなくても、ココナの中で何かしらの整理が付ければいいし。

 

「ねえカエデ君」

「うん? なんだ?」

「突然なんだけど、このペンダントを見て」


 そう言いながら、首に掛けていたペンダントを外す。

  あのペンダントって確かいつもココナが着けていただな。


「本当に突然だな。しかしそれって確かいつもココナが着けていたやつだよな?」

「そうだよ。これね、死んだお母さんがくれた物なの」

「そうなのか……」


 父親は見たことあったが、母親は見たことが無かった。

  だから、ある程度予想はしていたが、まさか本当に亡くなっていたとは。


「それで? そのペンダントがどうかしたのか?」

「これをくれた時ね、お母さん言っていたんだ。これを持っていればどんなに辛い事があっても最後には良いことが来るって」

「へー。で、どうなの? 効果の方は?」

「うん。最初は私もそのことを信じて着けていたんだけど、辛い事ばっかりで全然良い事なんて起きなかったよ」


 まぁそうだろうな。

  こういうたぐいの物は思い込みによるものが多い。

 まぁこの世界なら、もしかしたら本当にそういう物があるかもしれないけど……残念ながらココナのペンダントは違ったみたいだ。


「あー、やっぱりただのペンダントだったのかなって思ってはいたんだけど、お母さんから貰った物だから、ずっと着けていたんだ」


 本当にいつも着けていたからな。

  それに、いつ貰ったのかはわからないが、全然目立った傷などが無い。つまりそれほど大事にしているということだろう。

 

「でもね、最近良いことが起こったの」

「良かったじゃないか」

「うん。私もこれからは良い事が続くのかなって思っていたんだ。だけど――」

「だけど?」

「そう長くは続かなかった。また辛い事が起こった」

「そうか」


 あえてその辛い事の内容を語ろうとしない。

  という事は、それにこちらから踏み込むのは良くない。

 

 

「だけどね、きっとまた良いことが起きると、私今信じる事にした」

「今なんだ?」

「うん! カエデ君のおかげだよ」

「いや俺何もしてないぞ? ココナを部屋に招いただけだし」

「そうだね!」


 ココナが笑顔を見せてくれる。

  その笑顔は何かが吹っ切れた、とても良い笑顔をしていた。

 

「じゃあ私、今夜決着を付けに行かないといけないから」

「決着?」

「そう、決着。それでね、もし決着着けたらね? 私カエデ君に話したい事があるんだ」


 俺に話したい事?

 

「だから……その時は話を聞いてくれる?」


 上目使いで、そう言ってくるココナの瞳は不安そうなだった。

 

「わかった。その時は話を聞こう」

「本当!?」

「本当だ」

「約束だよ!」

「あぁ約束だ」

「うん! じゃあねカエデ君! 私家に帰るね! 今日は心配かけてごめんね、おかげで元気になった」

「それなら、良かった。じゃあな」

「バイバイ!」


 ココナは走って部屋を出て行った。

 

「なんで元気になったのかわからないが、良かった」


 俺はベッドまで歩いていく、そして倒れるようにベッドに飛び込む。

 

「俺に話したい事って何だろう?」


  ココナを何とか元気にさせてあげたいと頑張っていたため、相当神経を使っていたのだろうか? 急激睡魔が襲って来た。

  俺はその睡魔に逆らうことをせず、そのまま目を閉じる。

  意識が落ちる前に扉が開かれる音が聞こえたような気がした――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。