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転生黙示録  作者: 水色つばさ
1章  転生と出会い
13/63

11話 服を買ってあげるのは男の役目

 五分くらい歩いて到着した。

 

「本当に直ぐだった」

「でしょ?」

「ここってもしかしなくても服屋?」


 赤いレンガで作られた、とてもおしゃれな建物の窓ガラスで見えるのは女性物と思しき(おぼしき)服――

 

「そうだよ~」

「しかも女性物しか無い気がするんだが」

「だって女性の服専門の場所だもん」


 そんな場所に男性を連れてくる人がいますか!? 結構入り辛いんだが。

 

「あのー外で待ってても……」

「あーそういえば最近この近辺で変質者が出たって聞いたなー」

「ご一緒にお買い物いたしましょう!!」


 危ない危ない……。こんなお店の外で男が一人で立ってるなんて、勘違いされてもおかしくない。

 

「それじゃ行こうか?」

「はい」


 俺とココナは服屋に入ろうとする。すると先にドアが開かれる。

  どうやら、中で買い物を済ませた人が出てきた様だ……。出てきたのは、腰まである銀色の髪をしていて、目の色が片方が緑もう片方が青色の女の子が出てきた。

  あれ……?


「あ」

「あ。ごめんさい」

「いえ……こちらこそ、ごめんなさい」


  ココナとその女の子はぶつかりそうになったため、お互いに謝罪の言葉を言う。

  そして、その少女と俺は目が合う。


「あ」


 そして、少女は少し驚いた顔をした

  そして、俺も驚きの顔をする。

  まさかこんな所で会うとはな。

  会う可能性はあるのわかってた。しかし、まだこの町にいるとは思ってなかったのだ。

  あまりに唐突な事に、彼女に挨拶をするのを忘れる。

  そう――リリーに。


「ぁ……」

「どうしたの?」

「いや、あの……」

「初めまして。どうかなさいました? 素敵な殿方様」


 初めまして……? それは本心で言っているのか? それともワザとか?

  俺には全くわからない。

  何故なら今の彼女の笑顔は嘘を含んでいるようには思えなかったからだ。 

 

「……何? カエデ君を口説いているの?」

「いえいえ。そんなつもりはありませんよ?」


 あぁ、この感じまさしくリリーだ。

  人の神経を逆撫でするようなこの挑発的な言動。

  しかし、ならリリーの先程の初めましてという言葉はワザとなのかもしれない。

 

「ここは変質者出るみたいだし。さっさと帰った方がいいと思うよ?」

「ご忠告感謝します。ですが、大丈夫ですよ。私は負けないので」


 リリーはそうはっきりと言い放つ。彼女のこの自信は俺は納得する。リリーと初めて会ったあの日――彼女の常人離れした動きを目の当たりにしているから。

  ココナ銀髪の少女をジッと見つめる。それはまるで獣が威嚇するかのような視線だ。

  すると、リリーの目をみていたココナは、突然驚きと恐怖が混じったような顔になる。

 

「……」

「……」

「あの……二人ともどうかした?」


 急に黙るココナ、そしてリリーもココナの目をじっと見ている。

  本当にどうしたんだ? ココナの奴……それにリリーも。

 

「カエデ君」

「何?」

「買い物すませようか」


 ゆっくりとこちらに顔を向けると、笑顔でそう言うとお店の中に入っていく。


「あ、あぁ。じゃあねな」

「待ってください」


 俺もあとに続こうとドアのノブに手を掛けた時、後ろから声を掛けられる。


「何かな?」

「あなたの力はまだ未熟です。しかし、それでもその力は強大……使い方をしっかり覚えてください」

「え? あ、ありがとう頑張って覚えるよ」


 俺の力はまだ未熟? 俺の力ってもしかして、剣聖の予知の事? それとも――

 

「一つだけアドバイスを」

「え?」

「その力はスイッチみたいなモノです、なのでそのスイッチが何なのか理解することです」


 俺の頭に『?』のマークがたくさん浮かぶ。

  こいつは何が言いたいのだろう? 

  全く理解ができない。

 

 

「ありがとう……しかし、何故君はそんなことを俺に教えてくれる?」

「それはですね……今は秘密ということで」


 そう言い不敵に笑う。

  ゾクリっと背筋が凍る。

  この笑顔――間違いなく何か企んでいる。

  一体リリーは何を考えているんだ。彼女の考えを読もうと思えば思うほど、どんどんわからなくなる。

  そして、俺がそんな事を考えていると、静かにリリーは喉を鳴らした。

 

「素敵な殿方。貴方の目に私はどう映りますか?」

「意味が……わからない。それにさっきからなんだその素敵な殿方って」

「貴方の目です」

「俺の目?」

「はい。貴方の目はとても素敵です。私と同じものを持っている筈なのにとても澄んでいて綺麗。そんな目を見せられたら思わず、目を奪われてしまいそうになります」

「それは一目惚れしそうになるって事か?」

「はい。そうとも言います。まぁ彼女はその目に魅入られてしまったみたいですが……」


 彼女? 彼女とは誰の事なのだろうか?

 

「長話が過ぎましたね。では、また会いましょう」


 再び不敵な笑みを浮かべてゆっくりと歩いて行った。

 

「と。やばいココナが先にお店に入ってるんだった」


 俺は急いでお見せの中に入った。すると、すぐにココナの姿を見つけて、そばに行く。

 

「入って来るの遅かったね?」

「まぁね。ちょっと呼び止められてお話してた」

「ふーん。口説いていたんだ」

「いや! だから違うって」

「まぁそれは良いとして、あまり関わらない方が良いと思うよー」

「なんで?」

「あの子の目……すごく冷たい目をしていた。あの目は人を殺す事を躊躇いのない目だったよ」


 ココナにはそう見えていたのか。

  だが、俺はそう見えなかった。彼女の目は確かに怖い。怖いのだが……その目は何かを求めている気がした。

 

「そんな目をしていたか?」

「あーたぶんカエデ君はわからないと思うよ」

「そうなのか?」

「うん。ああいうのは経験を積んでないとわからないよ」


 なるほどな……。ココナがそれがわかるって事は経験を積んでるって事なんだろうな。


「そうなのか……ココナとどっちが強いだろうな」

「あの子の方が強いと思うよ。実際に戦ってみないとわからなけど」


 ココナより強いのか……ココナより強い奴は世界探せばいるとは思っていたけど、こんなに直ぐに出会う事になろうとは……。

 

「やばいなそれは……まぁその話はここまでにしておくか」

「そうだね」

「何の服を買うんだ?」

「それを今から決めるんだよ! ということで、カエデ君も一緒に探してね!」


 俺も探すのか、うーん俺はそういうのは苦手だったりするんだけど、とりあえずココナに似合いそうなの探せばいいか。

 

「じゃあココナに似合いそうなの探してくるよ」

「はいはーいお願いね」


 そして俺たちは服を探すことになる。

  さて――ココナはどれが似合うかな? このピンクの服とかも似合いそうだけど、こっちの水色の服も良さそう……。

 

「ねえねえ。カエデ君! これとかどうかな?」


 ココナが手に持っているのは、赤い色の服だ、確かにココナに似合いそうだけど……俺は赤は避けてあげたいな。赤色見てるとちょっとあの時のココナを出す。ゴブリンの血で真っ赤になったココナの事を――

 

「良いと思うが……俺的にはこっちの方が似合うと思うぞ?」


 そう言って俺は近くにあった、白いワンピースを見せる。

 

「わあ! 可愛いー」


 ココナは俺から白いワンピースを受け取ると、少し上にあげて眺めている。

 

「いいねーいいねーちょっと試着してくるね」

「あぁ行ってらっしゃい」


 試着室に入るココナ。

  さて――たぶん直ぐに出てくるんだろうが、この試着時間がすごくドキドキするな。

  試着室から布の擦れる音が聞こえる。おそらくココナが服を脱いでる音なだろうな。

  色々な想像をしてしまう。流石にそれは男の性だな。許してくれ神様。

  いや、女神アテーナ様?

 俺がそんな事を考えてる間にココナは着替えが終わったらしく、試着室から出てくる。

 

「あ」


 出てきたココナの姿に俺は目を奪われる。

  いつもの服装もすごく良かったがこういう服装もとても似合う。なんて言ったらいいんだろう? 綺麗と言った方が一番適切だろうか? 


「ど、どうかな……?」

「あ……なんて言うか。予想していたより似合ってる」

「本当!?」


 ココナは満面の笑みを浮かべる。似合っていると言われてよほど嬉しかったのだろう。そんなココナの姿を見て少し微笑んでしまう。

 

「な、なんで笑ってるの?」

「さぁな……」

「何でなのー!! 教えてよ!」


 別に教えても良いのかもしれない……だけど、これは黙っていた方がいいかな? だって子供が喜んだ時の様な反応だったから、微笑ましかったなんて言ったら絶対怒るからな。

 

「まぁ気にするな。それで、服他に何か気になるやつとかないのか?」

「うーんそうだな……他にも探したいけど、このままなのはマズイから着替える」


 試着室に戻る。そしてまた布が擦れる音が聞こえて来る。

  しばらくして音が止まり中からココナが出てくる。


「さーってじゃあ次探そうか」


 そう言ってココナは周りを見渡す。どうやら他に気になるやるを探してる様だが、それは中々見つからないのか、あれも違うこれも違うと呟いている。

  俺も他に良いのがないのか探してはいるだが、さっきのワンピース姿が頭から離れないため、どれも違うような気がしてくる。

 

「なかなか良いのが見当たらないな」

「そうなんんだよー私も欲しいと思える物がなくてね。あ。別にこのお店の服が悪いってわけじゃないよ? なんというか……さっきのワンピースと比べるとちょっとって思っちゃって」


 なるほど……ココナも俺と同じ様な感じだったわけか。

 

「なんでそんな事思うんだ?」

「え!? それは秘密!」


 秘密と言われては無理に聞くことはできないな。

 

「秘密ね……まぁいいが」

「女の子は秘密が多いモノなんです」

「はいはい。で、どうするんだ?」

「うーん。まぁもういいかな。このワンピースだけで」

「そうなのか? というか、欲しい服が合ったからここに来たんじゃ?」

「ううん。カエデ君と買い物したかったから、まさか本当に服を選んでくれるとは思ってなかったけど」


 なるほどな……うん? 俺と買い物したかった? それって俺とデートしたかったって事か?

 

「そ、そうか。とりあえず選んだやつ喜んでくれたようで良かった」

「うん! これすごく気に入った! ありがとうカエデ君」


 笑顔を見せる。

  ここまで喜んでくれるなら本当に良かったかもな。

 

「じゃあ会計してくるね」

「待って」

「うん?」

「お金は俺が払うよ」


 選んだのは俺だし、何より折角一緒に来ているんだ、男の俺が払わないとな。

 

「え? でも……悪いよ」

「いいから、ほら」


 俺はココナの手を引っ張り会計を済ませるところまで行く。


「すみません。これおいくらですか?」

「こちらですか? こちらでしたら――銀貨四枚と銅貨三枚になります」


 あれ? 予想していたり安いな。まぁこのぐらいなら余裕だな。

  俺は銀貨四枚と銅貨三枚を財布から出して、店員さんに渡す。

 

「ありがとうございました」


  会計を済ませた俺たちはお店を出る。そして、出てすぐにココナが俺の方に顔を向ける。

 

「買ってくれてありがとうね」

「いいよ。いつもお世話になってるし」

「本当にありがとう」

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