第一話『どうせならチートが欲しかった』
「……どこだ、ここ」
見覚えのない場所に居ることに戸惑いを覚えながらも周りを見渡す、周りには特に何も置かれてはいなかったが、前の方に人が手綱らしきものを握って座っている。
ずっと考えてても進展はしないし、取り敢えず話しかけてみるか。そう考えながら前の人に近づき話しかける。
「あの、すみません」
「あ、目が覚めましたかお客さん、村まではもう少しですのでゆっくりしていてください」
……質問する前に会話切られたな、仕方ないちょっと状況を整理するか。
まずはまだ家にいた時、確か俺はパソコンで日課のスレ巡りをした後、眠くなったので寝たはず。んで目が覚めたらこんな所に、前の人手綱握ってたし、馬も見えたし多分馬車だよなここ。
こんな国民的RPGで出てそうな馬車使ってる国って無かったはずだし、それに日本語も通じるしで……なんだこの状況、自分でも訳が分からなくなってきたわ。
「お客さん、着きましたよ」
どうやら、考えがまとまらない内に村とやらに到着みたいだな。
「ありがとうございました」
そう一言お礼を言った後、村らしき方へと歩いていく。
「結局何も聞かずに降りてしまった……さて、どうしたもんかね」
そう呟きながら歩いていると、周りの家よりも大きい館のような建物が目に入る。
「まぁ何にせよ、この村の村長に会うのが一番手っ取り早いか」
そして、その館の方へと歩いていく。
「すみませーん誰かいませんかー」
館の中にはあっさりと入れたけど、人の気配がしないし、部屋を見回っても全然見つからないな。ここに来る途中も誰も見なかったし一体どうなってるんだ。
「これが最後の部屋か、誰かいればいいんだけどな……」
扉の先には誰も居なかったが、その代わりに社長室に置いてそうな机と椅子、そして机の上には蒼月颯斗様と書かれた手紙が置いてあった。
「なんで俺の名前が書いてあるんだ……? まぁ取り敢えず、歩き回って疲れたしあの椅子借りてこの手紙を読んでみるか」
『蒼月颯斗様
この度あなたは国を創る権利を得ました、おめでとうございます。
早速ですが、貴方達の言う異世界転移というものをさせていただきました。
ステータスと心の中で唱えればステータス画面が開けます。
そしてこの机ではメニューと唱えると国のステータス画面が開けます。
因みにチートはありません、頑張って良い国を造ってくださいね。
女神より』
「……っは、いかんいかん考えを放棄してはいけない、兎に角このステータスを試してみるか」
ステータス、と心の中で唱えると、目の前に透けている水色の板が現れた。
「ホントに出てきた、どれどれ……」
名前:蒼月颯斗
Lv:1
HP:8
MP:3
STR:3
DEX:3
VIT:1
AGI:3
INT:2
MND:2
LUK:2
スキル
なし
「うわっ、俺の装甲薄すぎ!? 冗談はさて置き、これじゃ下手すりゃすぐ死ぬな。俺もチート主人公みたいに最初っから俺TUEEしたかったなぁ……畜生どうせならチートが欲しかった!」
こうして、俺の異世界での生活そして、国造りが始まっていくのであった。