Ep.2
「国王様!聞いてくださいますか?私は聖女でありながら、あのただの薬師のライラをはじめとして、勇者もタンクの男も私を庇いもせずに私に野営を強要するのです。この私に、はぁ、信じられないわ!聖女と言えば誰からも敬われる存在ですのよね?それをあのパーティーでは、全く私を敬おうなどとは思わずに、聖女の力を使うように強要するのです。聖女の力をそんなに簡単に安売りをするかのように使うものではないと思いませんか?」
「う、うむ(誰かこの女をどこかへやってくれ)。そなたは聖女なのだよな?ということは、私の未来の義理の娘というわけか?」
「そうですよ。あのパーティーのメンバーはまずそれがよく理解をしていなかったようです。まぁ、所詮は平民の脳ミソですもの。理解が難しいんでしょう?」
そこにいる誰もが聖女も平民だと思った。聖女も平民の脳ミソの持ち主だと……。
「どこですの?私の王子様!」
「あー、平たく言うと只今作成中というか……。今いる王子たちには既に婚約者というか妃がいるからいきなり聖女を王妃にはできないのだよ?」
「そんなことはないでしょう?何といっても聖女を王家に囲い込むというメリットのある婚約ですよ?すでに婚約者がいようが、妃がいようが、そこは私が第一ではないのでしょうか?」
無茶苦茶言うなぁと思う、侍従達。
「そうですわ!妃様がいらっしゃるのでしたら、その方を第二側妃として、私を王子妃とすべきでは?」
「……どちらかというと、聖女ある其方が第二側妃となるべきだ。王子妃となるには、気品・品位格・家柄・教養・知性などが求められる。其方には……感じられない。正直で申し訳ない」
「私には気品も品位も家柄も教養も知性もないと?家柄は平民だったもの仕方がないでしょう?教養はこれから身につければいいし、それに伴い知性が滲み出るでしょう」
「いやいや、教養について王子妃は幼い頃より王子妃教育を続けている。一朝一夕で身につけられるものではない。其方は『平民だった』と申したが現在進行形で平民である事には変わりはない!」
「それでは、国王は聖女の私がこの国を出て他国へ行っても構わないと?」
脅迫?聖女らしからぬ行動をするなぁ?と思ったのはそこにいる侍従達。
「それは困る。では其方には王子妃となってもらう。が、肩書きだけだ。皆のもの聞け!聖女は乱心だ。北の塔に幽閉しようと思う。王子妃となったが、乱心してしまったのだから仕方あるまい」
「え?どういうこと?」
「聖女を連れて行け!」
「「「「はっ!」」」」
「はぁ、これで平和な王室となるなぁ。聖女が乱入してきた時はどうなる事かと思った」
「我が王よ。前もっての文もなく、突然王に謁見しての狼藉。本来ならば打ち首もあり得るのですが?」
「あんなでも一応聖女だ。とりあえず、北の塔に幽閉し王家で囲い込むことにした」
「御意」
勘違い聖女が爆発した。でも、相手が悪かったなぁ。国王に直訴するか?平民なのに…。