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名前の記載変わります!
少年→ルドイズ
リリアン→リア
「姉さま、早く行かなくては入学式に遅れてしまいます!」
「坊ちゃま走られてはお転びになります!まだまだ入学式にはお時間がありますから、急ぐ必要はありませんよ。」
「リア!坊ちゃまって呼ばないでって言ったじゃないか!恥ずかしいだろ!」
今日は、世界有数の大国であるグラウ王国で由緒正しき学園である王立グラウトゥリー学園の入学式だ。
王立グラウトゥリー学園入学式では新入生親族は出席しない。そうではなくとも入学は通常15歳からなので15歳以下の子供はいないはずだが、新入生であるルイーズ・ドルトレットと一人楽し気にしている10歳程度の見た目をした弟ルドイズ・ドルトレット(設定)がリアと呼ばれたルイーズの専属侍女リリアンと共に入学式会場へ向かっている。
「こんなのおかしいわ……」
「確かにグラウトゥリー学園に子供がいる光景は不思議です。坊ちゃまのお嬢様への愛が成せる業ですね。」
どういう訳か運命神アキュトスと名乗った少年は、ルイーズと仲睦まじい天才の弟ルドイズとして認識されている。かと言ってルドイズの存在が増えたことでリアの態度が変わっているという事はなく都合よくルドイズという無駄に出来たシスコン弟の存在が記憶に追加されているだけの状態だ。何か思い出が増えたりはしていない。気軽に主人に話しかけるリアは一か月掛けても矯正できなかった通常運転である。
「ルイーズ嬢、おはよう。」
「っ!…おはようございます、ローウェン殿下。」
「寮に迎えに行ったのだが、どうやら私はルドイズ公に先を越されてしまったようだ。ルイーズ嬢に何かあったのかとも考えたが要らぬ心配で良かったよ。」
「それな。」
浮かれ気味に先を歩いていくルドイズを眺めていたルイーズの後ろから声をかけてきたのは、本来なら一緒に行動していたはずのルイーズの婚約者である第二王子ローウェン・グラウだ。王族とドルトレット公爵家との良好な関係を見せるためにローウェンが寮に迎えにきてから一緒に登校する予定だったが、ルドイズがローウェンを待つのを拒否したので管理人に言付けし支度が出来次第すぐに寮を出ていた。だが急いでいたのはルドイズだけだった為、ローウェンは追いついたようだ。記憶にルドイズが増えていようが、過去が変わった訳ではないのでローウェンの迎えを待たずに登校したルイーズの行動はリアもローウェンとの喧嘩を疑うほど相当意外なものだった。小声で余計なことを言ってから頭を下げその場から下がるリアは一か月掛けても矯正できなかった通常運転だ。
「お約束していたのに先に出てしまい申し訳ございませんでした。」
「いや、謝る必要はない。君が―」
「そうだ。姉上は何も悪くない。来るのが遅いのが悪いのだからな。」
唐突にした声の方へ下に視線を落とすと、先に行っていたはずのルドイズがルイーズとローウェンの間に腕を組み立っていた。
「はは、これは手厳しいな。では明日からはもっと早く行って出迎えるとしよう。」
「女子寮の前で待っていると言われたら姉上が気にしてしまうではないか。」
ギスギスである。早めに登校してきていた生徒達がまだ時間にも余裕があるからか遠巻きにして集まりつつある。グラウ王国では学園入学前までは親族以外の貴族に会った事がない事も、そもそも貴族にすら会った事がない生徒も珍しくないが王族であるローウェンを知らない者はほとんどいない。ルドイズに対してもドルトレット公爵家から最年少の子供が入学するという情報は入っているのか周りからちらほら名前が聞こえてくる。間違いなく今期最も有名な二人が良からぬ雰囲気で話していれば誰しも足を止めてしまうだろう。ルイーズは一見にこやかにしているが、ローウェンは笑顔が引きつりつつある。ルドイズは不機嫌なのを隠そうともしていない。興味なさげに眺めているリアは一か月掛けても矯正できなかった通常運転だ。
「そうだ、これから友人もできるだろうに時間に囚われては姉上の迷惑だ。折角の学園生活なのだから、これからも別々に登校するのがいい。」
「え、っと……、これは私達で決める事ではないからね。ルイーズ嬢、君はどうしたい?君の意見を尊重するよ。」
「ありがとうございますローウェン殿下。お言葉に甘えて述べさせていただけるなら私も、勝手ながら学園生活はなるべくこれからの友人と過ごしたいと思っています。ローウェン殿下とは学園卒業後も変わらず毎日のように会えますので、どうか我が儘をお許し頂きたいです。」
ローウェンは王族ではあるもののドルトレット公爵家の後ろ盾が必要な身でもあるのでルドイズの不遜な態度を責められないしルイーズの我が儘は聞くしかない。良好な関係のアピールを建前に毎日一緒に登校しようと言い出したのはルイーズからだったがやっぱり辞めたいと言えばローウェンはあっさり快諾した。せめて入学式会場までは一緒にとの申し出もルドイズが拒否しそのまま別々で行くことになり、このやり取りを見ていた者たちによってローウェンとルドイズの不仲説が出るのであった。明後日の方向を眺めはじめたリアを連れ入学式会場へ向かう途中、視界端でローウェンにぶつかっている聖女を見かけたが繰り返しの中でよくある事だったので特に声をかける事も無くルイーズ達は通り過ぎた。




