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すれ違いの寝起きどっきり☆

 ダンデハイム伯爵領に到着して最初の朝です。皆様おはようございます。

 今私の横には健やかな寝息を立てるラルフがおります。部屋に差し込んできた陽光が柔らかく彼の御髪を包んで天使のような神々しさです。眼福眼福。

 しばしその綺麗な寝顔を堪能していると、ラルフが身じろいだ。そろそろ起きるかなぁ?…うん。ぼんやり眼が開いてきたね。


「おはよう、ラルフ。よく眠れたみたいで良かった」


 ラルフのすぐ隣で横たわっている私。にっこり笑ってご挨拶です。すると向かいの寝ぼけ眼は瞬間で驚愕に見開き、ラルフが文字通り飛び起きた!


「ぅえっ!?な、ナターシャ???なん、何で!?え?え?」


 お~、面白いくらい狼狽していらっさる。そんなにキョドらなくてもいいと思うんだ。地味に傷つくなぁ。


「はいはい、落ち着いてラルフ。そしてじっとして頂戴!」


 私はラルフの片腕を捕まえて、ゆっくり顔を近づける。「わ!?そんなっ!?」と謎のリアクションと共にラルフの顔が赤に染まる。あれ?また熱出てきちゃったかな?

 空いたもう片方の手でサラサラの前髪をかきあげておでこをごっつんこ。ん~…?熱は下がったみたいだけどなぁ……。


「…うん。もう熱は無いと思うよ…ってラルフどうしたの!?大丈夫!!?」


 おでこ同士を離した途端、ラルフが目の前で崩れ落ちた。腕を突っ張った土下座みたいな形だ。俯いて、何だかブツブツ言ってるよ!?


「え?え?ほんとに大丈夫??どっか辛いなら教えて??」

「ふふ、大丈夫。ちょっと動悸・息切れ・眩暈がしただけだから」

「大丈夫じゃ無くない、それ!!??」


 しっかり眠れていたように思ったけど、眠りが浅かったのかな?一晩じゃ回復しないほど疲労困憊だったのだろうか?あ、貧血かも??

 私は膝立ちになってラルフのほっぺたを挟むように両手をあてがった。そのまま視線が合うとラルフが私を少し見上げる形になっている。またしてもラルフの顔が赤らんでいく。今日もお医者さん呼んでもらった方が良いかも知れない。

 私はそのまま親指だけを下まぶたにあてがって、所謂『あっかんべ~』の形をつくる。

 …うん、貧血もなさそう。高血圧の疑いは出てきたが……。


「あ、あの…ナターシャ?どうして私の寝所に……?」


 ほっぺを挟まれたままのラルフが困惑いっぱいに尋ねてきた。そうか、ラルフは寝ちゃってたからね。


「昨日薬を飲む前、ラルフ心細そうだったから。弱ってる時って、誰かにいてもらいたいって思うでしょ?だから昨夜心配になってきて、皆が解散した後戻ってきて添い寝してたの。」

「添い寝っっ!?」

「うん。風邪じゃないからうつらないしね。万が一体調が急変したとしても対処できるでしょ?でも気持ちよさそうに寝てたから安心してたんだけど…」


 どうにも挙動不審なんだよね…?まぁ、昨日の今日だし、一日静養してもらうつもりなんだけどさ。

 その事を伝えようとした瞬間ガバっと抱きつかれた。おおぅ!?どうした少年よ??


「安心してくれナターシャ!!この責任はしっかり取らせてもらう!!」

「え?何が??」


 と、その時。私の身体が宙に浮いた。ベリッとラルフから引きはがされたといった方が正しい。


「ふぇっ!?」

「ナターシャ、こんな所で何してるんだい?」


 あれ??既視感。

 私、何でまた兄様にお姫様だっこされてるのかしら?


(というか、兄様の笑顔が怖い恐いコワイ~~~~~~~!!)


()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「大事なことだから二回言ったのですか、兄様…

『何を』と言われれば、ラルフの様子を見ていたのですわ?」

「口調が戻ってるよ?疚しい事があるんじゃない?」

「それは兄様のお顔が怖いからです!!!」


 じっと見つめてくる兄様の眼力半端ない。超怖い!ガタブル…。

 私が怯えていると、ナハトは呆れのため息をついた。小さい子を諭すように優しく続ける。


「怒らないから、こんな時間からここにいる理由を教えて?」


 それ絶対フリのやつでしょ!?…っと思っても口には出しません。命が惜しい。


「さっきも言ったけど。ラルフの様子を見ていたの。だって、不調の時って心細いでしょ?…私だったら誰かに近くにいて欲しいからそうしてただけ。」

「もしや、……一晩中?」

「うん、そう。」

「これはちょっとお説教が必要みたいだね?」

「え!?兄様何で??」

「 な ん で で も だ よ ? 」


 嘘吐き…やっぱりフリじゃないか。私の命は今日終わった…、短い人生だったわ~。


「待て、ナハト!!ナターシャは私を気遣ってくれただけだ。何も責められる事はないだろう!!」

「黙って下さい殿下。これは俺達兄妹の問題です。」

「いや、口を出させてもらう。何なら喜んで責任を取ろう」

「そんな事はさせませんっ!!!」


 ベッドから下りたラルフがナハトの前まで近づき、兄様に抱かれていた私をもぎ取った。今度はラルフに姫だっこされる。


「ナターシャの献身に感謝する。そなたが()()()()()()()()お陰ですっかり良くなったよ。」

「なっ!?そんな事したの、ナターシャっ!!」

「だって、私だって寝たいし、兄様とも一緒に寝るじゃない!!」


 子どもと添い寝なんて普通だし、私今5歳児よ?子どもが集まって寝るとか何も問題ないじゃん!!

 再び兄様にもぎ取られた。私はキャッチーボールの球ではないんだけど…。


「家族と他人は違うでしょ?知らない男と一緒に寝るなんてはしたない事だよ!」

「ラルフは知らない人じゃないし、5歳児に性別何て無いものでしょう!?」


 私が幼稚園の時、男児も女児もパンツ一丁でプール入ってたよ!!兄様が荒ぶる意味が分からない!!


「余所のガキなんかどうでもいい。

 ナターシャは可愛いんだから、もっと危機感をもって欲しいと僕は言いたいんだよ」

「確かに。ナターシャはとても素敵なレディだと私も思うぞ」

(え…凄くコメントに困るんですけど……)

「兄上!!もうたいちょうはよろしいのですかっ!!?」


 そこに空気読めない男児クロードが突貫してきた。く~ちゃん良くやった!!今ばかりは手放しで褒め称えたい!!!


「心配をかけたねクロード。一晩ゆっくり休んだからもう平気だよ」

「良かった……」

「その事なんだけどねラルフ。大事をとって今日一日静養して欲しいんだ。明日からの予定は決まり次第報告しにくるからさ。く~ちゃん、朝食こっちに運んでもらうからラルフと一緒に食べて」

「…ああ。」

「兄様、私たちは父様の所に行きましょう。」

「ナターシャ。僕はまだ納得してないからね?」

「あ、兄様!ほら、参りましょう!!」


 今朝も兄様に抱かれたまま父の元へと移動と相成った。

 日に日にエルバスの息子を見る目が残念なものに変わっている気がする。…え?父様も私を抱っこしたい?羨ましかっただけ??いい加減にしろ、この似たもの父子め!!!


「父様、ラドクリフ殿下の熱は下がったようです。念のため本日いっぱい静養して頂くのが良いかと。…あと、宜しければもう一度お医者様を呼んで頂けませんか?起きて直ぐに『動悸・息切れ・眩暈がする』と仰られてましたから…」

「うん…それはナターシャのせいだと思うよ?」

「え?兄様なんです??」

「…何でもないよ。―――父上は昨日仰っていた通り近場の挨拶回りに行かれるのですか?」

「ああ、時間が惜しいからね。ナハト、お前は私と一緒に来なさい。」

「え!?……分かりました。」

「…?。ああ、ナターシャ。お前は殿下方と今日は屋敷の中にいておくれ。ここの図書室も中々に広いからね。好きに使いなさい。」

「まぁ!父様ありがとうございます!!」

「中庭くらいになら出ても良いけれど、それ以外の外出は今日は駄目だ。…医者は後ほど手配しよう。

殿下たちのこと、お前に任せたよ。」

「かしこまりまして、父様。今日は大人しくお留守番しておりますからご安心ください。」

「夕食時には戻る。その時殿下方も交えて話をしよう。…では行ってくる。」

「はい。いってらっしゃいませ、父様、兄様」

「ナターシャ、殿下に近づき過ぎちゃだめだからね!!」

「そう何度も言わずとも分かっておりますわ、兄様」


 「絶対分かってないでしょう!!」というナハトの叫びは父に引きずられてあっという間に遠くなっていった。昨日からナハトの様子がおかしいなぁ…。野犬イベントが近い事と関係あるのかしら?

 私は首を傾げながら、ラルフの部屋に足を向ける。


 こうして波乱のダンデハイム領生活は慌ただしく幕を開けた――――――

ラルフ王子ボーナスステージww

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2020/6/26
あの、中年聖女がリターンズでございます!
新作☆中年『トーコ』の美食探訪!その二の巻
今日も元気だビールが美味い!~夏といえばビールでしょ~

+++

こちらも引き続きよろしくです☆

唸れ神那の厨二脳!
『親友(とも)を訪ねて異世界へ~ReBirth Day~』
巻き込まれ女子大生の異世界奮闘記
『Re:トライ ~指名依頼は異世界で~』
中年『トーコ』の美食探訪!
今日も元気だビールが美味い!

宜しければ是非応援してください☆
― 新着の感想 ―
[良い点] きゃあ!エッチ!
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