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もやしさんの憂鬱  作者: あかなす(前とまとまと)
41/41

特別編 ……初めての夜?

最終話から数ヵ月後の仲良し夫婦のある日の出来事です。


数ヶ月後のある日の夜。



ーシャムシエルの寝室ー



「……わたし、、覚悟、、、できてます、、から、、」




青い顔をした凛子がベッドの上に正座をしてシャムシエルに訴える。今にも泣き出しそうだ。



「…………。」



凛子の言葉に困惑しながらシャムシエルが悩む。



……覚悟できてるって言われてもなぁ。








遡ること、その日の朝。



キッチンで朝御飯を食べ終えた霧山が箸を置く。


「ごちそうさん、うまかった。」


「…コーヒー飲みますか?」


凜子が笑顔で霧山に言う。


「ああ、頼む。」


「お弁当、ここに置いておきますね。」


「いつも、すまない。無理するなよ。」


「大丈夫ですよ。」


凜子がコーヒーを霧山の前に置く。


「…今日は飲み会があるから夕飯はいいぞ。」


「はい、分かりました。あまり飲み過ぎないようにしてくださいね。」


「分かってる。」


霧山が微笑みながら凛子をじっと見る。


「…?……どうかしましたか?」


凜子が不思議そうな顔で霧山に聞く。


「……少し、肉がついて健康的になってきたなと思って。」


霧山がにこにこしながら凜子に言う。凜子が焦る。


「…え?!わたし、、太りました?!」


「少しだけな。でも、まだ細い。もっと肉、つけないとな。」



寝ぼけながらキッチンにシャムシエルが入ってきた。そして凛子の腰に手を回して背中から抱き締める。


「……そうだよ。もっと、食べないとね。」


「……!!…もやしさん、霧山さんもいますから!」


凜子が頬を赤くして慌てながらシャムシエルに言う。シャムシエルが凛子の頬に口付ける。凜子の顔が真っ赤になる。


「……おはよう。今日も可愛いね。」


シャムシエルが笑顔で凜子に言う。凜子が耳まで真っ赤になる。


「今日は珍しく、早起きだな。」


霧山がコーヒーを飲みながらシャムシエルに言う。


「……たしかに、朝、お前に会うのは珍しいな。」


シャムシエルが霧山に言う。コーヒーを飲み終えた、霧山が立ち上がる。


「…お邪魔虫は、仕事に行くからごゆっくり。」


霧山が意地悪く笑いながら言うとジャケットを羽織る。そして凜子が作ってくれた弁当を鞄に入れて玄関へ向かう。凛子も玄関まで行き見送る。


「いってらっしゃい。」


「ああ、行ってくる。…また明日な。」


霧山を見送ると凛子がキッチンへ戻る。


「朝御飯、用意しますね……!!」


朝御飯の用意を始めようとする凛子をシャムシエルが抱き締めて唇を重ねる。


「おはようのキス。」


シャムシエルが凛子を見て微笑む。


「……毎日、しなくてもいいですよ。」


凜子が恥ずかしそうな顔でシャムシエルに言う。


「毎日、したいの。…凜子が可愛いから」


シャムシエルが微笑む。凛子が真っ赤な顔のまま焦る。


「朝御飯、作るので離してください。」


「一緒に作る?…こうやって、、ね?」


シャムシエルが笑顔で背中から凜子の腰に手を回して抱き締める。凜子がさらに慌てる。


「……!!…危ない、ですからっ!!」


「大丈夫だよ。」


「大丈夫じゃないです!」


そうこうしながら朝食を作り2人で食べる。


「…いつも、言ってるけど。…無理しなくていいよ。霧山も言ってたろ?毎日、朝御飯とお弁当、作るの大変だろ?」


シャムシエルが心配そうな顔で凜子に言う。


「大丈夫ですよ。無理はしません、約束します。」


凜子がにこにこしながらシャムシエルに言う。


「それなら、いいけど…」


「今日は霧山さん、夕飯いらないそうです。」


「そっか。…朝ごはんを食べたら少し出掛けようか?」


「そうですね。…どこに行きましょうか?」


「どこにしようかなぁ……?!」


シャムシエルが背後に気配を感じて言葉をつまらせる。シャムシエルの真後ろに現れたガブリエルがニヤニヤしながら言う。


「どこに行くの~?」


「………出たな、暇人。」


シャムシエルがうんざりした顔でガブリエルに言う。


「暇じゃないし!!たまの息抜きだから!」


ガブリエルがシャムシエルに言う。凜子が笑う。


「おはようございます、ガブリエルさん。」


「おはよ♪」


ガブリエルが笑顔で凜子に言う。ため息をつきながらウリエルが現れる。


「…ウリエルも来たのか?…天界(うえ)で何かあったのか?!」


シャムシエルが焦りながらウリエルに聞く。


「…心配するな、何もない。ミカエルに、たまには息抜きしろと言われたんだ。」


ウリエルが難しい顔でシャムシエルに言う。


「おはようございます。…息抜き、いいじゃないですか。どうしてそんな難しい顔、するんですか?」


凜子が心配そうな顔でウリエルに聞く。


「おはよう。…急に息抜きと言われてもな、、何をしていいか分からん。」


ウリエルが難しい顔のままで凜子に言う。凜子が吹き出す。


「とりあえず、お茶入れますね。」



そう言うと、凛子が食器を片付けようとするとシャムシエルが凛子を後ろから抱きしめる。凛子が頬を赤くして驚く。


「俺が片付けるから凛子は座ってて。」


「でも…」


「いいから。」


シャムシエルが笑顔で凛子に言う。凛子とガブリエルとウリエルがリビングのソファーに座る。ガブリエルがにやにやしながら凛子に聞く。



「……そういえば、もうしたの?」


「……何をですか?」


凛子が不思議そうな顔でガブリエルに聞く。ガブリエルが凛子の耳元で囁く。


「何って、、エッチ♪」


凛子の顔が真っ赤になって慌てる。


「…?!……え、あの、、き、きゅうになに、い、いいだすんですか!!」


慌てる凛子をみてガブリエルが驚く。


「………まさか、、、まだ?」


「…え?!…えっと、、その、、、、」


凛子が真っ赤な顔をしたまま下を向く。


「この前の騒動が終わって結構、たったよね?」


ガブリエルが焦りながら凛子に聞く。


「………やっぱり、変ですよね。……夫婦なのに、、、」


「ガブリエル……余計な事は聞くな…」


ウリエルが呆れ顔でガブリエルに言う。


「だって~。興味あるじゃない。」


ガブリエルがウリエルに言う。凛子が下を向いたまま困った顔をする。シャムシエルが飲み物を持ってリビングに入ってきた。凛子の様子を見てガブリエルを睨む。


「…おいガブリエル!凛子に何した?!」


「何もしてない!」


「本当か?」


「…つまらん事を聞いたのだ。」


ウリエルがシャムシエルに言う。シャムシエルがガブリエルをまた睨む。


「やっぱり!いい加減にしろよ、暇人!!」


「だから、暇人じゃないし!」


シャムシエルが心配そうな顔で凛子の顔を覗きこむ。


「…凛子、大丈夫?…あんな奴の言う事は気にしないでいいからね。」


「……何もないです、大丈夫です。」


凛子が慌ててシャムシエルに言う。シャムシエルがガブリエルを疑わしい顔で見る。


「なにを聞いたんだ?…どうせ、しょうもない事だろ?」


「だから!!別に変な事、言ってないから!」


ガブリエルがシャムシエルに言う。


「本当に、何でもないですから。」


凛子が慌てながらシャムシエルに説明する。


「それなら、いいけど…」


シャムシエルが不服そうな顔をする。ガブリエルがまだ文句を言いたそうな顔でシャムシエルを見る。



「…それより、お前、仕事は大丈夫なのか?」


ウリエルが険しい顔でガブリエルに聞く。ガブリエルが焦る。


「もう少しくらい、大丈夫よ…」


「なら、いいが。」


「…ミカエルが息抜きしろって…どれだけ休んでなかったんだ?」


シャムシエルがウリエルに聞く。ウリエルが気まずくて黙る。シャムシエルが呆れた顔をする。


「…ほどほどにしとけよ。体、壊すぞ…」


「…分かってはいるが、、休むのを忘れる。」


ウリエルが難しい顔をしながら話す。ガブリエルが凛子をじっと見てから微笑む。


「初めて会ったときに比べるとかなり顔色がよくなったわね♪」


「そうですか?」


「うん♪すごく健康的になったわよ。」



笑顔で会話する2人を見てウリエルが微笑む。


「どうした?」


シャムシエルが不思議そうな顔で聞く。



「……いや、昔の事を思い出しただけだ。」


…昔はガブリエルとハニエルが仲良く話していたな。



「…昔の事、思い出して笑うとか…年寄りのやる事だぞ。……しっかりしろ、ウリエル。」


シャムシエルが焦りながらウリエルに言う。ウリエルがシャムシエルを睨む。


「誰が、年寄りだ?」


「俺より年上だろ?」


「そうだが……」


「休んでないと言えば、ミカエルも休んでないよな?」


シャムシエルが不思議そうな顔で言う。


「え?!ミカエルさん、休んでないんですか?」


凛子が驚く。


「たしかに。私よりも仕事してるな。」


ウリエルも納得する。


「仕事が好きなのよ♪」


ガブリエルが笑いながら言う。



「………仕事が好きなのは認めます。それより、どうしてあなたも休んでいるんですか?」


ガブリエルの後ろに現れたミカエルが冷たく微笑む。ガブリエルの顔が青くなる。


「えっと、、」


「私はウリエルに休むように言いましたが、ガブリエルに休んでいいとは言ってませんよ。早く、天界に戻ってください。」


「はぁい、、凛子、またね。」


ガブリエルが焦りながら姿を消す。


「……では、私もこれで。」


いつもの笑顔のミカエルも姿を消す。


「……笑いながら怒ってましたね。」


凛子が焦りながら言う。


「サボるからだよ。」


シャムシエルが笑う。


「…どうしようもないやつだな。」


ウリエルが呆れる。そして棚に飾ってあるチェスに気づく。


「…チェスか、、最近していないな。」


「久々に勝負するか?」


シャムシエルがウリエルに聞く。そして2人はチェスを始める。ルールをよく知らない凛子は不思議そうな顔で2人の勝負を見る。


「…チェックメイト。」


「相変わらず、強いな…」


シャムシエルが頭を抱える。


「ウリエルさんが勝ったんですか?」


凛子がキョトンとしながらウリエルに聞く。


「…ああ。チェスを知らないのか?」


「やったことないです。」


「やってみるか?」


「はい。」


凛子が笑顔で答える。凛子がウリエルに一通りのルールや駒の動かし方を教えてもらい。ゲームを始める。凛子がひとつの駒を持って動かす。


「これは、こっちに動かせますよね?」


「…いや、それはそこには動かせない。」


「じゃあ、この駒はこっちに…」


「いや、それも動かせない。」


「………………。」


凛子が頭を抱えて悩む。その様子を見てウリエルが肩を揺らして笑いをこらえる。


「じゃあ、ここは?」


「そこもだめだ。」


「んーーーーー難しいですね。」


凛子が難しい顔をして悩む。ウリエルが吹き出して笑う。


「…?…そんなに、面白いですか?」


凛子がふて腐れる。


「すまん。悩んでいる顔が面白くてな…」


ウリエルが笑いをこらえながら凛子に言う。ウリエルの顔を見てシャムシエルが驚く。


……うわ、ウリエルが笑ってるよ、珍しいな。



時計を見ると正午を過ぎていた。


「……そろそろ、昼にするか?」


シャムシエルが2人に聞く。



「そうだな。ここまでにするか。」


3人で昼ごはんを食べゆっくりとした時間を過ごす3人。そして夜になり…



「久々にゆっくりできたな。…そろそろ戻るか。」


リビングのソファーに座っていたウリエルが立ち上がる。


「ゆっくりできてよかったです。また来てくださいね。」


凛子がウリエルに笑顔で言う。


「……そうだな。」


ウリエルが微笑む。そしてシャムシエルの顔を見る。


「なんだ?」


「凛子の事、大事にしろよ。…あと真面目に働け。」


「言われなくても、分かってるよ!」


シャムシエルの言葉を聞いてウリエルが天界に戻る。


「…分かってるよ、まったく!……凛子、お風呂に入っておいで。」


「はい。」


凛子が立ち上がってバスルームへ向かう。その後、シャムシエルも風呂に入り寝室へ向かう。寝室へ入ると凛子がベッドの上で正座をして下を向いて待っていた。




そして現在のシャムシエルと凛子に戻る。





………覚悟できてるって言われてもなぁ。



「…急にどうしたの?」


「わたし達、、夫婦…ですよね?」


「……うん。そうだけど?」


「その、、」


凛子が気まずそうな顔をして話す。シャムシエルがベッドに腰かけて心配そうな顔で凛子の頬に触れる。


「本当に、どうしたの?」


「……えっと、、その、、夫婦なのに、、その、、何もしない…のは、、変だと……思うので……」


凛子が青い顔をしたまま、今にも泣き出しそうな顔で途切れ途切れ話す。シャムシエルが首を傾げる。


「……ガブリエルに何か言われたの?」


「いえ、そうじゃなくて。……前から思ってた事です。……わたし、、覚悟……できてますので……」



「………………。」



……覚悟できてるって、、

青い顔で、泣きそうになってるのに?



シャムシエルが困った顔をして考える。そして凛子を抱きしめる。凛子が体を強張らせる。


「……本当に、、いいの?」


シャムシエルが凛子に聞くと凛子が黙ったまま頷く。返事を聞いたシャムシエルが凛子のお腹の肉をつまむ。凛子が驚く。


「……え?!…な、なにするんですか!!」


慌てた凛子がシャムシエルに言う。シャムシエルが意地悪く、笑う。


「だって、いいんだろ?」


「え?!…いや、あの、、そうじゃなくて…」


「つまむお肉もないね……。せめてもう少し肉をつけてからだなぁ。……壊れそうで怖いよ。」


シャムシエルが困り顔で凛子に言う。


「そんな、簡単に壊れませんよ。」


凛子が焦りながら答える。シャムシエルが凛子の腰を両手で掴む。凛子がさらに驚く。


「だって、腰もこんなに細い…」


「…!!…いきなり、掴まないで下さいよ。」


「折れそう…」


「そんなに、簡単に折れないですよ!」


「そう?」


「そうです!」


シャムシエルが吹き出して笑う。凛子がきょとんとする。


「やっと、顔色が戻った。…さっきまで青い顔、してたんだけど、自覚ある?」


「え?…青い顔、してました?」


「うん。泣きそうだったし、震えてたよ?」


「……本当に?」



凛子が不思議そうな顔でシャムシエルに聞く。シャムシエルが凛子を抱きしめる。


「気持ちは嬉しいんだけど…もう少し待ってもらえないかな?」


「……わたし、本当に…覚悟できてるので…」


「……待って欲しいのは俺の覚悟ができてないから……その、、少し、、怖いんだ。」


「怖い?」


「…うん。…何て言うんだろ?……凛子が大事過ぎて…臆病になってるみたい。」


シャムシエルが凛子の額に自分の額をつけて微笑む。


「もやしさんが…臆病に?」


「うん。自分でも驚いてる。」


「もしかして、、わたしに気を使ってます?」


「ううん。…本当に待ってほしいんだ。ごめんね、凛子が覚悟を決めてくれたのに。」


「もやしさん…」


「うん?」


「…優しすぎです。わたしの事、甘やかさないでください!」


「もっと、甘えてほしいなぁ。」


シャムシエルが微笑む。凛子がシャムシエルにしがみつく。


「…何でも、もやしさんに頼るダメな奥さんになりますよ。」


「いいよ。何でも俺に頼る、今よりもっと可愛い奥さんがいいな。」


シャムシエルが微笑む。凛子が頬を赤くして黙る。


「………だめですよ。甘やかさないでくださいよ…」


凛子がシャムシエルの胸に顔を埋める。シャムシエルが優しく微笑む。



……もう、君なしでは生きていけない。

失う怖さを知って臆病になってしまった。


ここまで自分が変わるなんてな…本当に驚きだ。


これから、どんな事があっても…


「…もう、離さないからね。覚悟してね、凛子。…愛してるよ。」


「……わたしも、、離れる気はありませんから。」



シャムシエルと凛子が微笑み合う。



おわり。



これにて「もやしさんの憂鬱」は終了です。

本当に最後まで読んで下さりありがとうございました。

読みきりで天界編みたいなお話を書いてみたいとは思っていますが予定は未定です。


次回作でお会いできれば幸いです。

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