表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファムドラーダ短編集  作者: ノマズ
幻想世界
PR
3/13

眠りの竪琴

 ある冒険者が、旅の途中で手に入れた竪琴を故郷の国に持ち帰った。

 その竪琴は人魚から貰ったもので、その美しい音色には、人を眠りに誘う魔法の力があるのだった。それも、ただの眠りではなく、最高に気持ちの良い眠りである。


 早速王様は、国一番の竪琴奏者を呼び、都の広場で、その竪琴を弾かせた。

 奏者が弦をはじくと、得も言われぬ美しい音が広場に響いた。

 確かに美しい音色だった。

 ところが、二音、三音と、音が旋律になってゆくと、演奏は止まってしまった。

 うとうとしていた人々も、音楽が止まると共に目を覚ました。


「どうしたことだ。もっとその音色を聞いていたいぞ」


 もう少しで眠れるところだった王様は、奏者に言った。

 すると奏者は、はっと我に返った。


「申し訳ありません。しかし、この竪琴を弾いていると、私もその音のために眠くなってしまうのです」


 王様は他の演奏者を呼んだ。

 しかし、どの演奏者も、音が旋律になってゆくと眠ってしまい、そこで音楽は途絶えてしまうのだった。


「ならば、耳に栓をすればよい」


 王様の命令に奏者は従い、耳に栓をして演奏した。

 ところが、音を失った奏者の曲は、リズムもテンポもバラバラで、とても聞けたものではなかった。


 そこへ、国一番の魔法使いがやってきた。


「私の作ったゴーレムは眠りません。眠らないゴーレムなら、演奏を続けることができるでしょう」

「それを連れてまいれ!」


 王様は、魔法使いのゴーレムに演奏をさせることに決めた。

 数日後、広場には国中の人々が集まった。

 魔法使いは、人魚のように美しいゴーレムを作っていた。

 竪琴がゴーレムの前に運ばれた。


「では、弾いてみよ」


 美しいゴーレムは、王様の命令に従い、竪琴を弾き始めた。

 美しい旋律に、人々はばたりぱたりと眠り始めた。

 貴族も、大臣も、王様も、皆、目を閉じた。

 魔法使いも、騎士も、花屋も、石工も、馬方も、父も、母も、子供も、大人も、鳥も、草花も……。


 やがて、何もかもが眠りについた。

 静かで幸せな眠りに。

 美しいゴーレムは、永遠の命が尽きるまで、竪琴を奏で続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ